Feb.21,2018
1922年アメリカ生まれの漫画家です
1950年にスヌーピーで知られる
『ピーナッツ』を書き始めました
小さい頃から絵の才能に恵まれ,
内気な少年でした
ですが,勉強も良くできたため,
小学校時代に2学年飛び級しました
この頃,年上で体格も大きいクラスメイトに
仲間はずれにされた経験から,
将来のチャーリー・ブラウンの誕生に繋がった
と言われます
とりわけスヌーピーのキャラクターは
世界中で変わらず愛され続けています
アメリカン・コミックでは
とても珍しいと思いますが,
人間の弱さを主人公チャーリー・ブラウンと
スヌーピーのやりとりを通し,
友情という純な愛情で淡々と描き続けたあの安定感が,
世界中の人々の心の琴線に触れてきたのでしょう
本日はこの, シュルツがスヌーピーに語らせた
名言をいくつかご紹介したいと思います
まずは, スヌーピーが
チャーリー・ブラウンを励ますことばから…
You play with the cards you’re dealt..
Whatever that means
配られたカードで勝負するしかないのさ…
それがどういう意味であれ
トランプゲームで配られたカード,
それは自分の今置かれている状況を表しています
その状況がどんなものであれ,
そこから逃げては何も始まりません
それに立ち向かい,そこで勝負する…
たとえそれが, その時の自分にとって
どんな逆境であろうとも関係ありません
配られたものは配られたものです
そしてスヌーピーは,
自力本願の次のようなことばすら言います
If you want something done right,
you should do it yourself!
もし何かをちゃんとやりたいんなら,
自分でやるべきだよ!
シュルツ自身, 小学校の時のいじめの経験から,
どんなに大変であろうとも,最後には
自分で自分を救うしかないと強く感じたのでしょう
小平奈緒さん然り,
「ちゃんとしたこと」を成し遂げる方々は
自分から逃げず,自分に向き合い,自分に勝ち,
自分を超えていきます
他者との比較は後悔,嫉妬,悲惨を生むばかりです
続きまして,
スヌーピーの茶目っ気がたっぷりのフレーズです
I climbed over the fence,
but I was still in the world!
へいをのりこえたけど、
そこもまだ世界の外ってわけじゃなかった!
へいを乗り越えれば世界の外に出られる…
思春期の時など, 大人の世界の壁なんか
すぐに乗り越えてやると意気込むものですが,
その壁に直面し,
なんとかかんとか乗り越えたと思ったら,
また次の壁が出てくる
そしてそれを乗り越えてまた次が出てくる…
あのときの感慨を
みごとに表現している一句だと思います
A watched supper dish never fills!
見つめていてもご飯皿はいっぱいになったことがない!
あはは…と,
思わず納得しつつ笑ってしまうことばです
その通りです!
見つめているだけでは,
ご飯皿のご飯が増えていくはずはない,
でも見つめてしまう…
人間(犬)の心の弱さを, コミカルに描いています
チャーリー・ブラウンとスヌーピーのやり取りは,
捉え方によると自分たちの弱さを吐露して,
互いに慰めていく連続のように見えます
ですが,自分の弱さを認められるのは強い人だけです
ほんとうに弱い人とは,小生が思いますには,
社会で見栄を張り,権力を振りかざし,
他者を支配したつもりになって
喜ぶ程度のことしかできない人のことです
それら全てが自分を直視せず,
たまたま得た分不相応な力を使って,
他者を支配したつもりになることが
実は自己が支配されていることになることだと
気づけない臆病な人です
それでは, スヌーピーにとって「希望」とは…?
Keep looking up.. That’s the secret of life..
上を見続ける… それが生きるコツさ…
ただ上を見るだけではない,
「見続ける」ことが大切です
気が向いた時だけチラチラ上を見る,というのでは,
水平あるいは下を向いている時間の方が
ずっと長いわけですから…
さらにスヌーピーはこんなことまで言います…
Dogs could fly if we wanted to..
もし望めば犬だって飛べるんだ…
希望は無謀であってなんぼです
意識がその方向に向いた瞬間,
たとえケタ外れの夢であっても,
そちらに向かおうと一方進むことから,
何もかもが始まります
ゲーテはこう言いました
Dream no small dreams
for they have no power to move the hearts of men.
小さい夢は見るな
それには人の心を動かす力がないからだ
さぞかし喜んだことでしょう…
とは言いましても,
スヌーピーは基本的に現実主義犬です
We all have our hang-ups!
誰にでも未解決の問題はあるもんだよ!
そしてスヌーピーの必殺技,
脱力系の至言です
I need plenty of rest
in case tomorrow is a great day..
明日が素晴らしい日だといけないから,
うんと休息するのさ…
この「抜け具合」に,
自分の弱さを正直に認める人の
逆説的強さを感じざるを得ません
そこにあるのは,「自分を笑う哲学」です
老子の「柔弱謙下」(じゅうじゃくけんげ),
柔らかく,弱く,へりくだって,下にいくものこそ
最も強い,水のように…
とすることばが連想されます
とかく「剛強蔑上」の価値観が
蔓延しているかに見えますアメリカ文化において,
シュルツはあえてスヌーピーのことばを通じ,
優しく「否」を言い続けていたのだとさえ思えました
それでは,このへんで