現金が手元になくとも利用でき、ネットショッピングの決済手段としても欠かせない存在になっているクレジットカード。しかしこの便利なクレジットカードをネットショッピングで利用した際、「セキュリティコード」の入力を求められたことがあるだろう。

クレジットカードの安全性は

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(画像=PIXTA)

旅行先でのショッピングや普段の飲食店での支払いなど、実際の店舗でクレジットカードを利用して支払いをする場合、サインやパスワードの入力により本人の確認をするのと同時にクレジットカードを渡すことによって実物のクレジットカードを確認しより安全にクレジットカードを利用する環境が整えられているのだ。

仮にクレジットカードの番号が盗まれた場合でも、番号だけでは実店舗でのショッピングは基本的には不可能である。実際のカードが無ければ買い物は難しいのだ。

しかしインターネットなどの通信販売が充実している昨今では、実際のカードが盗難に合わなくとも、クレジットカードの番号が盗まれただけで悪用されてしまうケースが多々ある。ネットショッピングの場合はクレジットカードの表面に記載されているカード番号などの情報だけで、本人でなくとも決済が可能な場合が多々あるのだ。

実際にはカード番号の他に名前やカードの有効期限も必要になるが、全てクレジットカードの表面に記載されている情報であり、カード自体を盗まれなくとも、カードの表面を第三者に盗み見られた場合や情報を抜き取られただけでも悪用される可能性は高くなる。

安全性向上の為のセキュリティコード

インターネット上での決済ではクレジットカード自体が盗まれなくとも、カード番号などの情報さえわかれば悪用される可能性がある。実店舗での対面決済とは違うため、実際のクレジットカードの確認もなければ、サインなどの確認も必要ないのだ。

そこでインターネット上での決済のセキュリティレベルを上げるために導入された制度がセキュリティコードだ。

ネットショッピングをしたことがある方なら経験された方も多いと思うが、現在多くのネット決済において、カード番号だけでは決済することができない。以前はカードの表面に書かれているカード番号、氏名、有効期限のみを入力する事で決済が完了したが、現在ではこれに加え、セキュリティコードの入力を求められる事が非常に多くなっているのだ

セキュリティコードとは

セキュリティコードとはインターネット決済などの遠隔での決済についてのセキュリティレベルを上げるためにクレジットカードに記載されているコードの事を指す。カード番号とは別に印字されており、クレジットカードに記載された3桁又は4桁の数字がセキュリティコードに当たる。

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(画像=JCB Webサイトより)

このコードはカードが手元にある本人にしか知りうることができない数字であり、インターネット決済においてカードが手元にある証明ともなる。クレジットカードのセキュリティ上、絶対に他人に教えてはいけないコードでもある。

セキュリティコードは単純にクレジットカードに印字されているという点が最大の特徴だ。通常クレジットカードには磁気ストライプやICチップなどの機能が搭載されており、それを読み取ることによって内部に記録されているクレジット番号などの情報が読み取れるようになっている。しかしセキュリティコードについては磁気ストライプやICチップなどには情報が入っておらず、単にカードに物理的に印字してあるだけである。

スキミング対策にも有効

磁気ストライプやICチップの中にはセキュリティコードの情報が入っておらず、単にクレジットカードに印字されているだけのセキュリティコードだが、このことが大きなセキュリティの向上に大きく貢献しているのである。

クレジットカードの不正利用の手口としてスキミングという手段が存在する。スキミングとはクレジットカードに付いている磁気ストライプなどをスキマーと呼ばれる機会で不正に読み取り、クレジットカード内の情報を抜き取る犯罪の事を指す。

過去にはATMにクレジットカードの情報を抜き取る装置が設置されていた事例などもあり、油断ができない。しかしセキュリティコードに関しては磁気ストライプの中には情報が含まれていないため、仮にスキミング被害にあった場合でもセキュリティコードの流出は防げ、犯人もセキュリティコードを利用する決済は利用できなくなるため、一段とセキュリティが増すといえる。

実際にどこに記載されているのか

クレジットカードを利用してのネットショッピングの場合、現在ではとても多くの店舗でセキュリティコードの入力を必要としている。一般的なインターネット決済の場合はカード番号、氏名、有効期限を入力後、最後にセキュリティコードの入力を求められる。

