楽天、ネット通販大改革で狙う新たな「金脈」

カギはクレカと広告、"経済圏"拡大で稼ぐ

新規参入や大型提携を次々発表する楽天。三木谷浩史会長は独自経済圏拡大の意義を強調(撮影:今井康一)

IT大手の楽天が、祖業であるEC(ネット通販)で新戦略を矢継ぎ早に打ち出している。

一つは楽天自身が商品を売る直販ビジネスの拡大だ。2017年12月にビックカメラと、今年1月には米ウォルマート傘下の西友と相次いで合弁会社の設立を発表。従来直販で手掛けてきた書籍や日用品だけでなく、家電や生鮮食品でも独自EC網を構築する。

出店者への“場所貸し”ビジネスで成長した「楽天市場」。だが、ECの役割がカタログ通販の代替から日常的な買い物へ広がる中、品ぞろえや在庫、配送をより柔軟にコントロールできる直販モデルの重要性が増している。

楽天市場の決済・配送の仕組みも大改革

4万5600店に上る楽天市場の店舗向けにも、大胆な新方針を掲げる。決済と配送だ。これまで各出店者が専門業者と契約していたが、楽天が一元管理する体制への完全移行を目指す。

楽天は直販ビジネスを強化中。西友と合弁会社を設立し、ネットスーパー事業に乗り出す(撮影:今井康一)

ECの決済方法はクレジットカード、コンビニ、後払いなど、多岐にわたる。楽天市場では店舗によって使える支払い手段がまちまちだ。同様に配送も、受け取りの場所や日時指定などで店舗間に利便性の差がある。今回の体制変更には、ユーザーから見たサービスの質を統一する狙いがある。

特に配送面は、楽天にとって一定の投資を伴う大仕事だ。同社は相模原をはじめ全国に三つの物流拠点を持つが、2年以内に七つを新設する計画だ。倉庫内では自動化も進め人手不足に対応する。直販か出店者かにかかわらず、すべての荷物を「エンド・トゥ・エンドでわれわれが管理する」(三木谷浩史会長兼社長)。

独自物流網構想はさらに広がる。「荷物到着の前にユーザーのスマートフォンに通知を送り再配達率の軽減を図るほか、配送のクラウドソーシングも実現したい」(同)。

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  • NO NAMEcc52d620dec4
    買う気をなくす検索画面のグジャグジャ感と
    買ったら猛烈なスパム送信やめよーよ、まずは
    up8
    down1
    2018/2/19 10:19
  • NO NAME97b209766292
    dポイント経済圏の企業は好調
    あのノジマさえ好調

    楽天は楽天の子会社のイメージしか自分にはありませんが、どうなんでしょう
    と言いつつ4万ポイントくらい溜まってる
    up0
    down1
    2018/2/19 10:44
  • NO NAME412937604ffb
    株主優待制度の拡充を期待してます
    up6
    down14
    2018/2/19 08:52
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