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 「特定実験試験局制度の利用」では、申請から免許取得までを1~2週間に短縮することが可能だ。しかし実際には、点検や調整が必要なことから、全体の手続きでは1カ月以上かかってしまうという。

 「電気通信事業者による接続の検査」は試作品段階の端末が対象だ。海外で販売されている製品を研究開発に使う際には適用されない。また、この場合でも実験試験局免許もしくは特定実験試験局制度の利用は必要になる。

 結局、こうした手段は「機器の技術要項を入手でき、免許が下りるまで数カ月かかっても問題ない」という限られたケースの研究開発にしか使えない。

 特に問題になるのは、緊急性が高いサービス、中でも旅行者の安全に関するサービスだ。例えば現在、大規模災害の発生時の避難誘導をスマートフォンで行うための実証実験が様々な自治体で行われている。実際の災害発生時にシステムのトラブルが発生すれば、迅速に対応する必要がある。トラブルの発生後に実験試験局の免許を申請するというのはあまりに非現実的だ。

規制改革推進会議が問題視

 ここに来て、経団連以外にもこれを問題視する組織が現れた。「規制改革推進会議」である。経済成長を妨げている規制をどのように改革する必要があるかを調査・審議する内閣府の諮問機関だ。規制改革会議の後継組織として、2016年9月に設置された。

 2017年末、経団連に対し、規制改革推進会議の投資等ワーキング・グループでこの話題を取り上げることになったと連絡が来た。小川氏は「経団連としては総務省の回答が十分でないと考えていた。取り上げていただけることは大変ありがたい」と語る。

 2018年1月31日には、第13回投資等ワーキング・グループが開かれ、この話題について議論された(リンク)。経団連は、議論のための資料(PDFへのリンク)を提出した。同会議には、在日米国商工会議所も同様の要望をまとめた資料(PDFへのリンク)を提出した。おそらく、閉鎖的な日本市場を問題視する米国の大企業が背後にいると考えられる。