では一体クレジットカードのどこにセキュリティコードが記載されているのかを各クレジットカードのブランドごとに解説していこう。

VISAの場合

世界最大のシェアを誇るVISAカードでは当然のことながらセキュリティコードを採用している。VISAの場合、セキュリティコードの事をCVV2(Card Verification Value)と呼ぶこともある。裏面のサインパネルに表示されている数字3桁または、数字末尾3桁がセキュリティコードとなっている。

多くの場合、3桁の数字が記載されているが、3桁以上の数字がカード裏面のサインパネル(署名欄)に記載されている場合もある。そのような場合でも最後の下3桁のみがセキュリティコードとして普段利用する番号となっているため、数字末尾の3桁以外は気にしなくてよい。

Mastercardの場合

世界第2位のシェアを誇るMastercardでもセキュリティコードは利用されている。Mastercardではセキュリティコードの事をCVC2(Card Validation Code)と呼ぶこともある。

セキュリティコードの具体的な記載場所はVISAカードと同用にクレジットカード裏側のサインパネル(署名欄)に記載されている番号3桁だ。3桁以上の番号が記載されている場合は、数字末尾の3桁の番号がセキュリティコードを表す。セキュリティコードの入力の際は最後の3桁以外の数字は無視して問題ない。

JCBの場合

日本国内で使い勝手が良いJCBカードでもセキュリティコードが利用されている。JCBの場合はクレジットカード裏面の署名欄に印字されている7桁の数字のうち右側3桁の数字がセキュリティコードを表している。前半の4桁はクレジットカードの番号の下4桁を表している。セキュリティコードの入力を求められた際は右側の3桁の数字を入力するだけで良い。

アメリカンエキスプレスの場合

アメリカンエキスプレスの場合、他のクレジットカード会社とセキュリティコードの位置が多少異なるので注意が必要だ。同カードのセキュリティコードの位置はクレジットカード裏面ではなく、表面に記載されている。

カードの表面に記載されているカード番号の右上に記載されている4桁の数字がセキュリティコードとなる。他社の3桁と違いアメリカンエキスプレスは4桁であり、表面に記載があるので間違えないようにしていただきたい。

セキュリティコードの注意点

多くのクレジットカード会社が採用しているセキュリティコードだが、利用するにあたって注意点もある。

セキュリティコードは物理的にクレジットカードに印字されているので、データで盗まれるといったことは少ないが、クレジットカード自体を盗まれてしまった場合はセキュリティの意味をなさなくなる。クレジットカードの盗難や紛失には十分注意が必要だ。

クレジットカードを更新した場合や再発行した場合、セキュリティコードがその都度変更になる。以前利用していたセキュリティコードでは決済できなくなるので、常に最新のセキュリティコードを利用するように心掛けていただきたい。

他人にセキュリティコードを教える事やセキュリティコードを盗み見されることも避けていただきたい。インターネット決済では実際のクレジットカードが手元にある証明としてセキュリティコードが利用されている。もし他人があなたのセキュリティコードを知っていた場合はクレジットカードが手元にあるかのように装ってインターネット上で決済ができてしまう。絶対に他人には知られないよう注意して頂きたい。

フィッシングサイトにも注意

偽物のメールやホームページを作成し、クレジットカードの番号やセキュリティコードを入力させ、情報を盗もうとするフィッシングサイトと呼ばれるものがある。

セキュリティコードはインターネット上のクレジットカードの利用においてとても優秀なセキュリティの仕組みであるが、フィッシングサイトなどでセキュリティコードの情報を盗まれてしまった場合には、不正利用を防ぐ手だてがなくなってしまう。

怪しい電子メールや怪しいホームページで情報を入力しないことはもちろんの事だが、金融機関やクレジットカード会社の公式ホームページそっくりのフィッシングサイトも確認されている。このようなフィッシングサイトに引っかからないこともクレジットカードを安全に利用するためには大切となる。

特に電子メールでいかにも本物の金融機関やクレジットカード会社を騙り、セキュリティコードを含めたクレジットカードの情報を入力させようとすることが多々ある。

大前提として金融機関やクレジットカード会社は電子メールではクレジットカード情報の入力を求めることは決してないので、騙されないように注意して頂きたい。

セキュリティコードのおかげでインターネット決済の安全性が保たれているが、セキュリティコードが流出した場合、安全性が失われる。クレジットカード情報の管理も当然のことながら、ぜひセキュリティコードについても気を付けて管理したい(右田創一朗、元証券マンのフリーライター)