挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
Darker Holic 作者:和砂

side2

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
27/113

side2 悪役たちの日常3

テンション下降中の作者に、愛とコメントをお願いします。
明日への活力、急募です。
どうぞ、よろしくお願いします。


 見上げるような長身にも関わらず、彼の金の眼光は、すぐに高い位置の顔の存在を知らせる。
 あまりに眼光が鋭いので、若い頃から喧嘩ばかりし、危険に敏感で気弱(いけしゃあしゃあと自称)な啓吾は、即座に反応するのだろうと感じていた。
 髪も灰色で全体的に色素が薄い印象も、鋭く砥がれた刃を連想させてしまうのかもしれない。

 何より、あの睨むような表情がいけない。それも標準装備である。
 俺に触れるなと言わんばかりの仏頂面は、傭兵ならともかく企業戦士にはNGだ。
 イーサも悪役時は鮮烈な憤怒や冷酷な顔をするものだが、反動があるのか普段は無表情だというのに。

 要するに、啓吾の蘇芳に対する第一印象は、ヤバい男だ。

 立ち姿を見た瞬間にこいつには負けると悟らせられて、多少、雄として自尊心が傷ついたが、今度の戦闘シーンを見ても、その勘は間違っていないだろう。
 こういう臭いは、喧嘩慣れというより、もっと血生臭い事をしている人間からするものだと、啓吾は経験上知っていた。



 鏡花は知らないだろうが、《悪役》の会社である以上、DH社には暗殺を職業としている人間や元殺人鬼なんかも社員に居る。

 例えばNo.2はかなり有名な暗殺者だし、No.1の暗黒神は言うに及ばず、冗談抜きにどっかの世界を滅ぼしている。No.4も研究のために非人道的な事や違法な人体改造手術を行っていたという話だ。


 だが、そのために様々な次元から排斥された存在であり、居場所を提供する会社に彼らは忠実だ。
 また、この会社は極端に《身内に甘い》風潮で、緩い雰囲気も彼らから険を取っている要因になっている。


 正直、一般家庭に育った啓吾は、彼らの隣に居る状況に恐怖が伴うが、それすらも知っていて彼らは一般的な人間を保って接してきている。

 何があったのか深くは聞けないが、どいつもその話題に関係する時は、不思議な、深淵を眺めてきた目をするので、彼らなりの理由が存在していたのだろうと彼は感じていた。


 その分、蘇芳はこれまでの経緯を知っているだけ安心感が持てるはずだが、ここでやはり彼の顔面の標準装備に話が戻る。
 No.4はへらへらしている分だけ心理的な距離が縮まりやすいが、奴はパーソナルスペースを大幅に保ったとしても、寄らば斬るという雰囲気を崩さない。

 唯一入りこめていると見るのは、鏡花だ。

 やはり彼女の潜入の五年間は無駄ではなかったというわけだが、彼女の思惑を外れて、蘇芳の想いはかなり斜め上をすっ飛んでいるのではと幹部の間では話題だ。



 話が逸れたが、啓吾は上層部から、《蘇芳》は戦闘力を期待されて入った社員と聞いていた。
 それは十分すぎるほどだと証明されたわけだが、実際《悪役》としての視点で見てみるのでは違う。

 まさか、これほどとは。

 DHは《正義》も《悪》も偏らない様調節する会社だ。
 仕事は危険行為に変わりないし、その分自分の身を守るための技術は尊ばれる。
 仲間も庇えるだけの技量があれば、なおさらだ。
 だが、どれほど素晴らしい技能を持っていても、仕事に反映されなければ、それはあってない様なモノなのである。


 プラチナさえも顎が外れたようにしている中、同じ室内に居ながら、影が薄くて今まで誰も気が付いていなかった人物が、重い砂袋を引きずるような音を立てて部屋の奥からやってきた。



「ほぅ。あの者、中々の剛の者と見える」

「ひーっひっひっひ、ひぃひぃ…えぇ? ぁんだって?」



 笑いすぎのNo.4が倒れこむようにして見上げると、そこには二足歩行の、人ほどもの大きさのトカゲがいる。先ほどの引きずる音は彼の巨大な尻尾だ。

 興味深そうに近寄ってきたのは、見た目、リザードマン。
 ここのNo.5である彼は、気分によって完全な人型とドラゴンの姿も取れる、《竜人》と言われる種族だ。当然、DH本社とは別次元からやってきた社員である。

 竜神でない所がポイントだが、彼の故郷では神として祀られた経験もあるらしく、今でも気位が高い。
 人間など猿の毛がないモノ程度に思っている節があり、特に素直な反応をする鏡花とは仲が悪かった。



