農業現場に専門人材 外国人就労の拡大検討 政府

 政府は20日、農業を含めた人手不足の深刻化が進む業種で、外国人労働者の受け入れ拡大の検討に入った。専門的な知識や技術を持ち、就労目的での在留が認められている外国人について、生産現場の働き手の確保へ、受け入れ要件の緩和などを進める方針。一般的な農作業を外国人労働者に大きく開放する流れになる可能性もあり、日本人の雇用への影響などを踏まえた、慎重な検討が求められる。

 政府は20日、農業を含めた人手不足の深刻化が進む業種で、外国人労働者の受け入れ拡大の検討に入った。専門的な知識や技術を持ち、就労目的での在留が認められている外国人について、生産現場の働き手の確保へ、受け入れ要件の緩和などを進める方針。一般的な農作業を外国人労働者に大きく開放する流れになる可能性もあり、日本人の雇用への影響などを踏まえた、慎重な検討が求められる。

 同日の経済財政諮問会議で安倍晋三首相が「専門的、技術的な外国人受け入れ制度の在り方について、早急に検討を進める必要がある」とし、検討を指示した。6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に具体策を盛り込む。

 農水省など関係省庁が連携して検討する。安倍首相は「いわゆる移民政策をとる考えはない」とも強調し、外国人労働者の在留期間に上限を設定する他、家族の帯同は認めない考えも示した。

 農業に従事する外国人は2万7139人(2017年10月末)で、約9割を技能実習生が占める。実習生は労働者の位置付けではなく、あくまで研修が目的で、作業範囲などで制約がある。

 政府は、より即戦力を確保するため、入管法上、就労が認められている「専門的・技術的分野」の外国人の受け入れ拡大を検討する。同分野には「教授」や企画、営業といった「人文知識」など18種類の在留資格があり、農業での受け入れは、農学の研究者や農業法人の経営層ら828人(同)にとどまる。在留資格について、技能水準の要件を緩和し、生産現場での農作業なども担えるようにする方針だ。

 一方で政府は昨年、国家戦略特区内での農業での外国人労働者の受け入れを解禁し、年度内にも実践する地域を決める。地域限定で規制緩和を実証し、問題を確かめた上で、全国展開の是非を判断するのが同特区の枠組みだ。今回の施策の検討は、こうした手順を抜きにした規制緩和にもなりかねず、丁寧な議論が求められる。

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