2年ごとのオリンピック中継において、テクノロジーはその進化を見せつける。オリンピック競技のテレビ中継やストリーミング配信は、何キロメートルものケーブルや何百台ものカメラを駆使して実現する。プロデューサーらは、どの映像を地球の裏側まで届けるべきかを一瞬で判断しなければならない。
それを思うと、米NBCが平昌冬季オリンピックの中継で直面しているさまざまなトラブルが、どれも非常にシンプルなことが原因で起きているのは、ある意味、皮肉な話だ。生放送中の1人の人物の発言に2000万人もの批判者が集まるという図式だ。NBCはこれまでに平昌オリンピックの中継で幾つかの失態をさらし、韓国人やオランダ人、女性アスリート、スキーファンなどへの謝罪や弁明を余儀なくされている。
テレビの生放送とそれに伴うリスクは、何も新しいことではない。そうした問題を取り巻く風潮についても同様だ。
「テレビの生放送はかつては一瞬で過ぎ去るものだった」とアリゾナ州立大学の放送学部教授でスポーツプログラム担当ディレクターのブレット・カーランド氏は語る。「何かが起きたとしても、見ている人もいれば、見ていない人もいた。だが今では、誰かにとって気に食わない発言があれば、その部分がGIFに切り取られ、インターネットに投稿される。あっという間にTwitterのフィードにあふれることになる」と同氏。
「誰もがスクリーンショット1つで不名誉な評判を背負うことになりかねないということだ」とさらに同氏は続ける。
NBCが最初に直面したトラブルは、予期せぬところから発生した。ことの発端は、開会式の中継においてホスト国についての解説を任されていたジョシュア・クーパー・ラモ氏の発言だった。ラモ氏は非の打ちどころのない経歴を持つ、アジア関連の専門家だ。シカゴ大学を卒業した後、Time誌で編集者となり、現在は元米国務長官ヘンリー・キッシンジャー氏のコンサルティング会社でCEOを務めている。
日本の安倍晋三首相の姿が画面に映し出されると、ラモ氏は、1910年から1945年まで日本が韓国を占領したが「韓国人は皆、韓国の発展において日本が文化や技術、経済の面で重要なモデルになったと言うだろう」と発言した。
この発言が韓国人の怒りを買い、韓国が日本の占領軍から受けた扱いについて、多くの韓国人がソーシャルメディアを通じて憤りをあらわにした。この事態を受け、NBCは直ちに謝罪。ラモ氏はそれ以降、NBCの放送には登場していない。ただしNBCの説明によれば、ラモ氏とはもともと開会式以外の仕事は契約していないとのことだ。
さらにNBCは今のところ、韓国の文化について、これまでのオリンピック開催地の場合と比べて、あまり掘り下げて報じていない。ただしこの点については、ゴールデンタイムで各種競技を生放送するための過密なスケジュールが1つの要因となっていそうだ。
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