創作物に対する「タダでやってよ問題」の理由の一つはこれかな

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SNSの普及でこれまで身内の間でしか伝えられていなかったことが広範囲に広がるようになったり、意思疎通ハードルが下がることでアプローチが容易になり「やってよ」の声かけも増えてきたのだろうなというのが、この創作物の創生者に対する「無料で、あるいはタダ同然の対価でやってよ」問題。

原因としては以前にも取り上げた、某超有名御大の作法もあるのだろうし、公的機関や大手媒体による「予算がもったいないし低コストであげられれば自分の成果になる、コストがかけられないけど何かしたい」の思いの体現化もあるのだろうし、「ダメもとで聞こう。了承とれたらラッキー」ぐらいの思惑もあるのだろう。当方は絵も描けないし造形も作れないけど、文章関連でこの類の問いかけはいくつか、しかもよく知られているところから受けた経験があるので、色々と思うところもあったりする。

で、指摘されている通り、すべてがすべてでは無いけど、「お給料は我慢料」的な言い回しにもある通り、対価は苦労をして得るもの、その苦労を我慢したご褒美として支払われるものとの考え方がある。色々と辛い時にはこの考え方でじっと我慢する。

そしてもう一つ、創作者ってのは得てして自分の得意技、好きなことをやって創作をしているのだから、苦労などしているはずがないという考え方がある。創作物そのものには対価は発生していないってことになるんだけどね、それ。おかしいよね。

でもよく聞く話「5分で作業が終了したら5分間の長さに該当する対価しか支払いたくないという風潮」「だから5分で作業が終わるものでも、あえて長時間をかけて一生懸命頑張ったように見せないと、正当な対価を要求するのが難しい」ってのを思い返すに、今回の指摘もあながち的外れなものではないな、という感はある。

そしてその二つが合わさることで「創作者は好きな事をやって創作物を生み出しているのだから、苦労はしていない。だから対価など払う必要は無い」という結果が出てくる......ああ、「ちゃっちゃっとやってよ」「好きでやってるんでしょ」の言い回しが永久ループでリフレイン。確かに指摘の通り。

苦労しなきゃ対価は発生しないってのがそもそもおかしい話であるのに、ね。まぁ、空から欲しいものが何でも降ってくるのなら、そういう価値観が登場しても仕方が無いかなととは思うのだけど。

対価は苦労に発生するわけじゃない。厳密には苦労「にも」発生するけど、主要な対価発生対象は成果物そのものだからね。見方を変えると、苦労のみに対価を見出している人は、成果物、創生物には何の価値も覚えてないってことにもなるんじゃないのかな。

            

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2018年2月23日 07:48に書いた記事です。

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