ワンダーフェスティバル2018冬が終わり、無事に広島に帰ってきた柚P
(@Nitori_cucumber)です。
ワンフェスが終わったということで、また更に書きたいエントリが増えてしまいました。やりたい作業が山積みになっております。
今回は、その中の一つから「イベントで売られているガレージキットの原価」について取り上げて書いてみようかと思っております。みなさんは気になりませんか?私は気になります。
イベント原型を自分で作られている人は、なんとなくどのくらいの費用がかかるのか分かっていると思うので、どちらかと言うと「イベント原型を作ったことない人・これから挑戦しようと考えてる人・何も知らない人」に向けての記事に出来たらと思っております。
ガレージキットの原価はいくら?
ここでは、私が今回のイベントで製作した、少女終末旅行という作品の「チト」「ユーリ」のガレージキットを元に計算していきます。参考に2体のフィギュアの大きさとパーツ数を書いておきます。
- 「チト」が、高さ210mm、パーツ数:16
- 「ユーリ」が高さ220mm、パーツ数:21
パーツ数は少ないですが、サイズが200mmオーバーとかなりデカイです。市販されている1/7スケールの商業フィギュアより頭一つ分くらい大きいかな?
このくらいの大きさフィギュアを作るのに、一体どれくらい掛かったのか「原型製作費用」「複製費用」「WF参加費・交通費」に分けて計算していきましょう
原型製作に使った材料費
- タミヤ速乾エポパテ(1500×2=3000円)
- ウェーブ軽量エポパテ(1000×4=4000円)
- マジックスカルプ(2700円)
- 針金(100円)
- ナイフ替刃(500円程度)
- 紙やすり類(2000円)
- デコマス製作用塗料(2500円)
- 展示代(ベース1000円 木ニス800円 テクスチャ塗料=2800円)
合計17600円
いきなりですが、原型を作るために使った材料です。ざっとこんな感じ。
フィギュアの原型(複製前のオリジナル)を作るやり方には色々ありますが、私は、アルミ線をベースにエポキシパテを盛り付けて造形をします。
使ったエポキシパテは「タミヤ速乾、ウェーブ軽量、マジックスカルプ」の3種類です。意外とたくさん使いました。
それ以外の、造形で使用した「工具」「マテリアル」は新規で買ったもの意外は入れていません。超音波カッターとかスパチュラとか色々ありますが、全部入れてたら大変な値段になるので・・・
原型を製作する以外には、デコレーションマスター(デコマス)を作るのに使用した塗料や、展示台の製作に掛かった費用があります。
複製に使った材料費
- ほいく粘土(215×6=1290)
- シリコーン代(旭化成ワッカーシリコン 8kg 20920円)
- レジン代(RCベルグ2kg 4104円 RCベルグ16kg×2 23328円 里見デザイン4kg 6660円)
- レジン用離型剤(3616円)
- ウェーブシリコーン型用ダボピン(600円)
- ウェーブキャスティングウォール(2300×2=4600円)
- MDFボード(900円)
- 輪ゴム(600円)
- キッチンペーパー(298円)
- 100円ショップ複製グッズ(100×22=2200円)
合計69116円
続いて、フィギュアの原型を複製するのに掛かった費用です。主にシリコーン代や、レジン代になりますね。
▼複製が何なのかよく分からない方はコチラの記事を参考にしてみてください。複製がどんなものなのかなんとなく分かると思います。
シリコン型とレジンを使った本格的な複製をしてみた!「パーツの粘土埋め編」
シリコン型とレジンを使った本格的な複製をしてみた!「シリコーンを使って型を作る編」
で、今回使用しているシリコーンは「旭化成ワッカーシリコンM8012」ってやつなんですが、こいつを簡単に説明すると「コスパ高い代わりに30個ぐらいしか複製できない」という性能のシリコーンです。
「旭化成M8012」は少量複製の一般向け用というシリコーンですね。チトとユーリは、お互い20個づつの複製&販売の予定だったのでこのシリコーンを選択したわけです。
それ以上の数を複製したい場合は、もっと耐久性の高い「RCベルグ ダウ#3498#8000」とかを使います。コチラは1kgで4000円くらいのシリコーンです。これだけで値段がグッと上がります。
レジンは20kgほど使いました。レジンというのは、シリコーン型に流す樹脂ですね、このレジンという樹脂が固まってパーツになります。
その他は、輪ゴムとか、クランプに使うMDFボードとか、まあ複製に使用する道具たちです。
ここでも、既に持っていた「加圧脱泡機」や「量り」などの複製に必要な道具は費用には入れていません。
イベントに参加する費用
- 卓代31500円(三人で参加したので10500円/人)
- 自宅~飛行場までのバス代(往復2200円)
- 広島空港~羽田空港 29000円(飛行機往復&初日ホテル代)
- 羽田空港~海浜幕張(片道1150円)
合計44000円
最後に、ワンフェスに参加するために使った費用です。参加費(卓代)とか交通費とか。
ワンフェスの参加費は「卓代」といって、1テーブルで計算されます。費用は1テーブルで3万円ほど。1つの机にはMAXで3人が参加できて、人数が増えるほど1人あたりの負担は減ります。
逆に1人で参加すると、3万円の卓代が全部自分に降りかかります。なので出来るだけ知り合いとかの卓に相乗りさせてもらい、卓代の節約に務めるわけです。
私の場合はWFで知り合った、うるにうさんの「水色病」という卓に参加させてもらってます。私含めて3人での参加なので、卓代は3で割って10500円です。
それ以外は、交通費と宿泊費ですね。私が住んでいる場所は、広島と島根の中間くらいにある三次という田舎です。なので、その三次から、ワンフェスの会場となる海浜幕張駅までが移動費となります。
飛行機の往復チケットと、初日のホテルは旅行会社のツアーパックで取ったので、まとめて29000円と書かせてもらってます。
純利益はいくらになったのか?
