先日リバーズ・エッジを観てきましたので感想なんかをつらつらと綴っていこうと思います。ネタバレはしないよう気をつけます。
それと同時に鑑賞後ではあまりにも違う印象を受けた、小沢健二「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」について改めて思惟を巡らせみたいと思います。
「リバーズ・エッジ」あらすじ
女子高生のハルナ(二階堂ふみ)と、ハルナにだけ心を許すゲイでいじめられっ子の山田(吉沢亮)と摂食障害であるモデルのこずえ。彼らは河原で見つけた死体に魅せられていた。山田をいじめるハルナの恋人・観音崎や、山田のことが好きな田島カンナらも、それぞれに事情を抱えていた。ある日、新たな死体が……。
「リバーズ・エッジ」感想
性欲・暴力・同性愛・死体・ドラッグ・妊娠・過食嘔吐などなど人間の醜さが全面にこれでもかと言うほど表現されたカオス映画。
最初から最後まで歪んでいて、その映像、演出の素晴らしさ故に目を背けたくなるような場面ばかり。視覚的ではなく内面的なグロテスクさ。
ですが、僕はなんというか、すごく綺麗な映画だなと感じました。
その内面的なグロテスクさは誰もが持ち合わせているもので、それを表に出しているかどうかの違いです。そこに魅力を感じてしまうあたり自分が思っている以上に人間が好きだったりするのかもしれないな。なんて思ってみたりみなかったり。
他にもキャスト陣の演技が素晴らしく、キャスト全員「役」が憑依したかのよう。
中でも「土居志央梨」さん。
主人公である「二階堂ふみ」さんが演じるハルナの友達ルミ役です。
中々に汚く、醜い、難しそうな役を怪演されています。言っていいのかわからないけれど安藤サクラさんに似た魅力を感じました。
映像・音楽面でも演出が素晴らしく90年代に撮った映画をそのまま上映されているよう。
画面比が4:3で撮影されていたり、キャストの服装、小道具などすべてを90年代に合わせて撮られていました。街のシーンはゲリラで撮影を行ったため、スマートフォンが映ってしまわないよう、何十テイクも撮り直しを行ったそう。
ピザやライターなどの使用してのカット割りなど細部まで監督のこだわりを感じます。
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主題歌:小沢健二「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」について
先日感想記事を上げたばかりですが、「リバーズ・エッジ」を観て印象がガラリと変化したので改めて記したいと思います。
リライトも考えましたがあちらはあちらで第一印象での感想なので残しておきます。
前回の感想記事がこちら▼
美しい友情と情熱。小沢健二「アルペジオ (きっと魔法のトンネルの先)」感想
リバーズ・エッジ著者の岡崎京子さんと小沢健二さんの美しい友情を表現した歌だと思っていました。
映画を観て改めて感じたのが、「友情を表現した曲には違いないが、この曲は極めて私物的な曲であり、小沢健二が岡崎京子へ宛てたただ手紙」のようだと。
前回の感想記事ではいろんな考察なんかも試みていましたが、考察なんかまるで必要のない、岡崎京子とリバーズ・エッジのためだけに書き下ろされたと言っていい、何の雑念もないただただ真っ直ぐな手紙です。
エンドロールで流れてきたときは感嘆しました。
「リバーズ・エッジを観て、エンドロールで聴いて完成される曲」だと断言できます。片方が欠けては完成しない。言わば、小沢健二と岡崎京子の共作。
心から素晴らしい楽曲だと改めて思いました。出会えてよかった。心の中ではスタンディングオベーションです。
まとめ
個人的には満点をつけたいほどの素晴らしい映画でした。
ただ、すこし観る人を選ぶのもたしか。
10人が観たら3人は満点。だけど残り7人は平均点以下を点けるような内容です。
何かを抱えていたり、どこか日常に躁鬱を抱える方に特におすすめできます。
泥々で、ぐちゃぐちゃで、悲しくて、脆くて、危なっかしくて、それでも綺麗な90s特有の若者の抱える欲とカオス。
役者、制作陣の全身全霊を見ることができます。
今年は「リバーズ・エッジ」を超える映画は出てこないかも。
やっぱり邦画が好きだな。僕は。
ではでは。