ブロックチェーンデータプラットフォーム 「Datachain」の構想をリリースしました
Speeeファウンダーで、Datachain(データチェーン)責任者の久田です。
Datachainは、ブロックチェーン技術を基盤としたデータプラットフォームです。
ブロックチェーン×DMP(Data Management Platform)で、データ流通を革新していきます。
私たちが不勉強でなければ、Datachainは現時点でまだ存在しない、世界初のアイデアです。
(ブロックチェーン×DMPという意味では、一部海外プロダクトがありますが、公開情報をみるかぎりでは、Datachainの重要コンセプトとは異なっています)
Mission, Vision
Datachainでは、Missionとして「データがつながるをあたらしく」、Visionとして「世界中のデータをブロックチェーンによって安全に共有できるようにする」を掲げています。
ビッグデータ、AIという潮流がある中で、世界にはデータが溢れているイメージを持ちますが、本当に重要なデータは共有されずに死蔵されているのでは、という問いがあります。
性質として、第三者と共有できないデータというものは非常に多くある一方で、そういったものこそが解析によって大きな価値を生み出すのだと思います。
Datachainでは、そういったクローズドデータがブロックチェーンによって安全に共有され、あらゆる産業に役立てられる社会が来る、という仮説を持っています。
そうしてデータがあたらしい形でつながれば、世界はもっと良くなると思っています。
データの世界には、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)による、独占・支配という課題があります。
富めるものがさらに富む構造です。
私たちは、ブロックチェーン技術によって、データの世界の格差をなくし、世界をもっとフラットにしていけると考えています。
Datachainは、そういった未来が来るのだということを、先陣を切って示していきたいと思っています。
Datachainとは
Datachainは、ブロックチェーン×DMPのプロダクトです。
Mission, Visionでも触れた通り、本来はあらゆる産業に使われる技術・モデルのアイデアであり、私たちはこれをBDP(ブロックチェーン・データプラットフォーム)構想と呼んでいます。
DatachainをBDP for Marketingと位置付け、最初の領域として取り組みます。
テクノロジーには浸透する順番があって、マーケティングはその入り口に近いこと、またデータを供給・利活用するプレイヤーのインセンティブがわかりやすいことからです。
まずはここで、ブロックチェーンで重要データがセキュアに共有できるのだという文化をつくり、たとえば医療(BDP for Medical)や行政(BDP for Government)など、実現ハードルが高いもののインパクトが大きい分野への応用を広げていきたいです。
DMPとは、広告主や媒体社などから、主にWebの行動ログを収集・解析し、広告やCRMなどに活用できるようにする、データ取引プラットフォームのことです。
もう少しわかりやすく言えば、クリックや購入などの行動から、このユーザーはどうやら30代の女性で、化粧品に興味がありそう、という属性をつくり、マーケティング活動にいかせるようにするプレイヤーのことです。
私たちは、データプラットフォームの4要件として、Data, Science, Security, Costをあげています。
Dataはどれだけ広く深いデータがあるか、Scienceはどれだけインテリジェントな解析がされているか、Securityはどれだけ安全な取引をされているか、そしてCostはどれだけ取引コストが低いかです。
Datachainは上記4つのポイントを、ブロックチェーンテクノロジーとトークンエコノミーによって、まったくあたらしいものにするアイデアです。
ブロックチェーンテクノロジー
ブロックチェーンテクノロジーでは、4つの特徴にまとめています。
Decentralized Server, Smart Control, Log Sync, On Demand Queryです。
第三者であるDMPの中央集権的サーバにデータをそのまま共有する形では、匿名性が比較的高いWebの行動ログはまだしも、基幹DBにあるような、オンライン・オフラインの購買データ、来店データ、会員データ、ジオデータなどは渡すハードルが高くなります。
そこで、暗号化および匿名加工情報化により、プラットフォーマーが直接データを読みとれない形式にします。
データプロバイダ自身がブロックチェーンにノードとして参加する仕組みも重要です(Decentralized Server)。
スマートコントラクトによって、どのようなデータをマスキングするか、誰への利用を許可するかなどもコントロールができます(Smart Control)。
さらに、誰にどのように使われたかという取引履歴が透明になり、販売による正当な報酬を受け取ることができるようになります(Log Sync)。
これらによって、自社の機密データを、第三者に閲覧されることなく、また意図しない形式・相手に利用されることなく、取引することが可能になります。
