第1原発3号機「屋根カバー」設置完了 秋にも燃料取り出しへ

   
第1原発3号機の建屋上部に設置される最後の屋根カバー=21日午前8時20分ごろ(代表撮影)

 東京電力は21日、福島第1原発3号機で、使用済み燃料プールからの核燃料取り出しに向け、作業中の放射性物質の飛散などを防ぐ屋根カバーの設置を完了した。東電が作業状況を報道陣に公開した。今後は今秋の燃料取り出し開始に向け、プールから遠隔操作で燃料を取り出す作業員の訓練などを進める。

 3号機の原子炉建屋は水素爆発で損傷、プール内には未使用を含む燃料566体が残る。使用済み核燃料は強い放射線を出すため、廃炉作業での大きなリスクとなっている。建屋上部は事故直後、放射線量が毎時2000ミリシーベルトを超える場所もあり人が近づけなかったが、除染や遮蔽(しゃへい)体の設置を進め毎時100~700マイクロシーベルトまで低減。1~2時間程度の現場作業も可能となり、燃料取り出しに向けた作業環境が大きく改善する。

 この日は、8個に分かれた「かまぼこ形」のカバーの最後の一つを組み合わせた上で建屋上部に取り付けた。午前7時45分から大型クレーンで55トンのカバーをつり上げ、約1時間半で設置を終えた。カバーの全長は約57メートルで高さは約18メートル。今後はカバー内に空調や電気設備などを設ける。

 東電はプール内で燃料を輸送容器に移す「燃料取扱機」やクレーンを使い、全て遠隔操作で取り出す。2015(平成27)年2~12月には第1原発構外の工場で遠隔操作訓練を実施しており、今後は第1原発構内にある実際の遠隔操作室で訓練を行う予定だ。

 カバーの設置工事は昨年1月から始まった。東電は訓練や現場での作業調整などで半月ほど工程が短縮されたとしている。