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世界市民に責任を負う国連へ
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国連改革に関する日本政府への呼びかけ
2005年6月28日
私たちは、それぞれの社会がその歴史の中から学んだ教訓を普遍的原則に転換し、それを私たち自身の政府や市民社会組織において実現していくことで、より自由で、平和で、安全な社会を築いてきたし、将来もまたそうあるべきであると考える。日本は、その点、日本国憲法第9条に明らかなように、第二次世界大戦の愚かな歴史から、非戦や非暴力主義の原則を重要視してきた。同じように国連も、国連憲章において、戦争を違法化し、国際紛争を平和的手段によって解決することを定め、武力の行使を最小限に押しとどめる努力を行ってきた。改めて確認するが、武力行使は外交の失敗である。しかし21世紀に入り私たちが目の当たりにしているのは、戦争と暴力の連鎖、民間人の犠牲、排外主義の蔓延、極度な貧困と格差の拡大である。
これらの問題は、国連が公正な外交フォーラムとして機能していないことを示している。国連はまず、加盟国間の平和共存と人間安全保障に立脚した公正な集団的安全保障体制を確立すべきである。そのために、地域における信頼醸成機構の構築にも国際協力の焦点を当てるべきだろう。
私たちは、国家の権益や短期的利益にしばられず、国連が弱い立場に置かれたさまざまな犠牲者を国際的に救済し、人権侵害や貧困などを引き起こす構造を転換するための外交努力を最優先する機関として再生されるべきだと考える。
その意味において、今回の国連改革が、安全保障と開発、人権を新たな3つの柱として、世界各地の問題解決に、これらの分野の相互協力が不可欠であるとしたことを全面的に支持したい。それは、私たちを含めて世界のNGOがこれまで主張してきたことだからでもある。私たちは、以下の諸原則に則り国連が改革されるべきであると考える。
- 非戦・非暴力・非武装の徹底
- 人権と人間安全保障の実現
- 公正な多国間主義の強化
- 二重基準の排除と普遍性の実現
国連は、政府間機関から一歩踏み出し、世界市民に対して責任を負う機関に変貌しなければならない。そのためにも、市民に対する説明責任と透明性を確保するよう強く要望する。
以下の提言は、この観点から日本の平和・開発・人権NGOが国連改革の最優先事項と考える政策である。私たちは日本政府に対して、安全保障理事会の常任理事国入りを論議する前に、これらの点に関する方針と政策を明らかにすることを求める。
呼びかけ人: 上村 英明(市民外交センター、国際人権NGOネットワーク) 川崎 哲(ピースボート) 高橋 清貴(日本国際ボランティアセンター)
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http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/3746101.stm
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