あとは「いくら使って」「いくら売上たのか」で純利益を出していきます。
掛かった費用
- フィギュア原型製作費用 合計17600円
- フィギュア複製費用 合計69116円
- イベント参加費・交通費 合計44000円
合計:130716円
なんと13万です・・・売れるか売れないか分からないようなフィギュアを・・・原型師の方々はイベント前にこれだけの大金をつぎ込んで作っているわけですね・・・。
しかも、私の場合は、イベント参加も初めてではないので、道具とかある程度揃っていてこの金額ですから「イベント初参加」とか「複製初挑戦の人」ならもっとお金がかかると思います。
で、今回の私の売上ですが、
キットの売上
- 「チト」8000円 20個 → 完売!(160000円)
- 「ユーリ」8000円 20個 → 完売!(160000円)
合計:320000円
こればっかりは、購入して頂いた方々、本当にありがとうございます、って感じです。8000円のガレージキットを2人合わせて40個すべて売り切ることが出来ました。
この結果見て「もっと大量に作れば荒稼ぎできるじゃん」って思う方も多いと思います。もちろん、私ももっと数を作っておけば売上増えたのに。と感じておりました。
しかし、ワンフェスというのイベントはそんな簡単なものじゃないんですよね・・・アニメや漫画のキャラクターのフィギュアを売る場合、事前に「当日版権」という許可を取らないと売れないルールになっているのですが、それが結構難しくって。
ワンフェスで売られているフィギュアは基本的に、「事前にサイズやら販売個数やらを決めて版権元に許可を取る手続きを取らなければいけない」という手続きを受けています。
なので、試作品の段階(下手すりゃ泥人形)で自分の作っているフィギュアがいくら売れるのかを判断しなければいけません。
しかも人気なキャラだからと言って売れるわけでもなく・・・「売れるもの売れないもの」の差が結構激しくて、本当に何が売れるか分からないんですよね。
そんなこんなで、「大博打うって爆死したり」「控目に行って大量に売れたり」なんてのがワンフェスでは日常茶飯事なんです。
他にも、色んな要因があるんですけど、ここで説明してたらキリがないので、また別の機会にでも。まあ色々大変なんですよ(丸投げ
純利益
- 売上 +320000円
- 諸費用 -130716円
- 製作時間(人件費) プライスレス☆
純利益 +189284円
結構いい結果なんじゃないでしょうか。流石に40個のガレージキットを売り切ったのでこれくらいの利益がでてもいいですよね・・・しかも自家複製ですし・・・
今回のワンフェスで「このサイズで8000円は安くない?」って結構言われましたが、この値段が実現できるのも、40個という販売個数と自家複製による徹底的な節約から来ています。
で、これだけでちょっと物足りないので、オマケとして「販売個数20個の場合」と「販売個数80個の場合」と「複製を抜き業者に依頼した場合」を紹介します。
色んなシチュエーションで検証
販売個数20個の場合
計算方法としては、単純にレジンの使用量を半分にするだけです。原型製作費や、交通費、シリコーン型製作についてのマテリアルは一緒なのでそのままです。
- 原型製作費 合計17600円
- 複製費 合計52070円
- 交通費 合計44000円
合計 113670円
販売数20個→8000円×20=160000円
全部売れた時の売上 160000円
160000-113670=46330円
純利益46330円
販売個数を半分にしたら純利益がガクッと下がりましたね。でもこの販売個数20個っていうのは、一般ディーラーではけっこう普通な数字です。
そして、諸経費から考えたら、最低でも「14個」は売って帰りたいところ。それ以下の販売個数なら赤字です。
思い出してみてください、これ製作に費やした人件費は入ってないですからね。あくまでも趣味でやってる事ですから、自分が動く分のお金は発生しておりません。それでこのギリギリ加減です(笑)
販売個数80個の場合
こんなに売れたら最高なのになーーーという、夢の販売個数です。大手ディーラーさんや、商業原型師さんならこれくらい売って帰るんじゃないでしょうか?
