歯科用語集 ‐ 円周ファイリング,炎症
・円周ファイリング
えんしゅうファイリング circumferential filing [内]
→ファイリング
・炎症
えんしょう inflammat ion [外]
生体に有害な刺激に対する防御反応で, 刺激が加わってから,修復過程までの全経過をさ す. 物理的刺激,機械的刺激,化学的刺激,生物学的刺激などがある. 特に微生物によるものを感染とよぶ. 第1期は血管の拡張と血管透過性の亢進(血清滲出,血漿滲出,血球滲出),第2期は白血球の遊走と粘着, 第3期は肉芽の形成と血管の新生を示す.いずれも炎症巣からのヒスタミン,ブラジキニン,プロスタグランジンなどの化学伝達物質によって進行する. 局所症状は,発赤,腫脹,熱感,疼痛,機能障害の5主徴候があり,急性炎ではこれらすべてが認められ,慢性炎ではこれらの徴候が軽減され,あるいはいくつかは消退している.
[病]
臨床的には一般に,発赤,腫脹,発熱,疼痛,機能障害を伴う疾患で,基本的病理組織学的変化像は,①受け身の変化としての変質,②反応性変化の準備としての局所の循環障害ならびにほぼ同時期の滲出, ③組織の修復機転(炎症の限局を促す力源)としての組織の増殖などを含む一連の変化を示す生体の防御反応である. 変質としては種々な退行性変化(変性,凍死)を, 局所の循環障害としては充血または血行の静止を,話量出としては血液の液体成分である血策と有形成分である白血球, リンパ球,単球,血小板と組織由来の組織球, プラズマ細胞(形質細胞)などの局所への集合を示し, 組織の増殖としては,円形細胞の浸潤増殖,線維芽細胞の増殖,線維・骨・血管の新生増殖などを示す.
種類: ①変質性炎(組織の変質を顕著に示す炎症),②滲出性炎(滲出を主体とする炎症で,その滲出物の性状によって漿液性炎,カタル性炎, 線維素性炎, 化膿性炎,出血性炎,腐 敗性・壊痘性炎に分ける),③場殖性炎(組織の増殖を主変とする炎症),④特殊性炎(増殖性炎のうち,病原別に特異な肉芽組織を形成する炎症),⑤ウイルス性炎(ウイルスによる感染症), ⑥アレルギー性炎(抗原抗体反応を基礎とするアレルギー反応を伴う炎症).
→炎症性細胞浸潤
[化]
組織傷害に対する局所反応として発赤・腫脹・発熱痛の主徴候を伴う.炎症の初発から治癒までの経時的変化に対応して,ヒスタミン,セロトニン,ブラジキニン,プロスタグランジン,アナフィラトキシンなど,多くのケミカルメディエーターが機能する. ケミカルメディエーターは一般に不活性型または前駆体として存在し, 生体反応により活性化されるので, 自分のための医薬品という意味からオータコイドと総称される.
→ ケミカルメディエーター,ヒスタミン,ブラジキニン
(出典)新常用歯科辞典 第3版 医歯薬出版株式会社