一般開放の日は来る? 黒部ダム、知られざる「第三のアクセスルート」
長野県と富山県にまたがる山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」には、「黒部ルート」と呼ばれる資材搬入のアクセスルートがあります。見学会に参加すれば「エレベーター付き専用鉄道」や「業務用ケーブルカー」に乗ることができます。
通常は「関係者以外立入禁止」だが…
中央地溝帯(フォッサマグナ)の西側を南北に縦断している、「北アルプス」こと飛騨山脈。ここを長野県から富山県にかけて東西に貫いているのが、全長約37kmにわたる山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」です。
「世紀の難工事」と呼ばれ、小説や映画の題材にもなった黒部ダムの建設資材搬入トンネルを活用して整備。立山連峰など複数の景勝地を通り抜けており、多数の観光客でにぎわっています。
ここを通る交通機関は、ケーブルカーやロープウェイなどさまざま。日本では現在ここにしかないトロリーバスも運転されていて、乗りもの好きにとっても注目のスポットです。とくにケーブルカーとトロリーバスは鉄道事業法に基づく鉄道の扱いですから、鉄道の全線乗りつぶしを目指している人にとっては、必ず訪ねなければならない場所といえるでしょう。
この山岳観光ルートへの入口はふたつ。ひとつは長野県大町市の扇沢駅で、長野県道45号扇沢大町線(大町アルペンライン)が接続しています。公共交通を利用する場合、JR大糸線の信濃大町駅から路線バスで40分かかります。もうひとつは富山県立山町から入るルートで、富山地方鉄道(富山地鉄)立山線の終点、立山駅が入口。富山駅からの所要時間は1時間前後です。
しかし実は、あまり知られていない「第三のアクセスルート」もあります。その名は富山県内の「黒部ルート」。トロッコ列車で知られる黒部峡谷鉄道の終点、欅平(けやきだいら)駅から黒部川に沿って黒部ダムに取り付く、全長約18kmのルートです。
大半は後立山連峰と立山連峰に挟まれた険しい山岳地帯を貫くトンネルで、景色は期待できません。その代わり、冬季の除雪作業はほぼ不要。実際、立山黒部アルペンルートは冬季に営業を休止して閉鎖されるのに対し、黒部ルートは冬も含めて毎日通行できるといいます。
もっとも、黒部ルートは黒部川周辺にあるダムや発電所に資材を運ぶためのもので、関係者以外は通ることができません。ただし、毎年6月から11月にかけ約30回、一般向けの見学会が行われています。