地方銀行は、地元の企業の株式を長期的な取引関係を維持構築するために保有しています。
いわゆる、政策投資株式というものですね。
京都には、任天堂、日本電産、京セラ、村田製作所、オムロンなど京都発の世界的優良上場企業が多数あり、京都銀行はその株式を大量に保有しています。
京都銀行は、それら優良企業の株を上場する前から保有していたものと推測されます。
その帳簿上の取得原価は、せいぜい1株当たり100円か200円とかにしかならないものと推測されます(取得原価は公開されていません)。
今の会計ルールでは、政策投資株式は「その他有価証券」に分類され、時価評価されます。
時価評価差額は、損益計算には反映されませんが、税効果相当部分を除いた含み益(約70%部分)が純資産の部に計上されることになります。
有価証券報告書から抜粋した、上位5先の株式の株式数、時価、見込配当額をあげておきます。
銘柄名 | 株数 | 時価(2月23日) | 年間配当金 |
任天堂 | 588万株 | 2,840億円 | 29億円 |
日本電産 | 1,239万株 | 2,085億円 | 12億円 |
京セラ | 1,443万株 | 893億円 | 17億円 |
村田製作所 | 526万株 | 780億円 | 14億円 |
オムロン | 706万株 | 448億円 | 5億円 |
京都銀行(単体)の年間の有価証券利息配当金は250億円程度です。
この上位の5社だけで、年間70億円程度の配当金を得られることとなります。
含み益も数千億円になるでしょう。
昨今、コーポレート・ガバナンス改革が叫ばれ、政策投資株式については、有価証券報告書でその保有目的を詳しく説明するように義務付けられました。
意味のない持合株式は資本効率を損ねる、経営者の自己保身だ、不透明な取引慣行だ・・と散々な叩かれようです。
「総合的な取引関係の維持・拡大と長期的な関係強化」
これだけです。
何も言っていないと同じですが・・上記の巨額の含み益と配当収入をみれば、どんな投資家も黙るのではないかと。
同じ地銀でも、地場に優良企業が存在しないところでは、政策投資株式を持っていても含み益どころか減損処理・減配などなにもいいことがありません。
また、各地の地銀の保有株式の状況を調べてみたいと思います。