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日本国内でスマートフォンをはじめとした無線機器を使おうとした場合、無許可の機器は使えない。電波法に基づく「技術基準適合証明」(略して技適)という認証を受ける必要がある。
ところが、現行の技適制度は矛盾を抱えている。無線機器向けのサービスを提供する国内の事業者が、技適で使用を認められる無線機器を使って検証を実施できないのだ。そこで日本経済団体連合会(経団連)は2016年、技適を所管する総務省に対して、矛盾を解消するための規制緩和を求めた。総務省はいったんはこの要望をはねつけるゼロ回答を出したものの、2018年になって雲行きが変わりつつある。このままいけば、技適の規制緩和が実現する可能性は高い。
持ち込み端末を特例で認める
現在の技適がどのような矛盾を抱えているのかを順番に説明していこう。
技適の認証を受けた機器には「技適マーク」が付けられる。以前は機器の外側に直接表示する必要があったが、2010年からはディスプレイなどの画面に表示する方法でも許されるようになった。
技適マークが付いていない無線機器は、基本的には日本国内では使えない。使うと電波法違反になってしまう。電波を使う無線機器を野放しにすると日本の電波環境に悪影響を与える危険があるため、技適でそれを防いでいるのだ。
ところが、2016年5月に技適マークのついていない機器でも使用できる特例が設けられた。訪日外国人が持ち込んだスマートフォンが、米国のFCC(連邦通信委員会)による認証または欧州連合(EU)の基準を満たしたCEマークの認証を受けている場合に限り、入国から90日間、利用できるというものだ。電波法を改正することで実現した。
以前の第2世代携帯電話であれば、海外で主流の方式はGSM、日本で主流の方式はPDCであり、海外から携帯電話機を持ち込んでもつながらないケースが多かった。ところが、第3世代携帯電話以降は規格の統一が進み、旅行者が海外の携帯電話機を日本に持ち込んでそのまま使うケースが増えてきた。こうした携帯電話機には、技適マークは付いていないことが多い。