文大統領は8日、平昌五輪米国代表団長として訪韓したペンス副大統領に対し、韓国製洗濯機に対するセーフガード(緊急輸入制限)の撤回を要求したとされる。米国が通商圧力を弱めることを懇願した格好だ。しかし、米国は文大統領による要求後もセーフガードの撤回どころか、韓国製鉄鋼製品に最高53%の高率関税をかけるという強硬策に出た。文大統領がこうした米国の動きに失望し、真っ向から対抗する戦略に転じたとの見方もある。
昨年以降の韓米間の異常気流が反映された面もある。韓米は北朝鮮の核問題では協調してきたが、北朝鮮への制裁レベル、北朝鮮との対話問題、THAAD配備、韓米合同軍事演習の延期などで微妙な意見差を見せてきた。このため、トランプ大統領の長女、イバンカ・トランプ大統領補佐官の訪韓を控え、対立が表面化した形だ。
韓国政府のこうした態度は昨年の中国によるTHAAD報復当時とは異なる。当時、青瓦台の朴洙賢(パク・スヒョン)報道官は「現在は北朝鮮の核やミサイルによる挑発で中国との協力を維持していくことが非常に重要な時期だ。韓中間の困難な問題は戦略的な疎通と協力をより強化し、解決していこうと思う」と述べた。ルールによる対応よりも両国間の意思疎通を通じ、問題を解決していこうという姿勢だ。青瓦台幹部は対応の相違について、「中国に対しては、(米国のように)FTAといったシステムの不公正に対する問題意識がなかった。当時とは状況が異なる」と話した。
ただ、青瓦台は通商は安全保障とは別だとの立場だ。青瓦台幹部は「文大統領は安全保障と通商をリンクさせないという考えだ。文大統領による今回の指示も通商問題は通商問題として扱えという意味だ」と説明した。韓米間の安全保障問題のために米国の通商圧力に沈黙することはできないという姿勢だ。青瓦台幹部は「米国が国際的な通商ルールに違反したのであれば、原則通りに言うべきことは言う」と語った。
しかし、米国がそれを受け入れるかどうかは未知数だ。米国は文大統領の就任以降、安全保障と通商をリンクさせるかのような戦略を取ってきた。トランプ大統領は文大統領が就任直後、THAAD導入に対する真相調査を指示すると、翌月の初の韓米首脳会談で韓米FTAの再交渉問題を持ち出した。しかし、青瓦台関係者は「米国が安全保障と通商をリンクさせないように、韓国も安全保障と通商を切り離して対応していく」と話している。