「村上式シンプル英語勉強法」という本を読みました。
ずいぶん前にベストセラーになった本です。英語の勉強法はいつの時代も売れ続けるコンテンツですね。
短めの本で、書いてあることはタイトル通りシンプルです。
要約すると、
「量をこなせ。英語は学問ではなく、身体で覚えるもの」
です。
村上憲郎さんの経歴は輝いています。
京都大学を卒業後、日立に就職。
31歳のタイミングで外資系IT企業であるDECに転職。
Northern Telecom Japanの代表取締役を経て、2003年Google日本法人代表取締役に就任。
という、恐ろしい経歴の持ち主です。
「村上式シンプル英語勉強法」では、31歳まで英語が全然できなかった村上さんが、英語を克服し、使いこなせるようになるまでの経緯が書かれていますが、彼がここまで出世した理由は、おそらく英語力によるものだけではないでしょう。
英語ができて当たり前の環境に飛び込み、かつ仕事で結果を残し続けたからこそ、Google米国本社の副社長にまで上り詰めたに違いありません。
村上さんはこう言います。
「私たちにとって、英語は十分条件ではありません。
必要条件です。
英語が出来ても出世はできませんが、英語が出来ないと出世は出来ない」
Googleで上り詰めた男が言うと重みが違いますね。
村上さんはこう続けます。
「英語が出来ない、英語を身につけようとしないことのエクスキューズが
『追い詰められた状況にないから』
というのは、今の時代、もう通用しないと思ってください。
これからはそんなことを言ってられません。
21世紀を生き抜きたいと思っている人間にとって、
『今現在、英語ができない』
ということが既に、追い詰められている状態なのです」
一方で、落合陽一さんが「日本再興戦略」で述べているように、これからは言語の差はどんどんなくなっていくだろう、という主張もあります。
村上さんが第一線で活躍していた時代よりも同時翻訳ツールの性能が格段に上がってきているからです。
- 英語ができないとヤバい。グローバルビジネスの場では英語は当たり前だし、英語ができないと世界の情報に遅れてしまう
- 英語ができなくてもそれは翻訳ツールが解決してくれる。それよりも母国語で論理的に考える能力を鍛える方が大切
と、主張は大きく分かれますが、どちらの立場を取るかは人それぞれの判断によるでしょう。
ただ現時点ではやはり、英語は
「できないと損する能力」
であることには違いないでしょうし、特に人と話すときに翻訳に頼っていては、パッションは伝わりにくいです。
「誤解されにくい」というメリットはあるので、重要な商談では通訳がいるに越したことはありませんが。
そういえば僕は昔、めちゃくちゃ綺麗な韓国人の女性に声をかけて、身振り手振りで「案内するよ!」的なことを伝えて、一緒にバーに行ったことがあります。
言葉なんて通じません。
なので、毎回伝えたいことをGoogle翻訳にかけて、その場でスマホを見せて伝える、という作業を繰り返しました。
こんなにも伝えたい想いがあるのに!
壊れるほど愛しても3分の1も伝わらないこの状況は、とてもとてももどかしいものでした。
バーでじっと目を見つめながら、
「君は僕が今まで会ったどの日本人よりも綺麗だ」
とか
「これから一緒に俺の部屋でDVDを観ないか?今日という出会いを二人の大切な思い出にしたくて」
とか、溢れんばかりの想いをちゃんと言葉で伝えられていたら、バーを出た瞬間に"Good bye"と言われることもなかったのに。
そんな屈辱を二度と味わわないためにも、英語は習得しておかなければいけません。
村上式シンプル英語勉強法は
- 読む
- 聞く
- 書く
- 話す
能力を身に付けるために「私たちがやらなければいけないこと」を示します。
まず、読む能力を身に付けるためにやることは、
「300万語読みましょう」
ということです。
小説約30冊分、ノンフィクションなら15冊分です。
これが厳しい人は、最低100万語。
小説10冊、ノンフィクション5冊は読めと。
ゴリゴリの体育会系の理論ですが、そもそも村上さんは
「スマートに効率よく英語を身に付けろ」
とは言っていません。
最初から最後まで、
「筋トレと同じで、身体で覚えていけ」
と主張しています。
読む能力の修行中のルールは、
・先頭から読み進めて後ろに戻らないこと
です。
英語を英語のまま理解しろ、ということですね。
青戻りしないで読むことは、そのまま聴くための訓練でもあります。
ひたすら英語を英語の語順のまま読み進めていきましょう。
ちなみに僕は、英語の勉強用にRuby on Railsのチュートリアルの洋書版を買ってみました。
質問箱を作ったせせりさんがRails使いだという話を見て、どうせ英語の本を読む修業を積むなら後々役に立つものにしよう、という下心からです。
分厚すぎてたぶん挫折します。
うわぁ...
ちなみに村上さんの本では会話の多い探偵モノが薦められていますので、僕の真似はしないように気をつけてください。
最終的には1分間に500語読めるスピードを目指せ、と言われています。
「100万語読め」の次は「単語を1万語覚えよ」です。
1語1秒で眺めて、ひたすら見るだけの作業を続けます。
コツは覚えようと思って読むのではなく、高速で眺めることだそうです。
次にリスニングです。
リスニングの上達方法は「ひたすら聴くこと」だと身も蓋もないことを言われています。
目標は毎日1時間、トータルで1000時間は聴くこと。
そうすれば耳の筋肉がついて、ネイティブの英語が聞き取れるようになるそうです。
本文は見ずに、ひたすら英語を聴きます。
ここまで読むと嫌でも気付いてしまうのですが、村上さんはとんでもなく根性がある人です。
言うまでもなく、ガッツはサラリーマンの出世においてとても重要な素養です。
村上式シンプル英語勉強法は根性を試されます。
たぶん、「村上式」をやりきれば、どの本を使っても誰でも英語ができるようになると思いますが、やり切ることができる人はごくわずかでしょう。
「誰でもできるけど、時間をかけてやりきることができる人は少ない」
という点に壁があるものはけっこうあって、
・英語
・筋トレ
・ダイエット
などは始めるのは簡単ですが、成果につなげるまでが大変ですよね。
だからこそ方法論が求められるし、モチベーションを上げてくれる環境にお金を出す人がたくさんいるんだと思います。
こういうのはシンプルに
「いいからやれ」
「時間を投入しろ」
が一番の成功ノウハウですが、それが一番難しい。
話す能力を身に付ける話では、身の周りのことを100個くらい話せるようになって、書く能力はとにかく英借文だ、と主張されていました。
これは受験本でもよく言われていることですね。
具体的な教材などは本の中で紹介されているので、参考にしてみてください。
僕としては、村上式シンプル英語勉強法は、モチベーションアップに使うのが一番良いと思います。
ものすごく仕事ができて優秀な人でも、とんでもない時間をつぎ込んで英語を習得したのだと。
始めるのに遅すぎることはないから、とにかく時間を投入してひたすらやれば、「英語ができる世界」に行けるはずだと。
そういう気持ちにさせてくれるのが、この本の良いところです。
- 作者: 村上憲郎
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/08/01
- メディア: 単行本
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