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強制不妊手術

北海道が記録公表 審査93%を「適切」

旧優生保護法下、記録ある1962~73年度

 北海道は19日、旧優生保護法(1948~96年)下での障害者らへの強制不妊手術について、記録がある1962~73年度に道の優生保護審査会が1210人を審査し、うち93%に当たる1129人について実施を「適切」と判断していたことを明らかにした。この期間に実際に手術をした人数(485人)の2.3倍に当たる。北海道は全国で最も強制不妊手術の件数が多いが、申請や審査の段階で、行政や医師側が積極的に手術を増やそうとしていた実態が浮かびあがった。

 道は手術が適切とされながら手術しなかった人が多い理由について「不明」としている。道によると、手術が適切とされたうち女性が896人と8割で、最年少は11歳の少女2人、未成年は15%に当たる172人だった。

 適切とされた主な理由は、当時の分類で「精神病」532人▽「精神薄弱」558人▽「精神病質」17人で、「身体疾患」15人▽「奇形」7人--となっている。道は該当する具体的な疾患名について明らかにしていないが、同法では躁(そう)うつ病や顕著な性欲異常、犯罪傾向、全色盲などを幅広く対象にしていた。

 また、審査結果が不明だったのが79人で、手術が認められなかったのは2人だった。

 旧厚生省の衛生年報などによると、道内では法施行下で行われた強制不妊手術は全国最多の2593人で、今回審査会資料が公表された62~73年度は485人だった。手術に本人の同意は必要なく、道は、56年に強制不妊手術累計1000件突破に合わせて道が発行した記念冊子の中で、関係者が一体となって強制不妊手術を進めていたことを記述していた。

 今回、道に残っていた記録は一部期間だけだったため、道は道内にある30の保健所に関連資料の提出を求め、3月中旬に最終調査結果をまとめる方針。【田所柳子】

強制不妊 翻意させ手術 慎重な家族を何度も説得

 旧優生保護法(1948~96年)に基づく障害者らの強制不妊手術について、2593件と全国最多だった北海道が、保健所を通じ、手術に慎重な家族を何度も説得していたことを示す資料が見つかった。手術を希望しない家族を翻意させることで件数を伸ばしていった可能性がある。

 手術の適否は、医師の申請を受けた都道府県の優生保護審査会が判断していた。毎日新聞は道に記録の開示を請求し、審査会の決定内容を医師や対象者らに伝える63~73年度の約850人分の決定通知書を入手した。

 開示された情報によると、道は65年8月の決定通知書で、審査会意見として「家族が手術を『希望しない』とあるが、優生手術の意義及び将来の遺伝の問題点などの理解が乏しいと思われる」と指摘し、「保健所が説得に努める」としていた。同年12月の通知書の審査会意見では、備考欄に「希望せず」「再度説得すること」とある2人について、「保健所が説得に努める。同意があれば『適』として処遇し、同意がないときは次回再審査する」と記していた。氏名や住所などの個人情報は黒塗りされていた。

 道衛生部などが道内の強制不妊手術累計1000件超えを機に56年に作製した冊子によると、49年度から55年12月までの審査1047件(再審を含む)のうち37件が保留とされた。いずれも「審査会が(手術を)必要と認めたが、主に遺伝歴が見当たらず家族などが希望しない場合」だった。「ほとんどは再審で解決されてきている」としており、慎重な家族を説得して翻意させたうえで手術を実施していた状況がうかがえる。

 記録が残る49年以降の全国の強制不妊手術1万6475件のうち北海道では15%強が行われ、全国件数の4分の1を占めた年もあった。【日下部元美】

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