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勘違いって・・・・こわっ

作者:リンドウ
初投稿です
誤字脱字あると思いますが、暖かい目で読んでくだされば幸いです

   パシャーン

着ていたドレスが真っ赤に染まる・・・・
 ”っ冷たっ・・・”

「あら、余りにもみすぼらしい恰好でしたので、雑巾かと思いましたゎ。
それに、アーク様がお優しくして下さるからって、庶民がいい気になるんじゃありませんことよ!」
確かに、豪華なドレスでは無いが
・・・いきなりワインを掛けてきて、訳も分からない事を言ってきた。

「ティア!お前達、何をやっているんだ!
私の愛するフィオナ嬢に謝れ!
こんな事して・・・お前みたいな暴力的な女との婚約は破棄だ!」
「愛しいフィオナ嬢、大丈夫か?怪我は無いか?」
「アーク様!」

「?」
何この茶番・・・それよりも、濡れて寒いんだけど・・・

「なぜ・・・なぜこの女なのです!
わたくしは・・・わたくしは王妃教育もしっかりと行ってきましたのに!この女の何処が良いというのですか!!」

「お前にはフィオナ嬢のような優しさや、私が求めている癒しが無いのだ!
彼女にはある!
彼女には私の求めた優しさや癒しがある!
惹かれあうのに時間はかからなかった!」


ここは、テイル王国首都にある『テイル王立学園』
テイル王立学園は、貴族は義務入学、一般人でも優秀な者は学費免除で入学出来る。
で、今は学園卒業パーティー真っ最中です。

今年卒業生の、第一王子アーク様とその婚約者であるティア様を始め、この国の中枢を担う方々のご子息とその婚約者がいます。

私も今年卒業生の一人、フィオナ・ルディ・ジェムンガルド
隣国の、ジェムンガルド国王陛下の隠し子として生まれ
政治的配慮もあり、良好関係であるテイル王立学園に一般人枠として入学していた。

この事は、ジェムンガルド国王陛下と宰相
テイル王国の陛下、宰相と小数人しか、知らされていない。

パーティーでは、ドレスコードがあり、男性は燕尾服の正装。女性はドレスで出席しなければいけない。
一応、一般人という枠で卒業なので、シンプルなドレスを着て、壁際の花をしていた訳ですが・・・

王子様の婚約者であるティア様が、わざわざ壁際まで来てからの、冒頭の出来事
手に持っていたワインの入ったグラスを投げつけてきたのです。

そして、そこから始まる口論の嵐・・・
内容はというと・・・

王子様を誘惑したとか
他の権力者のご子息をも誘惑しているとか

それに対して男性陣側は・・・
王子に対しての献身的な尽くし方、自分たちに対しての優しさが、いかに素晴らしいか言い出した。

ってか
全く身に覚えが無いんですけどね
そんな事したかな・・・・?

女性陣は、なぜ婚約者のいる男に近づき、誘惑するのか!と詰め寄り
男性陣は、婚約者に対して断絶を言い渡したり、私の事を守ると言ってきてる
ワインで濡れた私を挟んでの攻防戦が始まってるし・・・

濡れて寒いし・・・
ゴチャゴチャうるさいし・・・
イライラする・・・
あ゛ーーーそろそろ私の限界が・・・

もう・・・いいよね・・・キレても・・
卒業パーティー終わったらジェムンガルド王国に帰るし・・
言いたいこと言っても、いいよね・・・・



「ああああもう!ごちゃごちゃ、うっさいんじゃボケぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「フィ、フィオナ嬢?!」

「さっきから黙って聞いてたら好き勝手言ってんじゃないわよ!いい加減うるさい!」
「「「フィ、フィオナ嬢!?」」」

脳内お花畑の男性陣が声かけてきたけど、知るか!

「ど、どうしたんだ?フィオナ嬢?」
「うっさい!!気安く人の名前呼ぶなヘタレ王子!」
「!ヘタレ?!」
「しょ、庶民がアーク殿下にそのような口の聞き方」
「黙れクルクル頭!」
「く、クルクル頭?!」

男性陣、女性陣、目を大きく見開きながら、こっちを見てる。

「そもそも、王妃教育と自分磨きばかり気にして、王子の管理してこなかったから、こんな事になるんじゃボケ!
「ちょっと!ティア様に向かって、なんて」 
「取り巻きは黙っとけ!権力者の後ろでピーチクパーチク言うだけしか能のない奴には関係ないんじゃボケ!後ろに下がって、大人しく見てろ!」

ティアがびっくりしてると、取り巻きの1人がしゃしゃり出てきた。
名前も知らないし、覚える気もない!

