21日の衆議院予算委員会公聴会に、筆者は公述人として出席した。
この公聴会は予算案審議において重要な会だ。というのは、公聴会が終われば(これまでの経緯から考えれば)採決が行われるからだ。予算案は、衆議院議決後30日以内に参議院が議決しないと、衆議院の議決が国会の議決になるという「衆議院の優越」があるので、年度内の予算成立を目指す政府与党は、公聴会日程を重要視している。このため、ほぼ、この時期に公聴会が行われることになるのだ(ちなみに、昨年も2月21日だった)。
筆者は公聴会に出席し、①マクロ経済政策は雇用の確保のために行うべきであること②財政状況は政府と中央銀行を会計的に連結した統合政府でみるべきで、現在の財政状況はアメリカよりいいこと、③オリンピック前に規制が行われていないことは問題である、と3点について述べた。
国会審議はすべてインターネットで配信されているので、詳しくはそれを見てほしい。ちなみに、衆議院のビデオライブラリーに収められており(http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47805&media_type=fp)、筆者のところをクリックすれば、公述した内容が動画でみれる。
①と②については、本コラム読者ならおなじみの議論だ。①については、NAIRU(インフレを加速しない失業率)が日本で2.5%程度であることを説明し、それを達成する最小のインフレ率がインフレ目標で2%、というものだ。これを描いたのが下図である。
具体的に、NAIRUの達成のためには、内閣府の計算したGDPギャップで+2%という有効需要をつくること、そのためには金融緩和か財政支出を行う必要がある。
それを示したのが、以下の図である。GDPギャップで+2%になると、失業率は2.5%程度、インフレ率は2%程度になることが示されている。
そのうえで、「一流大学は常に就職率はいいが、筆者が勤務している大学の就職事情は、雇用状況の影響をもろに受けるので、5~6年前は学生の就職は本当に厳しかった。だが、今はほぼ全員が就職している。教師の私が言うのも変だが、この5年間で学力の向上は全くないので、アベノミクスによる規制緩和で失業率が下がったおかげである。学生は就職率の向上は自分の実力でないと理解しているので、安倍政権の支持率が高いのだ」と発言したら、議場で笑いがあがった。