オリエンタルランドは2018年度中に、東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)の公式アプリを導入する。スマートフォン(スマホ)から園内でお土産を購入したり、アトラクションの待ち時間を確認したりできるようになる。IT(情報技術)の活用で混雑感を和らげ、顧客の不満解消につなげる。
米国のディズニーランド・リゾートなど日本以外のディズニーランドは、すでにスマホアプリを導入済み。入園者はスマホを通じてアトラクションの待ち時間や園内の地図などを調べられる。一方、オリエンタルランドは「非日常の世界観」を重視し、IT投資とはあえて距離を置いてきた。だが、入園者の満足度低下を防ぐには、ITによる対策が不可欠と判断したようだ。
アプリではチケット購入やレストラン・ホテルの予約、園内の地図確認などが一元的にできるようになる。20日から始まったQRコードを活用した入場機能も利用できる。園内マップでは各アトラクションの待ち時間の目安が分かる。
混雑緩和に有効になりそうなのは、園内限定のショッピング機能だ。閉園間際にはグッズを買い求める入園者がショップに集中し、混雑の原因になっていた。アプリでは待ち時間などにグッズを購入し、帰り際に土産店に足を運んで商品を受け取れる。自宅配送を指定することもできる。
将来的には多言語対応も進め、外国人顧客でも使えるようにする。利用者の園内での行動パターンを分析することで、新サービスの開発にもつなげる考えだ。
日本生産性本部がまとめた顧客満足度ランキングによると、16年度のTDRは27位。14年度の2位、15年度の11位から急速に順位を落としている。TDRの入園者数は13年度から3000万人以上が続く。「いつ行っても混んでいる」とのイメージが定着し、満足度を下げる要因になっているとの指摘は多い。
オリエンタルランドがIT投資を増やすもうひとつの背景は人手不足。従業員の生産性を上げるため、20年には総額120億円を投じて東京ディズニーランド(TDL)の入場口を改修、年間パスポートの保有者の顔認証システムや自動券売機を導入する。18年度以降には従業員向けにタブレット端末の導入も検討している。