そんなやり取りを他の子息やその婚約者、野次馬が呆然と見ている。

「さて王子!私の何が優しかったか、教えてくださいまし!」
「え?あ、ああ。
私が政務で忙しく疲れて、通路で座り込んでた時に優しく声をかけてくれたではないか」
「はぁぁぁ?通路の真ん中で座り込んでる奴居たら、邪魔だしだろうが!
は?そんなんで落ちたの?どんだけピュアボーイか!」
「ま、まだあるぞ!
落ち込んで中庭に居た時に、手作りのお菓子を持って励ましてくれたではないか!」
「ああん?あれか!天気のいい日に日向ぼっこしようとして中庭に行ったら、目の前でグチグチ言いながら落ち込んでる奴居たら目障りでしょ!
どこか違う場所に行って欲しかったから、お菓子渡しただけよ!勘違いしないで!」
「ほ、他にもある!私の愛の囁きに笑顔で答えてくれたじゃないか!」
「はっ?
・・・・ああああ、あれか『君は僕の太陽だ』とか『君の微笑みは月のように優しく僕を照らしてくれる』とか言ってた事か?!」
「そうだ」
「あんなの意味不明だし、笑顔で聞くのなんて社交辞令に決まってるでしょ!」
「しゃ、社交辞令・・・・・」

王子は額を片手で押さえながらふらついてた。
これだからヘタレは。

それにだ
「なぜそこにショック受けるん?!普通に考えて、王子に迫られて嫌と言える人はどんだけいる?いないでしょ!!察せよ!!それに、王子が甘い言葉言えば誰でもなびくと思うな!まずそこ大間違いだから!」
「フィ、フィオナ。もうその辺で・・や、やめてあげて・・・」

ヘタレ王子が膝から崩れ落ちそうになると、ティア様が間に入って支えてきた。
ちっ、これだからヘタレ王子は・・・

ティア様からすると、王妃教育で頑張ってる間に、私に取られたように見えたんだろうなぁー。
今みたいに、しっかり支えてやればいいものを・・・まぁ一番悪いのはヘタレ王子がヘタレっていう所だな。
ティア様にも言いたい事や、思うところはあるけれど、今はいいか。
他の奴にも言いたいことあるから。

「ティア様に免じてこのくらいにしておくけど、もう2度と近づかないで!」

うな垂れるヘタレ王子をティア様が抱え起こし、壁際に座らせた。

さて、次は・・・

ぐるっと見渡せば、目をそらす人が多々いる中で、目が合った人物
宰相の息子ロン。
神経質そうな顔立ちに、スマートと言うよりも、細っ!!!ていう体つき。いつも片手に本を持ってる。

「フィオナ嬢!やはり私の事を一番想ってくれてるのですね!いつも、私の話を真剣に聞いてくれてるし、私が考えた政策を素敵と言って褒めてくださる」
「は?意味分かんないんですけど?」
「え?」
「ってか、政策思いついたとか言って話してくるけど、費用、時間、予算なんて計算してないし、それをやるとして、国の影響、国民への影響も考慮してないし!只々、夢物語の自己満政策!その手に持ってる本は何の為に持ってる?飾りか?飾りなのか?!妄想ばっかで、現実見えてないし!」
「も・・妄想」
「そりゃそうでしょ!スラム街や孤児院を壊し、そこに花畑を作るって?は?じゃー孤児はどうする?スラムの人はどうする?
お?お?
自分の頭ん中がお花畑になってる場合か!」
「いや・・でも・・素敵って言ってくれたじゃないか!」
「は?社交辞令に決まってるでしょ!税金何とおもってるの?無駄なことに使う前に、もっとよく考えろ!」

周りの人間が『素晴らしい』って言ってるのに、1人だけ否定できる訳ないでしょ!
考えたら分かるだろう!

あ・・・ヘタレ王子の取り巻きだから無理か・・・

「そ、それでは、図書室で本を読んでいた時に、私の体を気遣い、優しい言葉をかけてくれたのは、どういう事だ!
私の事を想っての言葉じゃなかったのか?!」
「は?マジ意味分かんないんですけど?」
「え?」
「図書室で、私が何て声かけた?」
「私が本を読んでる時に『遅くまで本を読んでいたら、お体を壊しますよ』とか『お疲れのようですし、寮に戻られてはいかがですか?』など、私の体を気遣ってくれていたではないか!」
「家に帰れば『本は沢山読め!』『寝る間も惜しんで本を読破しろ』など言われて続けた私を、気遣ってくれたのはフィオナ嬢だけだった!」
「は?!なにその勘違!」
「はぇ?」
「図書室の司書さんのお手伝いしてて、居座り続けるけるから外に出すために、遠回しで言っただけだし!早く帰りたかったし!優しくっていうか、社交辞令だし!」

