朝鮮日報

【社説】中国には低姿勢、米国には強硬な態度を貫く文大統領

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は19日、米国が韓国に対して保護貿易的な動きを示していることについて「堂々と、また決然と対応せよ」と指示した。文大統領は「WTO(世界貿易機関)への提訴、あるいは韓米自由貿易協定(FTA)に違反していないか検討し、FTA改定交渉の場でも米国の不当な対応を積極的に取り上げよ」とした上で、輸出先を多角化することで米国への依存度を下げることも求めた。韓国大統領府によると、文大統領は「安全保障」と「通商」は分けて対応する考えを持っているという。文大統領は安全保障政策での協力関係とは別に、通商問題ではあくまで強硬な態度を貫く考えのようだ。

 米国の通商政策が韓国に対して不当に厳しく、また国際的な通商のルールに違反する部分があればWTOに提訴しなければならない。また韓米FTAが掲げる自由貿易の精神に反していないかどうかも検討する必要があるだろう。ただしWTOは米国が大義名分として掲げる「安全保障」を理由とした関税の引き上げを認めている。あるいはもし実際に提訴して韓国の言い分が認められたとしても、修正には数年単位の時間がかかるため、被害を取り返すのは不可能だ。韓米FTAが定める紛争解決の手続きも同様だ。つまり実効的な対策となり得る手段は何一つないのが実情だ。

 「堂々と、また決然と」という言葉は安全保障や政治で使うべき言葉であり、経済分野で使うものでははない。利害や得失を何よりも優先すべき経済論理に基づけば、堂々とか決然といった言葉も態度も必要ない。交渉によって損失を最小限に抑え、利益を最大限に拡大できるかどうかだけが問題だ。韓国は中規模の開放国家だが、その韓国の通商戦略は最初から最後までこの「実益」に基づくものでなければならない。

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