「何だ。興味あるのか」



 啓吾が尋ねると、視線は画面に向いたままで、No.5。
 竜至上主義でナルシストの奴も、別段声をかけられたのに無視するという事はない。
 No.2であり暗殺者でもある死神ババアの教育(鉄拳制裁)の賜物であり、奴も随分丸くなったものだと啓吾は思う。



「ふむ。“人”にしては飛びぬけて霊気が見える」



 爬虫類の目で見ると、蘇芳も周囲にオーラか何かを発散しているらしい。
 竜人の言う霊気も、イーサやマッドが言う魔力も見えない啓吾はそんなもんかねと蘇芳を想像し、またあの不機嫌面に関してどうしたもんかと首をひねった。
 あの状態で本社に居られると、No.5の爬虫類なナルシストとはまた別の意味で浮く。奇声と奇怪な言動と人体解剖・改造が趣味で敬遠されそうなNo.4でさえ馴染めているが、頑なな蘇芳は確実に浮く。
 栄誉ある孤立ではなく、はぶられる。
 というか、あれが同僚で毎日顔を合わせる羽目になるのは嫌だと啓吾は心中で締めくくった。



「ねーねー、《竜人》。それって、凄いの?」



 先ほどの蘇芳の暴挙から立ち直ったのか、プラチナが別の事に興味を持ったようだ。
 無遠慮にNo.5を呼び、彼に「これだから下等生物は」と言われても無視して続けた。

 鏡花と違い、プラチナは竜人を可哀そうなモノを見る目で見ているので、そんな失礼な対応をされてもそうそう気にしない。
 竜人は馬耳東風と思ったのか、そのまま呟くように言った。



「人間の霊気など、我ら竜に比べれば微々たるものだ。
 それを周囲に具現出来るとなるとは、通常ならば考えられん。
 そう言えば、娘。お前は霊気がないが、念動が出来たな」

「そうそう。ここでは、ESPって言う、超能力だって」

「ふむ。あの生意気な女といい、そこの駿足といい、この場所には奇妙なモノが集う」



 心底不思議そうな彼に、人の事は言えないがと、他のメンバーも一瞬だけ間があくが、我が道を行く竜人は気付かない。
 ナルシストな竜至上主義の彼は、大変幸せな人だった。
 戦闘ランクも高いため、我がまま言っていてもきちんと仕事が貰える、悪運の強い人物である。

 あとは、自分の世界に入りやすい彼の事、特に突っ込んでもこないので、皆は彼を放置した。

 そんな折、幹部部屋直通の異次元ドアの使用のための警告が出された。
 予報は天気お姉さんに聞かなくともわかる、強風。

 プラチナはESPで自分の周りに防護フィールドを張り、マッドはそそくさとソファの下に潜り込む。
 アルルカンはそうそう影響がないらしく、吹き飛ばされないよう端に移動した。
 イーサは床に血文字でルーン文字を書いて結界を造り、竜人はアルルカン同様、鱗肌のため影響なく、単に仁王立ちをした程度だ。
 霊気やイーサのいう魔力、ESPのない啓吾は、風を中和するためにその場で《瞬加速》を使用して小さく円状に走る。


 準備が出来た所で、タイミングよく異次元移動が開始された。
 というか、このタイミングだと幹部全員知っているのだ。
 異次元移動に際して、空間のズレか何かで引力の差が出来るのか、風が吹き荒れるのを、幹部になった普通の人間の肌の奴らは新人の洗礼として必ず当たる。


 滅多に使われる事のない異次元ドアが開かれると同時に、強風が室内を吹き荒れた。
 小規模台風が室内を襲うかのような間があり、それがようよう収まる頃。



「ちょっと、この人どうにかして!」



 各人思い思いに異次元移動時の強風を耐えると、蘇芳に詰め寄られながら弱り切った鏡花の声を拾った。
 啓吾が見れば、長身の蘇芳に上から抑え込まれるかのように両腕を拘束されている鏡花が居る。

 どうやら先ほどのドア使用者は彼女達らしい。
 用件は先ほどの仕事っぷりについてだろうと思われた。
 皆も予想が出来たと見えて、静観している中、援護は期待できないと痺れを切らして鏡花が身をよじった。



「ちょっと、待って」

「待てん」



 弱り切った声音で鏡花が抵抗すると、ぐいっと詰め寄った大男に、彼女はさらに引け腰になった。

 元々不機嫌顔の蘇芳だが、奴は顔が仏頂面の割に、行動に出る事は案外少ない。
 また結構人目を気にするタイプと見ていただけに、今回の件を通して鏡花からペアの解消か何かを相談されたのだろうと啓吾は感じた。

