米政府、「過去最大の」北朝鮮制裁を発表 

Trump talks to reporters before leaving for a conference of conservatives in Washington, 23 February 2018 Image copyright Reuters

米政府は23日、北朝鮮による制裁逃れの密輸を取り締まるため、大規模な制裁を発表した。北朝鮮だけでなく、中国や台湾などの船舶や海運会社も対象にしており、ドナルド・トランプ米大統領は「過去最大」の制裁だと述べている。効果がなければ「第2段階」へ移行するしかないと、大統領は言明した。

制裁対象には、海運会社27社と船舶28隻、個人1人が含まれる。16社は北朝鮮が本拠地だが、5社が香港、2社が中国本土、2社が台湾、1社がパナマ、1社がシンガポールに登記されている。

制裁対象となる船舶28隻のほとんどは北朝鮮船籍だが、船籍がパナマの船が2隻、コモロ諸島が1隻、タンザニアが1隻、合わせて制裁対象となった。

米政府は追加制裁を通じて、北朝鮮の核・ミサイル開発に使われる資金や燃料を断とうとしているい。

23日に記者会見したトランプ大統領は、最新の制裁が結果をもたらさなければ、深刻な展開があり得ると警告した。

「もし制裁がうまくいかなければ、第2段階に行くしかない。第2段階はかなり厳しいものになるかもしれない。世界にとって、とてもとても不幸なものになるかもしれない」とトランプ氏は述べた。

さらに北朝鮮について大統領は、「本当に、ならず者国家だ。取引がまとめられるなら最高だが、もしできないなら、何かが起きないとならない」と話した。

大統領は、「第2段階」が何を意味するのかは語らなかった。

Graphic: North Korea's high altitude tests
Image caption 北朝鮮によるミサイルの高軌道打ち上げ実験。昨年7月に発射した火星14は高度3000キロ、昨年11月の火星15は高度4500キロに到達した

米政府は2008年から北朝鮮制裁を拡大してきた。昨年11月には、北朝鮮の海運会社と船舶のほか、北朝鮮と取引のある中国の貿易会社3社を新たに制裁対象とした。

米国に続いて国連安全保障理事会は昨年12月、北朝鮮への石油精製品の年間輸出量を最大90%削減する追加制裁案を、15理事国の満場一致で可決した。

一方の北朝鮮は今年に入り、韓国・平昌で開かれている冬季五輪を機に、南北首脳会談を提案するなどの融和姿勢を打ち出している。米国をはじめ、西側諸国はこれを「ほほ笑み外交」と受け止めている。

トランプ政権は、マイク・ペンス副大統領を開会式に、現在は大統領の長女イバンカ氏を閉会式に派遣している。これに対して北朝鮮は、最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長の妹を含む、高位級代表団を開会式に派遣した。米政府によると、ペンス副大統領と北朝鮮代表団との会談が予定されていたが、北朝鮮側が直線になってキャンセルしたという。

国際社会による制裁が相次ぐなかで、北朝鮮は核・ミサイル技術の開発を続けてきた。昨年は、ワシントンを射程圏に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を初めて実施したが、ICBMに搭載可能な核弾頭の小型化に成功したかどうかは、はっきりしていない。

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相次ぐ制裁と北朝鮮の反応

  • 2016年11月30日――国連安保理が北朝鮮と中国の石炭貿易を対象に、石炭の輸出を約60%制限。銅、ニッケル、銀、すずの輸出と彫像の販売も禁止された。
  • 次に北朝鮮は――2017年5月14日、大型核弾頭を搭載できる「最新型の弾道ロケット」だというミサイルを発射実験。
  • 2017年6月2日――国連は北朝鮮の海外諜報部門のトップを含む政府関係者14人を対象に、渡航禁止と資産凍結の制裁を追加。朝鮮人民軍の戦略ロケット部隊や軍に関連する商社など4社・機関の資産も凍結した。
  • 次に北朝鮮は――7月4日に、初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと発表した。
  • 同8月6日――国連は、北朝鮮の石炭や鉄鉱石、海産物などの輸出を禁止するほか、投資を制限。年間推定10億ドルにあたる制裁規模は、北朝鮮の年間輸出額の3割にあたるとされた。
  • 次に北朝鮮は――9月3日に水素爆弾実験を成功させたと発表。小型化して長距離ミサイルに搭載できると主張した。
  • 同11月21日――米政府は、北朝鮮の海運会社と船舶のほか、北朝鮮と取引のある中国の貿易会社3社を新たに制裁対象にした。
  • 次に北朝鮮は――11月29日、米本土全域に到達可能な新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)15」の発射を同日未明に成功させたと発表。
  • 同12月22日――国連は、北朝鮮への石油精製品の年間輸出量を最大90%削減する追加制裁案を可決。
  • 次に北朝鮮は――今年1月1日、金正恩氏が新年の辞で、核のボタンは「常に自分の机の上」にあると述べる一方で、平昌冬季五輪への選手団派遣の可能性に言及した。
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(英語記事 US to impose 'largest ever' N Korea sanctions

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