東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 2月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

故金子兜太さん呼び掛け 俳句弾圧不忘の碑建立

石碑「俳句弾圧不忘の碑」の除幕を行う窪島誠一郎さん(右)とマブソン青眼さん=25日午後、長野県上田市で

写真

 戦時中に反戦の句を詠んで投獄された俳人を忘れまいと、長野県上田市内に石碑が建立され二十五日、除幕式が開かれた。建立を呼び掛けたのは今月二十日に九十八歳で亡くなった俳人の金子兜太(とうた)さん。「俳句弾圧不忘の碑」との碑銘も金子さんが揮毫(きごう)しており、全国から駆け付けた約百五十人が弾圧された俳人や金子さんに黙とうをささげた。

 金子さんの弟子でフランス生まれの俳人マブソン青眼(せいがん)さん(49)が二〇一五年、雑誌の企画で金子さんと対談した際、「弾圧された俳人の名誉回復のため碑を建てたい」と訴えたのがきっかけ。自身の師匠も投獄された金子さんが賛同した。

 全国の俳人ら約六百人から三百万円以上の寄付が集まった。建立場所は、戦没画学生の作品を展示する同市の「無言館」近くの施設敷地内とすることに。金子さんと親交があった無言館館主窪島誠一郎さん(76)がこの施設も所有しており、「志は同じ」と快諾した。

 昨年五月に揮毫した金子さんは「除幕式には絶対に出る」と言い続けたが、かなわなかった。式典でマブソンさんは「金子先生は表現の自由と命の尊さを訴え続けた。あの世から見守ってください」と話した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】