 第一、特に身内もなく、良くも悪くも身軽な立場であり、鏡花に気がある素振りの蘇芳が、あれだけ苛立たしげにしている理由など、それぐらいしかなさそうだ。



「どういうことだ。俺が、担当から外れるなど」



 啓吾が思った通りの事を蘇芳が言い、鏡花は話す言葉やタイミングを間違ったのだろうと予想された。
 彼女は、また最初に戻った話題にうんざりした顔をしたが、蘇芳の方は彼女の表情の変化さえも腹立たしい様子で眉根を寄せ、さらに唸るように息を吐いた。

 蘇芳は新人であるし、これまで制限のない本物の悪役をやってきているのだから、DHの仕事に戸惑うのはよくわかる。
 だが、鏡花が辟易するように、いくら蘇芳が新人だからと言って、鏡花が教育係のまねごとをしなければならない理由はない。鏡花はしっかりした見た目に反して、案外、面倒がりなのだ。



「だから、No.持ちは各個で仕事があるんだってば。私もNo.持ちで、自分の仕事があるの。
 それに蘇芳自身、戦闘でAランクでしょう」

「そして、貴様はEランクだ。かつ、同じSF担当だろう」



 どちらも互いの言う事が理解できないといった態度で、反発しあっている。

 恐らく、だが、鏡花はNo.持ち各個の個人的な仕事を理由に、一時、蘇芳から距離を取ろうとしたのだろう。
 けれど、先ほどの仕事でミスを犯した自覚のある蘇芳は、そのタイミングに鏡花と同じ担当に在りつけないという危機感を覚えたというわけだ。
 何より、あの不機嫌面からもわかるように、蘇芳は結構人見知りだと思われ、鏡花以外の幹部との接触に怖がっている。
 何と言っても、元No.2。他人に気を使いながら仕事をする機会が少なかっただろうから。



「会社からお給料貰っているんだから、それぞれが与えられた指示に従うのは当然でしょうが」



 大柄で、しかも戦闘術を極めている蘇芳から明らかに力が劣っている鏡花だが、両手を拘束されていても力で抵抗した。
 どことなく熊の取っ組み合いを眺めている気分の幹部達だったが、鏡花は苛々の限界が来ていたのか、そう吠えた。

 彼女が言ったのは正論だが、建前だけの理由で人を納得させられるはずはない。
 言われた瞬間、蘇芳の片眉が跳ね上がり、ぐっと息を吸ったかと思うと、次には彼女に負けず吠える。



「俺は給金など不要!」



 色んな意味でちょっと衝撃的な発言だったが、突っ込むのは無粋というものだ。
 恋は盲目を地で行く自覚があるのかないのか、蘇芳の頬はやや赤みがかっている。

 告白的な、意味深の発言にかすかにプラチナが「きゃぁ」と歓声を上げた。
 鏡花は、やはり衝撃的だったのか、苦いモノを噛んだ顔をして固まると、刹那、理解できないと反応する。



「じゃあ、どうして就職したのよぉ!?」



 もっともな言葉だった。

 聞き耳立てていた幹部達が軽く頷くのを見て、蘇芳はちょっと渋い顔をする。
 だが、幹部の男性陣は大なり小なり蘇芳の気持ちにも同情的な目をしていた。

 人間観察が趣味で、多少情感があるアルルカンさえも、そういう目をしているのだから、甲乙つけるのは難しい所だろう。


 先の仕事の関係者からいきなり同僚になった蘇芳を、そういう対象に見たくないとか、ちょっと前にこぼしていた鏡花だ。
 蘇芳が不憫な気もするが、そういう彼女の対応も感じている彼は、案外気長く待つ体勢を取り続けており、まさに恋する紳士の鏡。

 彼の、男としての責任感ある行動に、啓吾の彼の行動に対する個人的な株は上がっているのだが、それを鏡花がどう思うかはまた別問題。



「おーぉー、派手にやってる」



 あまりに二人の世界にしすぎたせいか、空気の悪くなってきた周囲に啓吾が苦笑した。

 節度のある対応をしている蘇芳の肩を持ちすぎたと感じて、啓吾は鏡花を見る。
 途端に強い味方を得たような顔をされたが、若い女性に頼られて、まぁ、啓吾も悪い気はしない。
 視界の端では、蘇芳が鋭く啓吾を見て舌打ちしていたが、それはそれ、これはこれ。



「キョウカ姉は鈍いから」

「…いや。No.6は、あれで誤魔化しているつもりなんだろう」



 啓吾の発言を皮切りに、プラチナがマセタ事を言うが、大人の事情をわかっている面子はそれに微笑ましい顔をした。
 唯一の無表情であるイーサは、仲間内での飲み会で良く会って鏡花の愚痴を聞くためか、彼女の心中の葛藤をそう表現する。

