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「通い慣れた橋を渡り、古壁沿いのあぜ道を行けば、竹林に出る。いつもの朽ちかけた柵をくぐり、雑草をかき分け、川へ向かう小さな斜面を注意深く降りていく。
いつの頃からだろう。私は、この日常的な時間と空間を、自分の掌中に収めてしまいたい、という欲望に駈られている。そして、今日もまた、私はここを歩いている。
寺社の側で生え繁る樹木や水辺の草花は、当たり前に生を営み、やがて終息を遂げていく。枝、葉、茎、花弁などは、無数に重なりあって、湿りを呼び込みながら、濃密な層をつくっている。しばしば、柔らかな日差しを浴びて蘇生もある。私の仕事は、可能な限り、ここを取り込む聖域でありたいと願っている。まるで、さまざまな過去を積もらせた地面の皮であるかのように。」
(作家コメント「わたしのかたち」『版画年鑑2001』阿部出版より)
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作品紹介
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版画年鑑2001
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