20日午前8時40分ごろ、米軍三沢基地(青森県三沢市)を離陸した同基地所属のF16戦闘機のエンジンから出火するトラブルがあった。米軍から防衛省に入った連絡によると、同機は外付け式の補助燃料タンク2個を基地の北側にある小川原湖に投棄し、約3分後に基地に引き返して着陸した。けが人や被害が出たとの情報は入っておらず、同省が詳しい状況を調べている。県警は有害物質が含まれている恐れがあるとして、付近の市道を通行止めにした。【北山夏帆、前谷宏、隅俊之】
小野寺五典防衛相は同日の記者会見で「飛行は十分に安全確保した上で行うのが基本。米軍に原因の説明を受けると共に再発防止を伝えたい」と話した。
防衛省によると、補助燃料タンクは通常、主翼の下に取り付けられており、着陸時の安全確保のために投棄したとみられる。三沢基地所属の米軍機を巡っては2015年4月や昨年10月にも飛行中に不具合が発生し、洋上にタンクを投棄するトラブルがあった。
小川原湖漁協によると、燃料タンクが落下したのは小川原湖の南側。20日午前9時ごろ、シジミ漁をしていた漁師から「約300メートル離れたところに落下物があり、水しぶきが上がった」と連絡が入った。燃料タンクは水面に張っていた厚さ約1センチの氷を突き破ったという。周辺では当時、約10隻がシジミ漁をしていた。落下点に最も近い漁船は約200メートルしか離れておらず、落下時の水しぶきは高さ約15メートルにも及んだという。
連絡を受けて現場に駆けつけた同漁協指導課の沼田広樹課長らによると、周辺の氷上には粉々になった金属片が散乱し、氷の割れ目の水面には油膜が漂っていたという。同漁協はこの日、現場周辺で採取されたシジミの出荷を取りやめた。
一方、青森県警は、湖に落下した燃料に有害物質が含まれている恐れがあるとして、午前11時から湖の南東側を走る市道を約5キロにわたって全面通行止めにした。現在のところ、県警に被害や混乱などの通報はなく、安全が確認され次第、解除する方針。