また、前処理による固定的なものでなく、オンデマンドで、理論的には無限の組み合わせの解析が可能になります(On Demand Query)。
これによって、より深く多様な分析ができるとともに、あらゆるアプリケーションとの連携が可能になります。
技術特許については現在申請準備中です。
トークンエコノミー
Datachainは、Datachain Tokenによって、データ取引の基軸通貨をつくる、ということを掲げています。
金本位制、国家信用本位制ならぬ、データ本位制という考え方です。
データは21世紀でもっとも重要なアセット、21世紀の石油であるといわれながら、財務諸表ではその価値はゼロです。
暗号通貨の解説などでよく語られるように、これが資本主義の限界です。
本当は価値があるのに、現在の法定通貨ではそれが示されないものをトークン化することによって、貨幣(尺度・保存・交換)の特性を持ち、また変動相場であるものが暗号通貨です。
ある企業のデータ資産が今はゼロ評価だったとして、Datachain Tokenのある未来では100億、1,000億という価値が可視化されることが普通になるかもしれません。
また、トークンエコノミーがDMPを革新するポイントも重要です。
これもブロックチェーンテクノロジー同様、Cost Free, Zero Margin, Fair Trade, Token Policyの4つにまとめています。
それぞれが、Datachainのエコシステムを活性化させるために、設計されています。
法定通貨ゼロによってエントリーしやすくし(Cost Free)、データ取引マージンをゼロにしてトランザクションにおける摩擦をなくします(Zero Margin)。
データの公正な価値評価をし(Fair Trade)、トークン経済圏の金融政策を行うことで(Token Policy)、安定的なプラットフォームを実現します。
アプリケーションプラットフォーム
インターネットの世界では、アプリケーションプラットフォームが大きなインパクトを与えてきました。
これによってDatachainが解決したい課題は、保有オーディエンスデータの格差によって、Developerにとっての開発機会が失われていることです。
良いアイデアがあるのに、データ不足によって精度があがらず、フェアな競争にならないという現実があります。
Datachainでは、エコシステムの成長によって、これまでにない広さと深さのデータ取引がなされます。
このデータ基盤をもとに、初期はデータが無償で供給され、グロースした後に決済手数料からデータプロバイダにレベニューシェアしていく、というモデルを構想しています。
まずは広告・CRM・MA・SFAなどのマーケティング/セールス分野から、購買データを利用したクレジットスコアという金融分野と、さらなる領域への展開も見えてきます。
いくつか
個人情報保護、データ保護の観点も、このプロダクトのコアです。
リーガル、技術のレビューも、複数の専門家に行っていただいています。
ユーザー個人にとっての便益があることを前提として、透明性・主体性についても設計に組み込んでいます。
データの民主化という重要テーマにおいて、Datachainも貢献できることが多くあります。
Datachainでは、今のところICOについては検討していません。
あくまでブロックチェーン技術をデータ流通の分野で社会実装することを軸にしていきます。
仮想通貨交換業については、登録申請準備中です。
また、今回のアイデアの解像度をあげる過程で、公的なドキュメントを見つけることが多くありました。
データと競争政策に関する検討会 報告書 / 公正取引委員会 競争政策研究センター
IoTデータ利活用促進のためのデータ協調戦略 / 経済産業省 商務情報政策局
上記は一部ですが、こういった提言に対するひとつの解に、Datachainをしていきたいと考えています。
チーム
Speeeファウンダーの久田と、Speee執行役員である木村を中心としたチームです。
木村は国内初のアドフラウドソリューションを開発し、KDDIグループに売却したMomentumの創業CTOです。
Speeeは、設立10年400名で、デジタルコンサルティングおよびインターネットメディア事業を展開する企業です。
また、非常に強力なアドバイザ陣にも応援いただくことになりました。
デジタルアドバタイジングコンソーシアム起案者で、デジタルインテリジェンス代表取締役の横山さん。
元Googleで、複数の企業のプロダクト/技術顧問をつとめられる及川さん。
エス・エム・エス ファウンダーで、REAPRA PTE. LTD. CEOの諸藤さん。
エウレカ ファウンダーで、エンジェル投資家の赤坂さん。
これから
2018年初夏には、実証実験を開始する予定です。
今回のプロジェクトの子会社化も検討中です。
いずれにせよ、Speeeの母体とは少し離れて、スタートアップ的な文化でたちあげることになります。
創業メンバーも募集しています。
Missionである「データがつながるをあたらしく」、Visionである「世界中のデータをブロックチェーンによって安全に共有できるようにする」の実現のため、全力をつくします。
ぜひ、よろしくお願いします。