シリアのクルド人勢力、トルコ軍対抗でアサド政権と協力と
シリア北部のクルド人武装勢力は18日、同国北部アフリンに侵攻したトルコ軍に対抗するため、アサド政権と協力することで合意したと明らかにした。
シリア政府は合意について報道を確認していない。
シリアと国境を接するトルコは、アフリンで活動するクルド人勢力をテロリストだとみており、先月から大規模な攻撃を実施している。
現在アフリンにシリア軍はいないが、クルド人勢力の幹部、バドラン・ジア・クルドはロイター通信に対し、数日中にもシリア軍がアフリンに入り、国境地帯に配備される可能性があると語った。
イラクのクルド系メディア「ルダウ」も、シリアのクルド人政治家の話として、アサド政権とクルド人勢力との合意を報じており、シリアのクルド人勢力を支持する通信社も同様に報じている。
BBCワールド・サービスのアラン・ジョンストン中東編集長は、合意が本当なら、トルコ軍はアフリンでクルド人勢力だけでなくシリア軍とも対峙することになると語った。
2012年にアサド政権の軍隊がシリア北部から撤退して間もなく、クルド人民兵組織「人民防衛隊」(YPG)の支援を受けたクルド人勢力「民主連合党」(PYD)が、同地域を支配下に置いた。
YPGは、シリア国内の広範囲の地域から過激派組織「イスラム国」(IS)を掃討した。
トルコはYPGを、過去30年にわたってトルコからの分離独立運動を展開してきた非合法組織、クルド労働者党(PKK)とつながっていると考えているため、アフリンからYPGを排除しようとしている。
一方のYPGは、軍事、政治両面でPKKとの直接的なつながりはないとしている。
シリア内戦が始まって以来、シリア軍とYPGの間では、小規模な衝突を除いて、直接対決は避けられてきた。
ジア・クルド氏は、「野蛮な犯罪が行われ、国際社会が沈黙するするなかで、助けの手を差し伸べてくれる誰とでも協力することができる」と語った。
一方で、政治的な取り決めは含まれないと同氏が説明する合意について、うまくいかない可能性もあるとも指摘した。
ジア・クルド氏は、「双方の了解がいつまで続くのかは分からない。(合意に)満足せず、失敗させようとうする勢力がいるからだ」と述べた。
シリア北部では、国内外の多くの勢力が非常に複雑な同盟関係を形作っている。ロイター通信によると、クルド人政治家は、ロシアが対トルコ外交を困難にするとの理由で、YPGとシリア政権との合意に反対する可能性があると語ったという。
YPGが対IS作戦で協力する米国から資金援助を受けていることも、さらに事情を複雑にしている。
これとは別に、トルコがアフリンで化学兵器を使用したと、YPGや監視団体が主張。一方のトルコは否定している。
アフリンにある村への空爆で、6人が毒ガス攻撃によるとされる症状を訴えたと伝えられたが、トルコのメブリュト・チャブシオール外相は、「作り話」だと述べた。
(英語記事 Afrin: Kurdish fighters 'strike deal' with Syrian army)