動きを妨げない一体感を追求“背負う”ではなく“身に着ける”シマノのバックパック その機能と収納力をインプレッション
サイクリング用ではないバックパックを背負うと背中でスイングするように揺れ動き、自転車を漕ぐ動きが損なわれることが多々ある。そんな中、シマノでは「バックパックは身に着けるもの」という発想に基づき、まるでサイクリストの体と一体化するようなフィット感を追求した、細部の機能に至るまで“サイクリスト目線”のバックパックを開発している。オン・オフロード、用途に応じて様々な形状をラインナップしているシマノのバックパックシリーズから、今回は機能に定評のある「Uシリーズ」「Tシリーズ」「Rシリーズ」3モデルのインプレッションを紹介する。
肩回りを解放する「クロスハーネス」
1つめの「Uシリーズ」は散策、ツーリング、ロングライドなどに適したバックパック。あらゆるサイクリストのニーズに応えられるよう、サイズは2、6、10、14Lと4種類を展開している。今回はその中から通勤などでも使いやすい6Lサイズの「U-6」を選択してインプレッションした。
このシリーズの最大の特徴は「クロスハーネス」という体の前中心部でクロスにハーネスを留めるシマノ独自の機能。腕周りの筋肉が解放され、かつ脇下の通気もスムーズになる設計だ。
実際に使用してみると、腕周りの自由度の高さは想像以上。胸元に集まるように絞れているクロスハーネスが、ロードバイク乗車時の前傾姿勢を妨げず、通常のバックパックのように肩周りが後ろに引っ張られるような感覚はない。また、左右のハーネスはバッグ内部でつながっており、出し入れすることで体に合わせて長さの調整が可能。さらにハーネスの裾部分でも微調整できるほか、必要に応じてウエストのベルトでしっかりホールドできるなど、満足のいくフィット感を生み出すための調整機能が細部に施されている。
また、バックパックを背負ったときに気になる蒸れも、バックパネルに採用しているエアーメッシュパッドが素早く熱を逃がすため、不快に感じることはなかった。
視認性が高いレインカバーが下部の専用ポケット内に付属しており、急な雨でも対応が可能(6、10、14Lのみ)。ヘルメットホルダーやアイウェア用のホルダー、背負ったままでも手が届きやすいハーネス部の小物ポケットなど、サイクリスト目線で造られた使い勝手の良さが随所に施されている。
内部も調整可能な収納オプションによって所持品をすっきり整頓することができるほか、専用のハイドレーション部が設けられ、メインコンパートメントのスペースを自由に使用できる。さらに6Lというサイズは週末サイクリングだけでなく通勤時の所持品にもちょうど良い収納力で、個人的には使い勝手の良い容量だった。背負い心地と機能性が高次元で融合したバックパックは、思わず「さすがシマノ」と唸ってしまう一品だ。
■U-2
容量:2L
重量:380g
カラー:ブラック、オリーブグリーン(新色)
税抜価格:9,000円
■U-6
容量:6L
重量:780g
カラー:イジャンブルー、ブラック、オリーブグリーン(新色)
税抜価格:11,000円
■U-10
容量:10L
重量:820g
カラー:イジャンブルー、ブラック、オリーブグリーン(新色)
税抜価格:12,000円
■U-14
容量:14L
重量:920g
カラー:イジャンブルー、ブラック、オリーブグリーン(新色)
税抜価格:13,000円
アーバンサイクリストのための“万能”モデル
続いては、街中でのサイクリングや通勤時などの使用を想定して作られたTシリーズを紹介する。収納力に重点を置いた作りで、17L、23Lと大きめのラインナップを展開しているが、スタイリッシュなデザインがそれほど大きさを感じさせない。曲線を描くストラップの形状が肩にかかる圧力を分散するため、腕周りに荷物の重さが集中する不快感もない。機能美がファッション性に昇華した一例で、“アーバンデザイン”な高機能バックとして支持を集めているのも頷ける。
具体的に“機能”を解体してみると、まず特徴的なのは荷物の挿入口。ジッパーではなくマグネットで口を開閉する仕組みで、くるくると折り込むタイプ。もちろん視認性の高いレインカバーを標準搭載しているが、少々の雨ならば問題なくしのげる耐水性の生地が心強い。底部に配された耐摩耗性の防水シートはどんな場所に置いても汚れを取り除きやすく、また水分が浸み込むのを防ぐ。
上蓋をいちいち開閉しなくても横から中の荷物にアクセスできる入口があり、さらにその逆サイドにはなんと、クッション性のあるライナーが付いたノートパソコン専用の“隙間ポケットが別に設けられていた。
反射材が全身を取り囲むように効果的にバッグの周りに配置されているほか、さらにリフレクター付きの脱着式ベルトがパンツクリップになっている点も、サイクリストの心をくすぐる。
背面にはUシリーズと同様、熱を逃がす「エルゴノミックバックパネル」を採用。穴の開いたハーネスで通気性を確保するなど、機能面だけでなくバックパックの基本的な快適性能が押さえられており、まさにアーバンサイクリストのための“万能バックパック”といえるだろう。
■T-17
容量:17L
重量:1,060g
カラー:グレー、ブラック(新色)、メランジュネイビー(新色)、メランジュパープル(新色)
税抜価格:17,000円
■T-23
容量:23L
重量:1,425g
カラー:ジェット・ブラック、チタニウム
税抜価格:18,000円
Uシリーズの機能を継承するオールラウンドモデル
「Rシリーズ」は前出した「Uシリーズ」の機能を受け継いだ新商品で、オン・オフロードのシーンを問わないオールラウンドモデル。街中でのサイクリングでもアクティブに走るトレイルランディングでも快適に使えるバックパックで、8、12、16Lの3つのモデルをラインナップしている。
体に沿うように設計された無駄のないシンプルなシルエットが特徴で、その背負い心地は、まさにシマノの目指す「身に着ける」といった感覚を実現化したモデルだ。
機能もヘルメットホルダーやハイドレーションリザーバーなど最低限の機能にとどめ、重量も8Lで455gという超軽量を実現。価格もリーズナブルに押さえ、手に取りやすく使いやすい“自転車専用バックパック”を完成させた。
■R-8
容量:8L
重量:455g
カラー:ブラック、エステートブルー、オリーブグリーン
税抜価格:8,000円
■R-12
容量:12L
重量:490g
カラー:ブラック、エステートブルー、オリーブグリーン、ルイボスオレンジ
税抜価格:9,000円
■R-16
容量:16L
重量:560g
カラー:ブラック、エステートブルー、オリーブグリーン
税抜価格:10,000円