キヤノンは、自動でバウンス角度を決定するクリップオンストロボ「470EX-AI」を発表しました。
バウンス撮影は、反射させたストロボ光を被写体に当てる撮影技法。光を直接当てないことで光の当たり方を柔らかくし、白飛びや影の出方を弱める効果が得られます。
一般にストロボ発光部を真上に向けて天井に光を反射させることを「天井バウンス」などと呼びますが、470EX-AIでは天井だけでなく、壁なども含め、ストロボがある位置の周囲から光を反射できそうな位置を自ら探し、最も効果的な照射角度と発光量を自動的に設定してくれる「AIバウンス」を搭載しています。
主な機能としては、全自動でバウンス角度と発光量などを設定する「フルオート」と、カメラの縦位置と横位置を切り替えた際に、記憶させたバウンス角度へ自動的に切り替わる「セミオート」の2モードが利用可能です。
このような自動化機能を搭載していることから、470EX-AIの構造は、従来のクリップオンストロボとは大きく異なります。具体的には、反射可能な物体を探すための測距センサーと専用CPU、上下・左右の2軸で発光部を動かすためのモーター2基、カメラの縱橫姿勢を検知するための加速度センサーを内蔵しています。
ガイドナンバーは47で、クリップオンストロボとしてはそこそこ強めの光量。キヤノンがラインナップしている現行のクリップオンストロボの中では上から2番目の大きさです。位置付けとしてはフラッグシップ「600EX II-RT」とミドルレンジ「430EX III-RT」の中間に相当しますが、AIバウンス機能を有することによって、序列の中に収まらない、新たな立ち位置の製品と見るべきでしょう。
キヤノンによれば、想定するターゲットは「カメラでの撮影経験は積んでいる一方で、ストロボ撮影に関心がなかった」撮影中級者・ストロボ初級者や、「カメラ位置を変えるたびにバウンス角度を変えるのが面倒」な撮影上級者・ストロボ中級者といった層を中心に訴求する狙い。
そのほか、背面液晶ディスプレイとダイヤルを装備。電源には単三電池4本を使用します。なお、本体の電池はほぼ発光に使用し、AIバウンス駆動のための電力は基本的にカメラボディからの供給でまかなうとのこと。
発売時期は4月下旬、価格は税別5万4800円前後の見込み。
クリップオンストロボを使ったバウンス撮影は、色々と制限のある撮影現場において、被写体をできるだけ良く写すためのテクニックのひとつです。しかしストロボという機材は、撮影環境の影響を強く受けることもあって、使いこなしが難しい側面もあります。
470EX-AIは、ストロボを使いこなす上でのそうした"職人芸"的な部分を自動化することで、クリップオンストロボユーザーの裾野を拡げる可能性を秘めた製品といえるでしょう。
フルオートモードで首をキョロキョロさせるような挙動は、実際に見てみると新鮮で面白く、一見の価値があります。製品発表時点で具体的なアナウンスはありませんが、3月1日から横浜で始まるカメラの展示会「CP+ 2018」でも本機が展示される可能性がありますので、ご興味のある方は是非チェックしてみてください。