今韓国がやるべきことは、米国とトランプ大統領に怒りを示すことではなく、米国がなぜ韓国に対してこのような態度を取るのか、その正確な理由や事情を把握することだ。現時点では韓国政府の誰もその理由について分からないそうだが、これは尋常ではない。一部では米国にとって中国はぞんざいに扱えない存在で、日本は首脳間で緊密な関係が維持されているが、韓国はそのいずれでもないため、結局韓国だけが犠牲になったとの見方もある。これが事実だとすれば、今回の問題も事前にいくらでも阻止できたことになる。
トランプ政権が保護貿易を前面に掲げることは誰もが事前に分かっていた。ところが今の韓国政府が米国との通商問題を真剣に考え、事前に何らかの対応を取ったという話は聞いたことがない。そのような中で政府に対する批判が高まると、今回のように突然「堂々と、また決然と」といった言葉が飛び出してきた。米国と力で衝突した場合、手にするカードが少ない韓国が最後に損するのは目に見えている。そのため今こそ感情が入り交じった対応は自制し、米国にこちらの考えや立場をしっかりと理解させ、最後に「ウィンウィン」となる落としどころを探らねばならない。これは絶対に不可能なことではない。日本はすでにそれを実行に移し成功している。
今回の「堂々と、また決然と」という対応は、THAAD(高高度防衛ミサイル)問題で中国との関係がぎくしゃくした時に韓国政府が取るべき態度だった。THAAD報復は韓国の安全保障政策や防衛体制に中国が勝手に介入し、圧力をかけてきたものだった。しかしその時点で韓国政府は中国に一言の抗議もできなかった。当時の中国の対応は明らかにWTO違反だったが、韓国は結局提訴もしなかった。ところが中国以上の圧倒的な国力を持つ米国には「堂々と、また決然と」対応するという。韓国における中国への輸出依存度が過度に高い事実を中国が利用し、圧力を加えてきた時に韓国は沈黙を守ったが、今回米国に対する時は輸出先の多角化を公言した。このようにバランスに欠けた態度を取り続けるようではいつか国が倒れてしまう。