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「あきれるよ、本当に。礼儀違反のことだけは怒ります」ーー。尾道映画祭の会場で、映画監督の大林宣彦さんは学生たちの態度に不快感を示した。

23日に始まった第2回尾道映画祭は25日に最終日を迎えた。午前10時10分からは地元の大学生らによる自主制作作品上映会が行われ、ゲストの大林宣彦監督と安藤紘平早稲田大学名誉教授による講評が予定されていた。しかし、上映の直前になってプログラム内容の変更が会場で告げられた。大林監督らは上映会に参加せず、上映後に講評ではなく、映画についての一般的なトークをするという。

ことの経緯は前日の24日に遡る。24日の午前中には「大林宣彦青春回顧録」と題して、大林監督の若き日の自主制作作品が3本上映された。しかし、上映会場にいるべきはずの学生たちは一人もその会場に来なかったのだ。まずは自分の学生時代の映画を見てもらって、次に学生たちの映画を見る。そうして議論を深めていきたい。大林監督はこのように考えていた。だが、学生が一人も会場に来ていないことを知った大林監督は唖然とする。「こんな不勉強な学生に教える義務はない」。大林監督は、次の日に彼らの映画を見ることも講評することもやめにしたという。

1時間程して、学生たちによる6作品の上映が終わり、大林監督らが会場入りした。プログラム内容が変わった理由を安藤名誉教授が観客に説明した後、大林監督が学生たちがどこにいるのかをスタッフに尋ねたところ、彼らは会場の外に出て行ったという。そこで大林監督から冒頭のセリフが発せられたわけである。「映画とは良き模範を広めるもの」。会場に呼び戻された学生たちに対して大林監督は、映画作家になるためにはまず人としての常識を身につける必要があると強調した。


(2018年2月25日午前10時10分、尾道商業会議所記念館、尾道映画祭)(重光英一)


HOUSE (ハウス)
池上季実子
2013-11-26