Photographer: Kiyoshi Ota

ゴールドマンがドル安を分析-下落理由は米国を巡る懸念ではない

  • 欧州や日本など米国以外の地域の景気回復シナリオが鍵-パンドル氏
  • 一部投資家は依然としてドルロング-向こう12カ月は下落するだろう

ドルを下落させているのは双子の米赤字か、それともトランプ政権が弱いドル政策を支持しているとの観測なのか。どちらでもないと、ゴールドマン・サックス・グループは指摘する。

  過去1年のドル下落は米国の政策やファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)とはあまり関係なく、むしろ欧州や日本など米国以外の地域での景気回復シナリオを投資家が好ましくみている事情があるという。

  ゴールドマンでグローバル為替および新興市場戦略の共同責任者を務めるザック・パンドル氏は顧客向けリポートで、世界的な成長加速が米国「以外の経済と通貨に有利に働く、それが当社の『さえないドル』見通しの主要理由だ」と説明した。

  世界経済が改善する中でドルが他の通貨に対してアンダーパフォームするとパンドル氏がみる理由は以下の通り:

  • 世界経済の強まりで貿易量が拡大し、韓国やマレーシアなど製品輸出国の通貨を押し上げ
  • 商品価格の上昇は、チリを含む天然資源の輸出国にプラス
  • 米国の金融政策に近づく状況-ゴールドマンは今年、オーストラリアやスウェーデンが利上げすると予想、欧州中央銀行(ECB)の政策も正常化に向かうとみる

  米連邦公開市場委員会(FOMC)が追加利上げし米国債利回りが上昇しても、ドルが一段と下げる可能性についてパンドル氏は、一部の投資家が依然としてドル資産を「構造的にロング(買い持ち)」としている状況も挙げた。

  パンドル氏は「ドルは今年これまでのように急落する公算は小さいものの、向こう12カ月にわたって下落傾向だと引き続きみている」と指摘した。

原題:Goldman Debunks Idea Dollar Is Being Driven Down by U.S. Worries(抜粋)

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