 蘇芳と鏡花、二人の間にある微妙な空気を知らない者はいない。



「《蘇芳》」



 それまで眺めていたアルルカンが声をかけた。

 観察が趣味の彼が、感情のぶつかり合う場面で発言をする事は案外珍しいが、それほどに蘇芳に同情的だと馴染みの幹部達は思った。

 きりきりと歯車の音をさせて、アルルカン。



「先ほどノ仕事に関シテ、やはリ、私も思ウモのが、アる」



 穏やかな気質の彼は、柔らかいトーンでそう言った。

 瞬間、娯楽を楽しむ休憩時間でなく、適度な緊張がある仕事の空気に部屋が満たされ、流石に蘇芳も鏡花の手を離した。軽く身構えるように、アルルカンを見る。
 鏡花も離された手首を触りながら、それでも責められるだろう蘇芳を一人残すのも悪いと思ったのか、その場にいた。



「君は、私以上に人ヲ学ぶベキダ」

「良~い事言うねぇ、アルルカン」



 人形に人について学べと言われても、苛立ちが出ないような声かけの仕方は流石である。

 それに反するように、勘に触る声を上げて同意したのはマッドだ。
 だが、彼もそれきりへらへらした雰囲気を消して、悪役の顔をした。



「でぇ、僕から提案なんだけどぉ。《蘇芳》、君さぁ。
 《研修》受けたら良いんじゃないぃ?」

「研修?」



 人の勘に触る事は大得意なマッドの事、提案と言いながら、全然拒否を認めない態度と声音で冷たい眼光を灯した。
 知ってはいたが、啓吾はマッドの対応に肩をすくめてみせる。

 それに不思議そうな声を上げた蘇芳は、追加説明を求めるように、マッドを見た。
 彼の不機嫌面と眉根の皺はやはりあるが、マッドの発言の仕方にもそれの変化はなく、蘇芳は心が広いと思われた。
 啓吾だったら、軽くマッドに突っ込んだり、不機嫌そうな素振りぐらいはして見せる。



「え。《蘇芳》兄ぃ、受けてないの、《新人研修》」

「まぁ、中途だしな」



 プラチナが不思議そうだが、啓吾はフォローを入れた。

 企業の面倒な所の一つが、それだ。
 中途は、正規の新規採用と違って、研修を受けるのを先延ばしにされたり、突発的に業務後に受けなければならなかったりする。
 プラチナは運が良いのか、正規の採用時期にここに来たタイプで、後輩もいないし、知らなかったのだろう。



「けど、俺もそれは良いと思うぜ。
 俺達の仕事は、単に正義の味方に脅威に見られるだけじゃねぇしな」



 新しく知った事に感嘆したプラチナから視線を外し、啓吾は真面目に直立して聞いている蘇芳を振り返った。

 少し不可解だが道理だと思った蘇芳は、しばし悩むように腕組している。
 そうそう気負うものでもないと蘇芳を慰めようと思った啓吾だが、それより早く動くものがいた。



「……受けるよね、《蘇芳》……?」



 嫌な予感がしたのか、肩越しに鏡花を振り返る蘇芳。

 先ほどまでの不機嫌を消して、満面の営業スマイルを浮かべた鏡花が彼を見上げており、その手には早くも、彼女の時のだろう、研修のオリエンテーション資料が差し出されている。

 ただ、遠目の啓吾たちも感じていたのだが、彼女、あれだけ綺麗な微笑みを浮かべて恭しく彼に差し出しているというのに、――――――目が、全然笑っていない。


 蘇芳もそれを感じたのだろう、大いにぎょっとした顔をして、軽く身を引いていた。

 威圧感たっぷりで動じる事が少ないと思われる彼がそんな行動をしているのだから、間近で見た鏡花の怒りは相当なのだろう。
 仕事の裏方の様子も写す幹部控室の映像画面でも、鏡花のテンパリ具合は知っていたから、彼女を窘めるのも啓吾は躊躇われた。



「行ってらっしゃぁ~い」



 多分見た事がなかったのだろう、鏡花の変わり具合に蘇芳が我に返った時には、既に両手に資料が渡されていた。

 有無を言わせぬ行動に衝撃を受けている蘇芳に対して、何とも軽薄にマッドが手を振ってドアを指した。
 まるで追放されるかの様な場面に際して、啓吾は素知らぬ顔のまま、心中で、『蘇芳、がんばれ。超がんばれっ』とエールを送ったのだった。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。