キラー・サスペクトでは、付き合っていた男性が銀行の金を横領した事から、若き少女が警察に追跡されるようになって、富裕層に復讐していきます。そこで少女を捕まえるために、特別な能力を持ったレナードが彼女を追跡する事になりました(ネタバレなし)。
『キラー・サスペクト』のキャスト
イギリスのサスペンス映画『キラー・サスペクト』は、2016年に制作されました。DVDの収録時間は113分です。
監督&脚本
資本主義国の暗い部分をあぶりだすサスペンス映画を制作したのが、トム・ローズ監督です。
- 監督:トム・ローズ
- 脚本:トム・ローズ
役者の名前
特別な能力を持つレナードと、イギリスの北部へ逃避行を続ける少女エマが、対立していくサスペンス映画に出演した役者たちを紹介します。
- コズモ・ジャーヴィス
- ジョー・ウッドコック
- パトリス・ナイアムバーナ
- リズ・メイ・ブライス
- リー・ボードマン
- ジェームズ・コスモ
『キラー・サスペクト』のストーリー
イギリスで、前代未聞の事件が起きていました。それは銀行の預金7億ポンドを独りの男が着服するという事件。刑事は「この件で、年金受給者が路頭に迷ってしまう」と迫りますが、男は「関係ない」と冷淡な態度を取るのです。
追われる身になったエマ(起)
お金を着服している男と付き合っていた少女エマは、警察から追われる身になってしまいます。そこで、エマはロンドンから北のほうへ逃避行の旅を始めます。
しかしクレジットカードを使おうとしても、すでに使えない事に気付いて、歩きながら北を目指します。
エマは携帯やカードなどは、履歴が残ってしまうので、逃げ切るために全て捨てる事にしました。そしてヒッチハイクを始めるようになって、ある街へたどり着きます。
傲慢な芸術家(承)
エマは、住宅街で怒鳴り声を上げているダニエルズを見かけます。その男は高齢のようでしたが、助手らしき人物に去られたようでした。そこで無給ででも食事付きなら働かせて欲しいと頼み込みます。
ダニエルズは、最初こそ断っていましたが、助手がいなくなったので、次の助手が見つかるまではエマを雇う事にしました。ダニエルズは自分が芸術家である事を紹介したあとに、エマに名前を聞いたら「タラ・ジョーンズ」と偽名を使ったのです。
しかし、ある日にダニエルズは新聞にエマが載っているのを見て「これはお前だな」と聞いてきて、エマは観念をします。そして自分は何も悪い事をしていないのに、一緒に住んでいるだけで追われる身になった事を白状しました。
特別能力を持つ人物が追跡(転)
ダニエルズは、エマが弱い立場である事を利用して、それからこき使うようになります。その頃、イギリス版のCIAと呼ばれている『BCA』では、ある心理学者が特別な能力を持つ男を、エマを逮捕するために推挙していました。
その男はレナードという人物で、色を聴き音を見る事によって、見えないものが見える能力の持ち主でした。特別な能力を持つレナードはBCAで捜査に参加するようになります。しかし、すでにエマの心の中で悪魔が目覚めつつあったのです。
エマは、自分の事をこき使い続けるダニエルズの口に、シンナーを含ませたフキンを当てて気絶させたのです。それからレナードは、新聞の記事でダニエルズが亡くなった事を知ります。この件は、事件性がないと発表されていましが、レナードは違和感を抱きます。
邪魔をするウォルコット(結)
エマは、それからも雇い主を変えながら逃避行を続けますが、再び雇い主に手をかけます。もはやエマは、富裕層を憎む対象でしか見れなくなっていたのです。
レナードは、被害者をこれ以上出さないように動き出しますが、捜査官であるウォルコットはレナードを嫌って、捜査に非協力的な態度を取り続けます。そうしている間にも、被害者は増え続けていくのです。
しかしレナードは、エマを追いかけていくうちに、この事件の闇の深さを知っていく事になります。そんなレナードの動きを止めようとする者が現れて、エマを口封じにしようとします。はたして、レナードはエマを捕まえる事ができるのでしょうか?
『キラー・サスペクト』の豆知識
キラー・サスペクトでは、エマが北のほうへ逃避行を続ける中で、富裕層を憎むようになっていきます。そこで、この映画をさらに知ってもらうために、イギリス北部の情報や、資本主義の闇について紹介しましょう。
イギリスの地域格差
イギリスの首都ロンドンは、人口が約878万人もいますが、イギリス全体の人口は約6600万人にしかなりません。さらにイギリスは南部は金融業で栄えていますが、北部は経済状況が悪化していて、南北格差に苦しんでいるのです(2017年時点)。
キラーサスペクトでは、エマが逃避行先に北部を選んだのも、このようにロンドンの捜査官たちの目が届いづらい背景がありました。
ただし、このような地域格差もあって、イギリスではスコットランドで独立の気運が高まった事もあるので、今後もイギリスの動向に世界が注目しています。
資本主義の闇
エマが富裕層を憎む構図は、資本主義国ではよくある話です。実際に日本でも生活保護受給者よりも収入が少なくて苦しんでいる方がいる一方で、年収ガイドの調べによれば、年収1億円以上の方は、日本で1万4,000人を超えます(2016年時点)。
キラーサスペクトでは、富裕層が犠牲になっても、大衆が同情しないのも収入格差が広がりやすい資本主義の闇が大きく関係しています。
そのような事もあって、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』で収入格差を取り上げ事もあって、日本では21世紀の資本を取り上げたマンガ本が出るようになりました。
『キラー・サスペクト』の感想
キラー・サスペクトでは、特別な能力を持つレナードが犯罪者を追い詰めるだけの話ではなく、収入格差も出てきます。そのようなストーリーが展開されるサスペンス映画を見た感想を紹介するので、参考にしてみて下さい。
キラー・サスペクトの残念な所
エマが男とは関係がないような事を言っておきながら、逃避行を続ける時点で、大きな矛盾を感じる映画でした。もしも関係がないのなら、逃げる必要がないので、その辺りはもう少し丁寧に描いて欲しい所でしたね。
ラストシーンでも、犯罪者の構図があまり詳細に説明がなかったので、その辺りも残念な所でしたね。
キラー・サスペクトの見所
私がキラー・サスペクトを見て思った事は、特別な能力を持つ人物が犯罪者を追い詰める所よりも、収入格差やマスコミの問題を取り上げた所でした。
少し汚い方法でお金を稼いでいるとは言え、罪もない富裕層が犠牲になっているのに、大衆がエマに同情する事にレナードが違和感を抱くあたりは、収入格差の難しさをよく表していました。
さらに大衆を後押しするような記事を掲載するマスコミも、簡単に前言をひるがえす日本のマスコミと酷似しているなぁと思って、面白みがありましたね。