年明けから原油価格がじわりと上昇している。この値動きは、2017年夏ごろ、1バレル47ドル(WTI=ウェスト・テキサス・インターミディエイト価格)程度だったころから続いているもので、現在の65ドルという水準は2014年末の価格急落以来の高値となる。
原油価格が上昇してくると、いつも想起されるのが「米国シェールオイル(*)の増産」である。果たして、現在進みつつある原油価格上昇でシェールオイルの増産は進むのか。それはいつまで続き、原油価格や世界経済にどの様な影響を及ぼすのか。
図1は、米国におけるシェールオイルの生産量の推移である。2014年に中国経済の停滞感とOPEC(石油輸出国機構)の低価格戦略(シェールつぶし)によって原油価格が下落し、イーグルフォードやバッケンといったほとんどの地域でシェールオイルの生産量は急減した。その中で、パーミヤンだけは生産量がうなぎ登りに上昇を続けた。そのため、「シェールは意外にしぶとい」、「技術革新によるコスト低減がさらに進んでいる」という評価がなされてきた。
実態は「パーミヤンの一本足打法」
2017年のパーミヤンの生産量の増分は、世界の石油消費の増分の約半分に匹敵する。まさに、世界の石油増産=米国のシェールオイル増産=パーミヤンの増産、とでも言うべき存在となっている。
逆にいえば、現在の米国のシェールオイル生産は「パーミヤン一本足打法」に近く、パーミヤンによってシェールオイル生産の将来が決まると言っても過言ではない。
パーミヤンの将来を占うには、なぜパーミヤンだけが増産を続けられたのかという疑問に答える必要があるだろう。その理由はいくつか考えられるが、一言でいうならば、「パーミヤンに開発を集中させたことによる産出コスト低減」の成果と筆者は見ている。
2014年の原油価格下落以降、新規の掘削活動の指標である「稼働リグ数」(リグ=掘削装置)は急減し、1500基以上あったリグ数は2016年の5月には317基まで減少した。しかし、その後は原油価格がピークの半値水準であるにも関わらず稼働リグ数は上昇に転じた。特にパーミヤンを中心とした増産に貢献したが、2017年8月、原油価格が上昇トレンドにある中で突如頭打ちとなった(図2)。
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