「・・・・・つまり・・・私の勘違い・・・だと?」
「ずーっとそう言ってるけど?!
それに!優しい言葉欲しいんだったら、自分でそう言えばいい!思ってるだけじゃ伝わらんし!分からんし!そしたら、自分の婚約者のベル様が優しくしてくれるはず!そうでしょベル様!?」
「ほぇ?あ、はい!」

ベル様は気遣い出来るし、優しい人だ。
宰相の事も、親が決めた婚約ではあるが、好きみたいだし。
ちょっと、ほんわかして、気遣いが明後日の方にいってたみたいだけどね。
今回の事で、気づいたでしょ。


とりあえず、上2人の始末はついた。
他にはっと・・・
再度、ぐるっと見渡したが、もう誰も目を合わせてこようとはしなかった。
あんだけ愛だの恋だのうるさかったのに
静かなもんだ

後は事態の収拾だよなー

「他に、勘違いバカはいない?!」
「そう、勘違いバカはいないみたいなので、これで失礼致します。」

しっかりカテーシーを決めて、入口の方に歩き出し、出入り口を開けると教師達がなだれ込むように入ってきた。
教師は何があったか分からず、アタフタしていた

よし!今のうちに逃げる!




足早に寮に帰り、ワインのかかったドレスから普段着に着替えてる途中で、ノック音がした。

もう来たか!
結構早かったなw

ドアを開けると王城からの使いが来たという知らせだった

普段着でいいので直ぐに登城する事!だと
流石に普段着は不味いので
簡素なドレスに着替え、玄関に行き、大人しく馬車に乗って王城に向かう。


馬車の中で考えなら
これで戦争とか・・なら・・・・ないよね?
ははは・・・なるかもな・・・・・

不敬罪で私1人の罰で収まんないかなぁー

ちょっと落ち込んでみたけど、私悪くない!って思うことにして、もうやっちまた事はしょうがない!
腹くくるか!!









やってきました王城の謁見の間のドア前









うん・・・
緊張するね


   







中に入り、陛下が来るのをカテーシーで待つ
”足がつりそう・・・”









謁見の間の空気が揺らいだのを感じた。







「おもてを上げよ」
”上げたくねー”


その言葉を得てから顔を上げる。
王座に座る金髪の優しそうなイケメン陛下と、直ぐ脇に立っている黒髪で眼鏡をかけた気難しいそうな細身の宰相
”親子そっくりだな”

そして・・・・・
ジェムンガルド国王陛下がいる・・・・なぜ?


「卒業パーティーでの一件、聞き及んでいるぞ」
「はい」
「うちのバカ息子が迷惑をかけな」
「はい?!」
「第一王子として、甘やかしすぎた面もあったし、誰も彼もが自分の事を好きだというバカな考えも改まって、いい機会であっただろう。これで、ヘタレも治ってくれればいいのだがな。」
「は、はぁ・・・」
「宰相の息子にも現実が少し見えたんじゃないか?」
「さように思います。本ばかり読ませすぎて、現実の実情が分かっておりませんでした。以後、気を付けます。」
「ほどほどにな」
「御意」

「さて、フィオナ嬢。今回の出来事は学園内の事であり、人生勉強の一環として不問にす。」
「え!」
「ん?罰してほしかったか?」
「い、いえいえ。ありがとうございます」
  ”よっしゃーーーーー!”
「ジェムンガルド殿もそれでよろしいか?」
「感謝いたします。」

「ジェムンガルド殿からもフィオナ嬢に伝えたいことがあるようだ。」

2人で目配せした後に

「さてフィオナ、今回の事はテイル殿の恩情に甘え、私からも不問とする。」
「ありがとうござい」
”わーい、やったー”

「それと、そなたを正式に王家の者とし、もう1年テイル王国に預ける事になった」
「え!」
「大学院でしっかり学ぶんだぞ!」

”ええええええええええええええええええええ”
国に帰ると思ったから、やらかしたのに!
まじか!!まじか!!!!
うっわああああああああ

「フィオナ、聞いているのか?!」
「は、はい!」
「勉学もだが、礼儀もきちんと習ってきなさい!」
「はいぃぃぃぃぃ」
「それでは、テイル殿、1年宜しく頼みます」
「しかと承りました」
2人してにやって・・・・



うわぁー何か腹黒い笑いしてる・・・



ってかどうすんの!
王子やティア様、そして大勢の取り巻きがいる中、素の自分を出してしまったじゃない!
素の自分を色々出した後に、また学園生活って・・・
大学院も、メンツほぼ変わらないのに・・・
うゎぁぁぁぁぁ
帰れると思ってたのに、帰れるって・・・・



あああああ
私も勘違いしてたのかぁぁぁぁぁぁぁぁ!








最後までお読み頂きありがとうございました

誤字報告ありがとうございます。

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