高齢者の孤独死防止に新たな実験

東日本大震災以降、県内の災害公営住宅で確認された「孤独死」は、ことし1月末までに、去年の8件とおととしの4件をあわせて12件にのぼり、このうち10件は65歳以上の高齢者でした。
こうした、後を絶たない高齢者の「孤独死」を防ごうと浪江町で、1人暮らしの高齢者が使った電気の量をインターネットを通じて遠くで暮らす家族などに送り、生活の状況を見守ることができる製品の実証実験が行われました。

22日、浪江町で行われた実証実験は1人暮らしの高齢者の「孤独死」を防ごうと会津若松市にあるIT関連会社の「会津ラボ」が東京・千代田区のエネルギー事業会社と共同で実施しました。
実験は、去年3月に避難指示が解除された幾世橋地区にある集合住宅で行われ、コンセントにつなぐことで家電製品が消費する電気の量をスマートフォンで確認できるプラグを、この住宅で1人で暮らす高齢者の部屋に取り付けました。
取り付けられたプラグで電気の使用量が計測され、テレビの使用状況などのデータを集めるほか、使用量が極端に減った場合などは警報音を鳴らしてデータを受信している家族に異常を知らせます。
会津ラボの船山泰一さんは「高齢者の生活の状況を目で見て確認できることは見守る側にとっても安心につながると思うので、是非利用してほしい」と話していました。
高齢者の「孤独死」の背景には、震災や原発事故にともなう避難で1人暮らしになるケースがあることや、地域のつながりが薄くなったことがあると考えられています。
福島大学などが去年、原発事故で被災した人たちを対象に行った調査によりますと、震災以降、「地域のつながりや交流が薄くなった」かを聞く質問に対し、「強くあてはまる」や「ややあてはまる」と回答した高齢者は、あわせて75.4%にのぼりました。
今回、実証実験に協力した浪江町まちづくり整備課の金山信一課長補佐は「どのような生活をしているかは、外からではわかりづらい。帰還を考えている住民のためにも、高齢者への個別訪問とあわせて、家族が直接、高齢者の生活の状況を把握出来る仕組みを普及させたい」と話していました。