今回の発表では、Windows 10に合わせてOfficeのサポートポリシーも変更されたが、むしろこちらの内容の方が興味深い。まずは「Office 365 ProPlus」に関するものだ。
ProPlusとはOffice 365の特定エディションで提供される機能の1つで、デスクトップ版Officeの最新バージョンをサブスクリプション契約が有効な期間内であればいつでも入手できるというものだ。
Office 365のエディションによってライセンス可能なデバイス数の上限が決まっており、例えば米国などで提供されている「Office 365 Home」では最大5デバイス(PCの場合)まで利用できる。
ただ今回の発表で、このProPlusが利用可能なWindows OSのバージョンに、既報のものと合わせて、次のような制限が明示された。
(1)については前項で紹介したWindows 10のバージョン別サポート期間のことを指している。これまでバージョンごとの明確なサポート終了日を示していなかったMicrosoftだが、今回の措置であらためてProPlusの利用規約を強化した形となる。
そして(2)について、最大のポイントは「Windows 7」となる。2020年1月14日とはWindows 7の延長サポート終了日だ。Windows 10を除けば最大のボリュームゾーンであるWindows 7が退役するのに合わせ、一気にWindows 10にユーザーを巻き取る算段というわけだ。
Windows 10 LTSCは本来組み込み機器など特殊用途での利用を前提としており、ユーザーが普段使いの作業端末として利用することを想定していない。だからこそ最大10年というサポート期間が設定されており、ProPlusでの利用は許可できないというのだろう。
また、SACで最大24カ月(通常は18カ月)というサポート期間が設定されるため、Windows 10のほとんどのユーザーに対しては最新環境に保つことができる。
そしてさらに興味深いのが、永続的ライセンスが付与される通称「Office Perpetual」向けのポリシー変更だ。この次期バージョン「■□Office 2019」は2018年後半での提供が予定されているが、Office 365関連のサービスとの併用において、サブスクリプション契約が必須となる。
Office 365の一部のサービス、特にコミュニケーション系ツールの連携がサブスクリプションなしでは行えなくなるため、実質的なクラウドサービスの誘導策だというのがその趣旨だ。このOffice 2019に関する新情報としては、次のものが挙げられる。
つまり、対応するのは実質的にWindows 10の通常版とLTSCのみということになる。前出のクラウド誘導策と合わせて、Microsoftの最新ビジネスソリューションを利用するにはWindows 10+Office 365の形態が必須というわけだ。
Mac版については特に制限は発表されていないが、スマートフォンやタブレット向けのOfficeは既にOffice 365との併用がある程度前提となっており、クラウドシフトが明確になっている。ポリシーの改訂で、この辺りをあらためて強化してきたということだ。
なおMicrosoftは、次期LTSCである「Windows 10 Enterprise LTSC 2018」を2018年秋に提供する予定だ。こちらは提供開始より5年のメインストリームサポート、さらに追加で5年の延長サポートが提供される。
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