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【社説】

選択的夫婦別姓 意識変化を受けとめよ

 選択的夫婦別姓の導入に賛成する人の割合が内閣府の調査で過去最高となった。結婚観や家族観が多様となる中で、選択的別姓も認める。そんな国民の意識変化を映した結果だろう。

 結婚の時に同姓とするか、別姓とするかを夫婦の希望で選べる「選択的夫婦別姓」。五年ぶりに実施された内閣府の調査からは、夫婦で別の姓を名乗ることに抵抗感が薄らいでいることが読み取れるだろう。

 選択的別姓を導入してもよいと答えた「賛成派」が過去最高の42・5%。二〇一二年の前回調査よりも7ポイント増加。一方、導入の必要はないと答えた「反対派」は29・3%。賛否が拮抗(きっこう)した前回よりも賛成多数が明確になった。

 全体でみると賛成は約42%だが、年代別では男女ともに結婚が身近な年代ほど賛成する割合が高い。六十歳未満は賛成が約48~52%で、反対の約13~19%を上回る。七十歳以上のみ反対が約52%で、賛成の約28%を上回った。

 初婚者だけでなく再婚者も増えた。夫婦どちらの姓とするのかは合意によって決めるとはいえ、カップルの96%は女性の方が姓を変えている。ということは結婚や離婚のたびに姓を変えているのも多くは女性ということだ。

 世界に目を移せば同性婚を認める国が増えた。そもそも結婚とは何かという根源的な問いもある。家族のありようも多様に変化していくなかで、選択制なら夫婦が別姓を名乗れる制度があっていいと肯定する人が増えていくのは自然なことではないか。

 法相諮問機関の法制審議会が一九九六年に選択的別姓の導入を求める答申をし、法務省が民法改正要綱をまとめて以降も法改正の動きはみえない。家族の崩壊を招くと主張する自民党保守派らの強硬な反対が背景にあるからだ。

 それでも改姓による名義変更の不便や職歴の断絶などを避けたいという声はある。「女性の活躍」を掲げる政府は、職場などで旧姓使用を認めることで対応しようとする。昨年からは裁判官が書く判決文や検察官が書く起訴状も旧姓使用が認められるようになった。

 だがそれらも根本的な解決にはならない。新たに選択的別姓を導入することは女性差別につながる法の見直しを出発にした、人権の課題である。姓をどう名乗るのか。その人らしさや尊厳にかかわる問題を、働く女性だけの問題に小さくすり替えてはならない。

 

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