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 猫のヴァレンティノは、ロサンゼルスに住むタニア・メンジバーさんのもとで幸せに暮らしている。保護施設から初めてタニアさんの家に行ったのが去年の3月のことだ。その5週間後には、ヴァレンティノは正式にタニアさんの猫となった。

 現在の自信に満ちた健康な姿しか知らない人は、おそらく1年前のヴァレンティノを見分けることはできないだろう。

 ヒゼンダニによっておこる感染症「疥癬」を患っており、その体は誰も触れたがらないほど、ボロボロだったのである。
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重症の疥癬を患っていた子猫の訴えに気が付いた女性


 ヴァレンティノは、ロサンゼルスの動物保護施設「アット・チュー基金(At-Choo Foundation)」に一旦保護された。しかし患っていた疥癬はかなりの重症だった。毛皮はべとべとに汚れ、目は腫れあがって開けることができない。

 ヴァレンティノはケージの床にうずくまって、弱々しく鼻を鳴らしていた。


 そのかすかな声を聞きつけたのは、この施設の創設者、エレイン・シーマンズさんだった。

 「(その時のヴァレンティノは)小さな前足を一本だけ伸ばし、ごく小さな声で鳴いていました。まるで、『助けて』と、言葉にならない悲鳴を上げているかのようでした」

 他の猫はもちろん、人間でも、ヴァレンティノに触れれば病気に感染するおそれがあった。しかし、シーマンズさんはヴァレンティノを抱き上げた。

 ぬくもりに飢えていたのだろう、ヴァレンティノは、シーマンズさんの肩に頭を預けた。

 この話と写真はインターネット上で広まり、多くの人がヴァレンティノの存在を知ることとなった。



病気をきちんとケアしてくれる施設へ移送


 しかし、アット・チュー基金では他の猫もたくさんいてフル稼働状態。重症のヴァレンティノをしっかりケアする余裕は、その時点ではなかった。

 そこでシーマンズさんは、「リーブ・ノー・ポウズ・ビハインド(LNPB: Leave No Paws Behind)」の創設者、トビー・ヴィスネスキさんに連絡をとった。

 LNPBは、特に重い病気の動物をケア、時にはホスピスともなれる保護施設なのである。

 ヴィスネスキさんは、ヴァレンティノを治療し、回復した暁には里親を探すことを引き受けてくれた。



治療の効果でついに再び目を開けることが!


 LNPBで治療を受け、ヴァレンティノは回復していった。やがて再び目を開け、辺りを見回したヴァレンティノは、この子猫にハッピーエンドを見つけよう、と心に決めた人々に囲まれていることを知ったのである。

 そして、ハッピーエンドはまもなくやってきた。




SNSでヴァレンティノを見た女性、運命を感じ里親になることに


 現在の飼い主、タニアさんは、LNPBのフェイスブックに掲載された動画でヴァレンティノを見た。そして心を奪われたのだ。そして「この猫をもらい受けなければならない」と強く感じたという。



 タニアさんは数年前、路上で年老いた猫を保護した。その猫はあまりにも状態が悪いため、獣医には余命数週間と診断された。

 だがしかし。「キティ」(子猫ちゃん)と名付けられたその猫は、それから5年の間、タニアさんと共に暮らしたのだ。

 キティが虹の橋へ向かってから約1年。タニアさんは、キティを見つけたときと同じように、「助けたい」と強く感じたのである。

 そしてついに、ヴァレンティノはタニアさんの新しい家族となった。



1年後、別猫の姿となったヴァレンティノ。とても元気に暮らしてます


 最初に保護されてから1年、ヴァレンティノには当時の面影はもうない。

 おそらく3歳となった現在、ヴァレンティノは恐れるということを知らないかのようだ。タニアさんの友だちが飼っている犬に向かって平然と歩いていくのである。



 「散々甘やかしてしまって、ちょっと太ってしまいましたね」とタニアさん。ヴァレンティノはグルメなのだそうだ。「毎朝6時に、朝食のために私を起こしにきます。そうして30分位お互いに抱きしめあってから朝食をあげるのです。ヴァレンティノもこの時間が大好きなんですよ」

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image credit: Leave No Paws Behind

 ケージの床で鳴いていた子猫は、いまや新しい家庭で王として君臨している。これから、長く幸せに生きていくのだ。

via: The Dodo / Leave No Paws Behind / At-Choo Foundation など / written by K.Y.K. / edited by parumo
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コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 11:40
  • ID:3k4EYXs50 #
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goodbad+4
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劇的ビフォーアフター

2

2. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 11:45
  • ID:sswFdmqn0 #
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goodbad+3
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自分だったら抱きしめる事はできないだろうな…
こんな慈悲深い人が実在するんだ、と思うと
己の小ささにうんざりする。
とにかく猫も人も幸せな人生を送れるよう願う。

3

3. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 11:47
  • ID:644ENM1h0 #
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goodbad+7
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こんなに重症じゃなかったけど、うちの二番目の子も引き取った時に疥癬だったよ
そんでこんな風に甘えっ子だった
先住にうつると困るから完治まではケージ暮らしで、でもドアを開けると胸まですっ飛んで駆け上ってきて、しがみついて離れないから気が済むまで抱っこしてた
疥癬だったところは今も毛が薄いまま、性格はすっかりクールになりましたw
今じゃ抱っこするとイヤイヤされるよw

4

4. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 11:58
  • ID:5gMbhAqU0 #
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goodbad+2
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ヴァレンティノさんの朝は早い

5

5. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 11:59
  • ID:OcT7SqjB0 #
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goodbad+1
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俺、こういうのダメなんだよ…まったく、日曜日のお昼近くから泣かせないでくれよな。

6

6. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 12:09
  • ID:Hg4V4.We0 #
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goodbad+2
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ゴーQ
良かったよぉ~良かったねぇ~
(´༎ຶོρ༎ຶོ`)おおおおおお

7

7. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 12:21
  • ID:.6EmA3eH0 #
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goodbad+1
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読んでるだけで涙が出てきたよ
つぶらな瞳で素敵なヴァレンティノが幸せになれてよかった
最後の写真は福耳になっているようにも見えるなぁ

8

8. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 12:25
  • ID:ewkN45BB0 #
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goodbad+1
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年のせいかな涙もろくなっちゃって

9

9. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 12:36
  • ID:U5YYOH0K0 #
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goodbad+4
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でけぇwwww
よかったよかった

10

10. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 12:39
  • ID:4WKt2f6O0 #
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goodbad+2
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愛情貰ったからか、福々していて、可愛らしく優しそうな表情している。
幸せそうで良かった。

11

11. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 13:08
  • ID:EzAhWbNy0 #
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goodbad+4
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どんなによろしくないコンディションだったとしても適切な処置とたーーっぷりの愛情でこんなにも回復する事もあるんだっていうイイお手本ですな。関わった方々には頭が下がります。

こんなにも美猫様になられて何より。

12

12.

  • 2018年02月25日 13:24
  • ID:2qqcwN410 #
13

13. 匿名処理班

  • 2018年02月25日 13:44
  • ID:sg6IqBWD0 #
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goodbad0
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元飼い猫とおぼしき野良猫(呼ぶと近づいてくる)が、他の野良にいじめられて同じように酷い有様だったのを思い出した。可哀想だったけど結局何もしてやれなかったな…

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