hibiki21_1今回は、サントリーの響21年を飲みます。

響自体が、多くの原酒をブレンドすることによるハーモニーを重視した銘柄ですが、響21年においては、そのキーになるのが山崎のシェリー樽原酒になります。

この響21年においては、国際的なコンテストで多くの賞を獲得しています。
ワールド・ウイスキー・アワードは2010年より5度のワールド・ベスト・ブレンデッドウイスキーを獲得、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジに至っては、最高賞であるトロフィーを2013年から5年連続で獲得、さらには2017年にすべての蒸留酒の頂点に輝く、シュプリーム・チャンピオン・スピリットを獲得しました。

現時点でジャパニーズウイスキーとして最も評価されたボトルだ、と言っても過言ではないでしょう。

いつものように飲んでみますが、今回は比較として、ノンエイジのJAPANESE HARMONYと、すでに販売終了した12年も飲みます。
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まずはストレート。
21年をグラスに注ぐと、かなり濃厚なアンバー、香りはドライマンゴーが得られます。

口に含むと、アルコールの刺激は殆どなく、先にレーズン、続いてマンゴー、ハチミツと続きます。
味わいは酸味がほんのり通った後、軽くビターが追いかけます。

JAPANESE HARMONYの場合、アルコールの刺激が強めなれど、香りはとてもフローラルです。さらには白檀の芳しさも付いてきます。
味わいはアルコール由来の辛さが目立つものの、その後は酸味が支配します。

一方で12年の場合、ほんのり梅の香りがした後、軽くピートのスモーキーさが続き、その後はシナモンのスパイシーな香りが続きます。
味わいは多少の辛みがあるものの、後になるとビターが追いかけます。

続いてロック。
21年では、オレンジの爽やかさの後に白檀の香りが咲き開き、その後にピート、マンゴー、ナシ、黒こしょう、シナモンが続きます。ストレートで感じたレーズンは跡形もなくなっていました。
味わいはビターが強めになるものの、後になるほど甘みが増します。
加水が進むとフローラルさが増し、味わいも酸味が支配していきます。

JAPANESE HARMONYは、カスタードクリームの香りが前に出てきて、白檀が後ろを支えるように感じ取れます。
味わいは、21年以上にビターが真っ向から得られ、他の味わいが消えてしまうほどです。

12年では、ナシとピートが強くはじけるように香り、後からナシ、カカオ、ウッディと続きます。
味わいは軽くビターの後、ほんのり甘みが得られます。

最後にハイボールで。
21年では、ナシ、レーズン、マンゴーの香りがしっかりと伝わります。
味わいはビターがメインで、甘くて飲みやすいというものではないです。

JAPANESE HARMONYは、軽く白檀が香り、その後にナシなどのフレッシュなフルーツを感じられます。
味わいは、21年同様にビターがメインです。

12年になると、梅、ナシが先に訪れ、次にピートからのスモーキーな香りへと続きます。
味わいは、やはりビターが主体で、後から酸味を得られます。

興味深いことに、この3つの響は、味わいにおいては総じてビターがメインで、決して甘さを売りにしたウイスキーではない、という共通点があります。

しかし香りは三者三様で、JAPANESE HARMONYは華やかでライト、12年はピートと梅の香りが個性的、そして21年はレーズン、ドライマンゴー、バニラ、カカオ、黒こしょう、シナモンなど、多彩で濃厚な香りを醸し出します。

正直に言うと、パッと飲んで第一印象で選ぶとなると12年です。
しかし何度も飲むたびに、21年はその奥深さが垣間見られるようになり、実に奥が深いウイスキーだと感じます。

響21年は700mL、アルコール度数43度、実売価格は4万円を超えます。
中古のボトルですら同じ価格で売られているのですから、異常です。
原酒不足が深刻になっている上に、海外での極めて高い評価を得ていることから考えても、これほどのプレミアが付くのは仕方ないでしょう。

ただ、個人的に飲んでみると、そのプレミアはあながち誤りとは言えない、という感想に落ち着きました。
2万円で売っているなら、個人的にNo.1に挙げてもいいと思いますが、プレミアが付いて4万円になると、相応に思えます。

<個人的評価>
  • 香り AAA: ストレートではレーズンとマンゴー、加水すると白檀、オレンジ、さらにカカオ、ピート。とても豊か。
  • 味わい B: 全体的にビターがメイン。後から酸味が来るが、甘さは殆どない。ただ、あまり味が強くない。
  • 総評 AA: 4万円オーバーのプレミアが付いているが、あながち伊達ではない。