計算方法としては、シリコーンを「旭化成M8012」から、耐久性の高い「ダウ#3498#8000」に変更、レジンの使用量を倍にする、という感じです。その他は変わりません。
- 原型製作費 合計17600円
- 複製費 合計113600円
- 交通費 合計44000円
合計 175200円
販売個数80個→8000円×80=640000円
全部売れた時の売上 640000円
640000-175200=円
純利益464800円
こんだけ売上上げてみたいなあああ!!!(夢のようなお話)
ちょっと話変わりますが、ワンフェスの中で行われているWSC(ワンダーショーケース)という企画をご存知でしょうか?
それは「ワンフェス参加者の中から厳選された、超絶原型師様のフィギュアを取り上げてWSCの特設会場で再販売する」という内容になっています。
で、ワンダーショーケースで販売される超絶原型師様のフィギュアでさえ、販売個数が”40個”とかなんですよ。売れるのが確実であろうフィギュアでもその程度の個数の販売です。
ここから分かるように、販売個数80個と言うのは夢のまた夢の話なんですよね~。はい、解散。
複製を抜き業者に依頼した場合
これ結構気になってる人いるんじゃないでしょうか?私も気になっていたので、原型を見てもらって有名複製業者のR社さんに簡単な見積もりを出してもらいました。
細かい見積もりを出してもらった上で、「これブログに載せていいです?」って聞いたところ、「トラブルの元になるから細かい金額とかは公表しないでボカしてもらえればOKっす(笑)」との事だったので、8000円のキットを40個販売して売り切ったときの結果だけ言います。
全部のキットを売り切って、20000円の黒字でした!
簡単に計算して320000円の売上に対して、費用が300000円だったという事ですね。細かいのが知りたかったら「こんくらいかな~?」っていうのを自分で計算してみてください。
で、これを見て「たった2万円の売上?」と感じた方も多いはず。しかし、私は逆に「プラスまでもっていけたんだ。」と思いました。
複製業者に頼んだ場合は「全部売り切ったら5万円の赤字で済む」という話がザラにあります。ていうか、販売個数20個で業者抜きなら本当にこんな感じなんでしょう。
ちゃんとした売上を出せるようになるには、30万円ほど売れる様になってからという感じですね・・・
コレを見たら、抜き業者さんに頼んで綺麗なガレージキットを販売しているディーラーさんが、どれだけ頑張ってるかがお分かりいただけると思います。作り手の事を1番に考えてくれてますね、ほんとありがたいことです。
いくつかの場合に分けた「フィギュア1体分の原価」について
最後になります。ここまででいくつかの場合に分けたお金の話をしてきましたが、それを元に「フィギュア1体分の原価」を計算してみます。計算方法は、掛かった費用を販売個数で割って1体分を出しています
- 自家複製・販売個数40個 → 3267円/体
- 自家複製・販売個数20個 → 5684円/体
- 自家複製・販売個数80個 → 2190円/体
- 業者複製・販売個数40体 → 7500円/体
ここから分かるように、ガレージキットの原価は「3割~5割」という事が分かります。業者抜きになると「9割~10割以上」もしくは赤字、という感じですね。
今回計算した金額は、あくまでも私が製作したフィギュアでの話になります。パーツ数が多くなったり、サイズが大きくなったりすれば、かかる費用は増えますし、逆にパーツ数が少なくなったり、サイズが小さいと、費用は少なくなります。
「このくらいのフィギュアでこんだけのお金がかかるのか~」程度の目安として考えて頂ければ幸いです。
あと、持ち前の電卓でピコピコ手打ちして計算してるので、間違っているかもしてません(汗)もし間違えを見つけた方いましたら、お問い合わせフォームやTwitterなりで指摘していただけると助かります・・・
長くなりましたが、以上になります。
それでは。
この記事を見た人はこんな記事も見ています。
シリコン型とレジンを使った本格的な複製をしてみた!「パーツの粘土埋め編」
少女終末旅行のフィギュアを作ったのでWF2018Wの告知をします。
古くなった筆をすぐ捨てるのは間違い?古い筆を簡単に復活させる裏技とは!?
複製で使っている「油粘土を融かして再利用できるのか」を実験してみた。
プラモデルを作っている「作業部屋」を隅から隅まで大公開します!!
【ガンプラ初心者】初心者必見!ガンプラ製作に役に立つオススメツール11選