16年EC市場、7.5%増の7兆2343億円…シニア層で利用拡大
(株)富士経済が19日発表した「通販・e-コマースビジネスの実態と今後2018」によると、16年のEC市場は、前年比7.5%増の7兆2343億円となった。また、19年の市場予測は同13.5%増の8兆8537億円となり、スマートフォン利用が大きく伸びるほか、ジャンル別ではアパレル、食品・産直品、生活雑貨の伸びが顕著になると予想した。
同調査は、同社の調査員による企業・団体などへのヒアリング、文献調査などをまとめたもの。国内通販市場を通販形態別、受注形態別、カテゴリー別などで分析し、今後の通販市場の方向性を明らかにしている。
19年通販市場は10兆7833億円に
同調査によると、16年はインターネットやモバイル端末の普及によりシニア層の需要流入が進んだことから、EC市場は同7.5%増の7兆2343億円に。17年は「Amazonフレッシュ」をはじめとした新規サービスの開始や、実店舗運営企業によるオムニチャネル戦略の推進、新たな仮想ショッピングモールの運営開始などもあり、EC市場は同7.8%増の7兆7991億円が見込まれている。19年はシニア世代の取り込みの進展が市場拡大を後押しすることなどから、市場規模を8兆8537億円と予測している。
通販市場は、ECが市場拡大を牽引し、17年は同6.1%増の9兆7234億円と見込んだ。今後も市場は拡大し、19年の市場は10兆7833億円と予測した。ECで仮想ショッピングモールが取扱品目の拡充や顧客サービスの充実化を進めたことにより、大きく伸びたと分析。大手EC企業や流通企業を中心にアプリのリリースや機能強化によるユーザー取り込みが進んでいるとした。
テレビ通販はテストマーケや広告宣伝の媒体に
カタログ通販は、総合通販企業が近年EC化を進めていることに加え、収益性改善を目的としたカタログの発行頻度・部数の削減や種類の見直しを行っていることなどから縮小傾向にある。テレビ通販は、若年層のテレビ離れもあり、新規需要の獲得が困難な状況にあり、テストマーケティングや広告宣伝としての性格が強まっている。ラジオ通販は、インターネット聴取サービスの利用が増加しているものの、あらゆる年代でラジオ離れが進んでいるほか、主要購買層である40代以上のユーザーでもEC利用が増えていることから、今後は縮小するとみられる。
受注形態別では、PCの構成比が依然として高く、16年時点では60.5%を占めているが、スマートフォンの伸びによりその規模は縮小しつつある。
EC国内アパレル市場は19年に1兆8563億円に
EC国内市場の注目商品カテゴリーは、アパレル、食品・産直品、生活雑貨で、このうちアパレルは、ファストファッションなどがECに注力していることなどから好調を維持。さらにショッピングアプリのリリースや「LINE」の公式アカウント開設などスマートフォンユーザー向けの取り組みが積極的に実施されていることなどから、19年の市場は1兆8563億円と予測している。
食品・産直品や生活雑貨では、日常使いの品目に特化したサービス展開や取扱品目の拡充により堅調な伸びが予想される。食品・産直品は、オムニチャネル化を進める流通大手が、ネットスーパーを中心に実績を伸ばしており、19年には1兆2755億円に達すると予測。生活雑貨は、ECサイトでの取扱品目が多く、購入頻度の高い消耗品で定期購入の需要が高まっていることなどから、19年の市場規模を9592億円と予測した。