毎月分配型、ラッキーバンクの担保付き不動産投資は本当に安心?
不動産担保付き案件に特化したソーシャルレンディング「ラッキーバンク」は、不動産事業者の資金調達を支援するプロジェクトが豊富です。
投資プロジェクトの利回りも高めで、ネットの口コミでも人気があります。
ラッキーバンクの社長が積極的にソーシャルレンディング関係のイベントで積極的に登壇しているなどの実績もあり、会社の信用が高まるにつれて、運用ローン残高を着実に増やしています。
私が安全度の高いソーシャルレンディング業者だと考えているオーナーズブックなどと比較して、利回りが高い分ややリスクが高い印象も受けますが、気になる業者なのでラッキーバンクについて詳しく調査してみました。
募集案件はすべて満額達成
ソーシャルレンディングでは数多くの業者がさまざまな投資案件を募集しています。
しかし、中には条件が良いとは言えないものも多く、そうした案件は投資家からの資金も集まりにくい事実があります。
募集額が全額集まれば、そのプロジェクトは投資家から見て人気が高かったと言えますし、募集額の80%程度で募集期限が来てしまった案件は、投資家にとって魅力が薄いと判断されたことになります。
ラッキーバンクの案件に関しては、すべて不動産担保付きということもあり人気が高いです。
記事執筆時点(2017年3月)では、ラッキーバンクが過去に募集したすべての案件が満額達成となっています。これは、ラッキーバンクの案件が利回り・リスクの点から考えて魅力的なものが多いからです。
ラッキーバンクの投資案件が、投資家に注目されている理由は大きく2つあります。
すべての案件で不動産担保による保全あり
ソーシャルレンディングの募集案件を見極める上で重要なポイントとなるのが「担保の有無」です。
担保の種類にも、「不動産担保」、「証券担保」、「割賦債券」など様々なものがあります。
その中でも、不動産担保は担保価値の安定性や換金性、評価のしやすさなどで優れており、保全性の高い担保として知られています。実際、信用金庫や地方銀行は、担保といえば「不動産担保」しか認めてくれないことも多いです。
ラッキーバンクは、主な融資先が不動産事業者となっており、融資に際してその業者が保有している不動産を担保として設定しています。
ソーシャルレンディングを通じて融資したお金がもし返済できなくなった場合は、その不動産事業者が保有している不動産を売却し、その売却資金を使って資金回収をはかります。
担保の抵当権には「第一順位」、「第二順位」などの順番が付けられています。
担保を売却して資金回収を行う場合、売却資金をまず最初に「第一順位抵当権」の債権者への返済に回し、その次に、残った資金から「第二順位抵当権」の債権者への返済に回します。
担保売却時に担保価値が低下していると「第二順位抵当権」の場合、全額資金回収が図れないリスクがあります。
では、第二順位抵当権は危険なのか?というと、決してそうではありません。ここで重要となるのが「担保カバー率」です。
例えば、担保価値「100」の物件購入資金を「100」の借入金(つまり全額借金)でまかなっていた場合、第一順位抵当権を設定していても、貸付金が「100」だと、物件の担保価値が下がり「80」になった時に回収することができません。
しかし、担保価値「100」の物件購入資金を「50」の借入金(つまり半分は自己資金)でまかなっていた場合、第一順位抵当権の設定者から「20」、第二順位抵当権の設定者から「30」の借入をしても、トータルの借入が「50」となるため、十分な担保余力があります。
この場合、仮に担保価値が下がって「80」になっても、第一順位抵当権、第二順位抵当権の設定者は双方ともに全額資金回収が行えます。
つまり、抵当権はその順位も重要ですが、それよりも担保カバー率(物件の担保評価額と借入総額の割合)を見ることが重要です。
ラッキーバンクの投資案件は、1つのプロジェクトで
- 担保カバー率が高い第二順位抵当権
- 担保カバー率が低めの第一順位抵当権
をうまくミックスしています。
「担保カバー率が低い第一順位抵当権」が入っているものに関しては、不動産価格の下落時に担保価値が毀損する可能性があり、ややリスクはあります。
ただ、全体をみるとリスクとリターンを上手くバランスさせており、ソーシャルレンディングらしい「ミドルリスク・ミドルリターン」の案件が多いなと感じました。
ローリスク・ローリターンで投資したいという方は、オーナーズブックの方が安定した運用ができると思います。
利回りは高めだが回収期間は長め
全案件に不動産担保を付けており、かつ高利回りの案件が多いのがラッキーバンクの魅力です。ソーシャルレンディング全体の利回りの平均値を上回っていることも、投資家人気の裏付けとなっています。
また、1案件あたりの調達資金も数千万円規模となっており、1つのプロジェクトに100人以上が投資をしているケースも少なくありません。
しかし、ラッキーバンクの投資案件は投資期間が長めのものが多いです。
過去の運用実績を見ると、運用期間12ヶ月以上の長期プロジェクトとなっているものが多く、元本が償還されるまでしばらく預けておく必要があります。
最初から運用期間が長い投資案件を探している人にとっては都合が良いですが、短期資金を運用したい方にとっては、ラッキーバンクで適切な案件を見つけるのは難しいかもしれません。
ラッキーバンクの手数料と税金、確定申告について
ラッキーバンクの口座開設・維持費用は0円です。取引手数料などもかかりません。
また、ラッキーバンクは出金手数料も無料となっているありがたいソーシャルレンディング業者です。
唯一、入金時の振込手数料だけは自己負担となりますが、これはネット銀行などを使えば0円にすることができます。
収益は源泉徴収される
ラッキーバンクから支払われる分配金(ファンドの金利収益)は、源泉徴収として約20%の税金を差し引いた状態で支払われます。
これは、その他のソーシャルレンディングでも定期預金などでも同じです。
源泉徴収が行われることで、給与所得と退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下の人は、原則として確定申告が不要となります。(場合によってはこのケースでも確定申告をした方がお得になることもあります)
年間200万円以上の資金をソーシャルレンディングで運用する場合、年間収益が20万円を越える可能性が出てきますので、該当する方は税金や確定申告についても気にする必要があります。
ソーシャルレンディングの分配金は雑所得として総合課税となります。
税金と確定申告については、下記の記事を参照してください。
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ソーシャルレンディングで確定申告が必要な場合とその方法
管理人の評価
良い意味で、ソーシャルレンディングらしいミドルリスク・ミドルリターンな案件を提供している業者です。
記事執筆時点(2017年3月)では貸し倒れは1件も発生しておらず、すべて正常に運用・償還が行われています。
ラッキーバンクは不動産担保付き案件に特化したソーシャルレンディングとして注目を集め、ローン残高を順調に拡大しています。
国内不動産投資プロジェクトの中でも高利回りの案件が多いため、ラッキーバンクが募集を開始すると毎回、募集額が全額集まっている状況です。
ただし、不動産担保を設定していても100%安全というわけではありません。不動産市況が悪化し、担保評価額が目減りした場合、元本割れのリスクもあります。
1案件への投資金額を小さくし、複数のプロジェクト、複数の業者に分散投資し、リスク低減をはかることをおすすめします。