息子をスーツケースで密入国させようと……父親に罰金刑 スペイン
8歳の息子をスーツケースに入れてスペインへ密入国させようとしたコートジボワール人の男性に対する罰金刑が20日、スペインの裁判所で言い渡され、男性は実刑判決を免れた。
アリ・オワタラ被告は、息子のアドゥ君をモロッコから北アフリカにあるスペインの飛び地セウタへスーツケースに入れて密入国させた罪を問われていた。
検察当局は当初、息子の不法入国をほう助した罪で、実刑を求刑していた。しかし、息子がスーツケースに入れられて輸送されることを、オワタラ被告が承知していたという証拠が得られなかったと、検察が認めたため、少額の罰金刑が言い渡された。
「父親も僕も、スーツケースに入れられるとは知らなかった」と、現在10歳になったアドゥ君は法廷で証言した。
逮捕後に1カ月間勾留された父親からは、車で移動するとアドゥ君はずっと聞かされていたという。
モロッコからスペインの飛び地セウタへ国境を越える際、スーツケースの中で息が苦しかったとアドゥ君は話していた。
セウタの入管担当は2015年5月、重そうなスーツケースを引く若い女性を呼び止めた。
スーツケースをX線検査機で調べたところ、胎児のような姿勢で体をかがめる子供の影が浮かび上がった。
オワタラ氏は92ユーロ(約1万2000円)の罰金の支払いを命じられた。
アドゥ君は現在母親とともに仏パリ郊外に暮らしているが、法廷証言のためセウタを訪れた。
「全てが済んだので、妻、娘、息子と家族一緒の生活を再開できる」とオワタラ氏は話し、スペイン北部で新たな生活を送ることを明らかにした。
(英語記事 Spain: Father of migrant boy found in suitcase in Ceuta freed)