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タクシー大手の第一交通産業と米ウーバーテクノロジーズ(Uber Technologies)がスマートフォン(スマホ)を使った配車サービスで提携する方向で検討していることが、日経コンピュータの取材で分かった。訪日外国人客が日本でウーバーのアプリを起動すると第一交通のタクシーを呼び出せるもので、早ければ2018年春にも提供を始める。ウーバーの配車サービスを使い慣れている訪日客を対象に、同じサービスを日本でも使えるようにして利便性を高める。第一交通は中国のスマホ配車大手、滴滴出行(ディディチューシン)とも同様の提携を発表済み。ウーバーとの提携が成立すれば訪日客向けサービスがいっそう充実しそうだ。
両社が組んで提供するのは、日本のタクシー大手などと同様にスマホを使って近隣のタクシーを呼べるサービス。タクシー事業者の免許を持たない個人が自家用車と利用者をマッチングして有償で客を送り届けるライドシェアサービスは、日本では違法な白タク行為に当たるため提供しない。ウーバーは米国などの海外ではライドシェアサービスを提供している。
第一交通は2017年11月に滴滴出行との提携を発表。2018年春をメドに滴滴出行の配車サービスを東京や大阪など数カ所で使えるようにする。訪日中国人が滴滴出行のアプリを日本で立ち上げると、第一交通のタクシーを呼べる。滴滴出行は中国で4億5000万人の会員を持つスマホ配車サービスの世界最大手である。
ライドシェアは水際で遮断
第一交通が海外のスマホ配車大手と手を組むのは、訪日客の利便性を高めると同時に、白タクに当たるライドシェアサービスが上陸するのを水際で食い止める狙いがある。第一交通は滴滴出行と提携するに当たり、自動車を所有する個人が有料で客を運ぶライドシェアサービスについては、白タクの規制がある限り日本国内では始めないとの確約を取り付けた。加えて道路運送法やタクシーの料金制度などを守るよう迫り、了承させた。滴滴出行が手掛けるサービスのうちスマホを使った配車サービスだけを日本で提供し、個人によるライドシェアの上陸は遮断した。
技術面でも歯止めをかける。第一交通は仲介役のソフトバンクと共同で、滴滴出行アプリの日本向け機能を開発中。サービス提供後に白タク行為が発覚したら通信を遮断してアプリを使用不能にする機能を盛り込む。ウーバーとの提携でも同様の仕組みを設けるとみられる。