羽生結弦-氷上ではキラーでなくてはならない:プルシェンコのコラム(前)

平昌オリンピック男子シングルについて、エフゲニー・プルシェンコ羽生結弦を中心にコラムをSport Expressに掲載していますので紹介します。前後編か前中後編になると思います。

ちょっと話を盛ってるんじゃないかとか、自分を称えるのが垣間見れたりといつものジェーニャ節を微笑ましく楽しんでください。

(追記)
中編アップしました!

羽生結弦-氷上ではキラーでなくてはならない:プルシェンコのコラム(中)




氷上ではキラーでなくてはならない - プルシェンコのコラム


http://www.sport-express.ru/olympics/pyeongchang2018/figure-skating/reviews/na-ldu-nado-byt-killerom-kolonka-plyuschenko-1373777/?ua=dt
2018/2/17 / Sport Express / エフゲニー・プルシェンコ


3年も前のインタビューで、私は現在の男子シングルで誰よりも羽生結弦が好きだと話しています。氷上でなんでもできる人間です。そのときから、何も変わっていません。ただ、彼の五輪王者のタイトルに、今回で「2度の!」という言葉が付け加えられました。

平昌五輪では、結弦は最初から優勝候補でした。問題は一つだけ、結弦が怪我をしたくるぶしを治すのが間に合うかどうかでした。彼が氷上に戻ってから、カナダでの練習はこれ以上ないくらい厳格な秘密主義で行われていました。この間、リンクへは誰も入れず、他人の目から結弦を隠していました。誰も彼がどんなコンディションなのかを知りませんでした。しかしオリンピックで、結弦は完全に回復していたことが見せつけられました。素晴らしい滑りを見せ、それに見合う勝利を収めました。

羽生には信じられないほど才能があるだけでなく、本物のファイターです。しかし、ここにすぐに至ったわけではありません。以前は、エレメンツに失敗して諦めることもありました。転倒後に直ぐに立ち上がらず、一秒ほど氷上に座り込むこともありました。大会でさえ、急いで演技をしてしまうことも。今となっては、こんなことはまったくありません。自分で結論を出したことは素晴らしい。

結弦と知り合ったのは、彼が10歳くらいのことだと思います。私はだいぶ前から夏は日本で過ごし、ショーで滑っています。彼は私たちのショーや練習に来てくれていました。彼が「クワドルッツを練習しているので、見ていただけませんか?」と言っていたのを覚えています。何かアドバイスしたかと…。

大きな成功を掴んだ選手が、高慢になることもよくあります。しかし、結弦の頭には王冠は載っていません。普通の家族に育てられ、欲しいものをなんでも与えられていたような人ではまったくありません。彼の両親とも話したことがありますが、とても優しい方々です。息子さんと同じように謙虚な方たちでした。

結弦はまるで畑を耕す人のようです。フィギュアスケートにとても集中していて、毎年、どんな日でも、家と練習の往復という同じ道を通っています。ちょっと右や左に踏み出すなんてまったくないのです。狂信者と言えるかもしれません!ロシアの選手にはこういった熱狂が足りず、くだらないことに才能を浪費しています。結弦は規律正しく、余計なことは自分に許しません。時間を厳格に守り、食事にも気を遣っています。23歳までまったくアルコールを飲んだことがないんですよ、想像できますか?ヨーグルト、ダンベル、そしてその先へ、なんです。

エキシのときでさえ、彼がどれだけ練習に打ち込んでいるのかを見てきました。話は変わりますが、羽生を含め日本人も、アメリカ人も、エキシで4回転なしでは済ましません。すでに跳べる3回転は跳ばす、新たな4回転を練習するんです。ショーで!彼らにとってはこれが昔からのノルマなんです。ロシアの男子シングルでは考えられません。彼らがメダル争いに参加していないことは驚くに値しますか?

羽生がステレオタイプを壊していることは良いことだと思います。オリンピックで勝利するフィギュアスケーターは、普通キャリアを終えます。いろいろなショーでお金を稼ぎに行くのです。しかし結弦はソチの後も残りました。4年間最高レベルで滑りきり、平昌でまた金メダルを獲りました。そして今も、私が知る限り引退するつもりではないようです。美しい!

結弦には、次の北京五輪でも勝てる力があると信じています。モチベーションも準備も確実に十分です。3度の五輪王者になる、というのは刺激にはならないはずはありません。これ以上クールなことはないでしょう!私も4度のオリンピックを経験しました。ああ、どれだけ征服したかったことか!もっと、もっと勝ちたかった!羽生もちょうどそんな人ではないかと思います。そこに軸があるのです。

重要なのは、彼がまだ23歳だということです。男子シングルスケーターにとって、最盛期でしょう。彼の余力はまだ巨大で、その武器庫には5種類の4回転があります。日本でのショーで、結弦がほとんど暗闇の中で落ち着いてクワドループを跳んだときには驚きました。まったくミスなくです!クワドトウとクワドサルコウは結弦にとっては簡単な問題です。私の目の前で、クワドトウ2つの4-4のコンボを跳ぼうとしたこともあります。4回転半ジャンプも練習しています。

ジャンプの質に注目してください。彼は痩せていて、回転が細く、ぶれていません。スピンは?経過が滑らかで、ポジションは難度が高く、まったく狂いがありません。ステップシーケンスは軽やかで興味深いものです。フィギュアスケーターの多くは、フリープログラムの最後はただ滑り終えるだけです。しかし結弦は、滑り始めたときと同じスピードでプログラムを終わらせています。ときにはスピードが増すときも!まるで氷上を飛んでいるかのように!

続く

Clip to Evernote
follow0

テーマ: フィギュアスケート | ジャンル: スポーツ

羽生結弦-氷上ではキラーでなくてはならない:プルシェンコのコラム(中) | Home | 羽生結弦FS:リプニツカヤ解説翻訳(平昌五輪)
Zenback読み込み中です。

コメント

コメントの投稿


非公開コメント