講談社は20日、2017年11月期の単独決算を発表した。売上高は前年同期比0.6%増の1179億円、純利益は35.6%減の17億円だった。稼ぎ頭の漫画はデジタル分野が大きく伸びたが、単行本や漫画雑誌の売上高を1割近く落とし、苦戦が続く雑誌などを補えなかった。
デジタル分野の売上高は9割を占める漫画の販売が好調で、42%増の249億円と大きく伸びた。書籍の売上高である176億円を大幅に上回る。都内で決算説明会を開いた講談社の野間省伸社長は20日、「電子書籍や版権収入が成長した。体質改善を積極的に行う」と強調した。
ただ、漫画の単行本と漫画雑誌を合わせた売上高は10%減の411億円にとどまった。出版市場が縮小する中、業界では単独で黒字を確保できる雑誌が減少しているというのが共通の見方だ。
講談社の週刊誌「週刊現代」や月刊誌なども単独では赤字だとみられ、年間に数十億円の利益を稼ぎ出す漫画頼みの構図が強まっている。ただ、漫画を無断掲載する海賊版サイトの影響が徐々に出始めており、月額の被害額が数億円にも達するとの指摘もある。
(亀井慶一)