割と割を喰う魔王
第1話
千代田区三番町にあるとある邸宅の書斎。
二人の人物が書類を見ながら話し合っていた。
「甘粕さん。そうなると、この少年が我らがもう一人の魔王ということになるのかな?」
「それ以外考えられないでしょうねぇ。『まつろわぬ神』の撃退なんてカンピオーネだけの特権ですし」
一人は中性的な面立ちをした人物。年は十代後半か。白いワイシャツにネクタイ、男物のスラックスを履いており、繊細な美少年と言っても良い容姿をしていた。
もう一人は眼鏡をかけたさえない青年。のほほんとした顔に、よれよれの背広を羽織った人物。世の女性が見たら放っておかないだろう相方と、好対照を成している。
「アテナの到来と同時に、別の『まつろわぬ神』が来訪か。危うく未曾有の危機だったね」
「首都圏まで来ていたら、間違いなく東京終了のお知らせだったでしょうねぇ。いくら草薙さんでも二柱の神を相手取れるとは思えませんし」
「むしろアテナ相手に戦いを挑むだろうね。この御仁の神格だと」
「それは間違いないでしょうねぇ。何せ竜蛇にとって永遠の仇敵ですからな」
「≪鋼≫とは別の意味での対立だよね」
「≪鋼≫は竜蛇の征服や搾取が含まれる対立ですから。こちらは善悪のような二元論的な対立ですね。コインの裏表のような関係ですかね。この概念は古代メソポタミアをはじめとし、東西問わず見られる概念であり――。馨さん、分かって聞いているでしょう?」
「あははは、ごめんごめん。でも、こういうのはやっぱり甘粕さんの方が詳しそうだから、つい、ね」
馨と呼ばれた爽やかな少年の笑みを浮かべながら、謝罪する。
「ともかく、この少年に対する我々のアクションですが……」
「うーん。微妙だよねぇ。下手に監視なんてしようものなら、彼だけじゃなくて、保護者の方が怒りそうだね。あの人、組織とか嫌いだったらしいし」
「ですよねぇ。本物なら、なおさらまずいですよねぇ」
「それに、この女の子のことがあるからね」
馨が一枚の書類を取り上げる。
書類に添付されている写真には亜麻色のショートカットに青い瞳をした美少女が映っていた。出身はイギリス。
「所属は賢人議会。そしてレイブンクロフト家のご令嬢。彼女は彼の正体を知っているのかな?」
「可能性は高いでしょうな。しかし、他のレイブンクロフト家の人物まで知っているとは限らないと思われます」
「その根拠は?」
「あの一家は二年前の事件で随分と影響力を減らしています。カンピオーネにあてがった愛人ならば、それについてもっと高らかにアピールしても良いはずです。欧州の魔術界への影響力を高めるためにも。≪赤銅黒十字≫のエリカさんがそうなんですから。しかし、彼女は本家とはほとんど縁を切っている」
「だよねぇ。賢人議会にしても同様かな? 表向きはさておき『王立工廠』との対立を考えれば、戦力は欲しいはずだし」
「脅迫されているという可能性も、なきにしもあらずですが」
「魔王だしねー」
しみじみと語り合う二人。
「下手に突っつくと、保護者とイギリス勢の双方から不興を買う可能性あり、か。どちらにせよ、直接的な監視は避けるしかないね」
「ま、いずれは直接接触する機会もあるでしょう。この御仁も結構色々やらかしているようですし、いつまでもその存在を隠せるとは思えません」
「僕たちみたいに情報操作をやっている組織がバックについていない限りは、ね」
今は彼の足跡や動向を探るべし。二人は結論に達すると、会話を切り上げた。
机の上に置かれた書類には、話題に上がっていた少年の個人情報が記載されている。名前は岩崎流一。写真の彼はどこか不機嫌そうな、剣呑な眼差しをしていた。
岩崎流一。高校一年生の彼の朝は一般の高校生とは違い、とても早い。なぜなら、彼は武術を嗜んでいるため、早朝稽古を習慣としているからだ。数年前、こんな体になってしまってからは一体通常の基礎鍛錬がどれだけ意味のあることか、甚だ疑わしくなってしまった物だが、それでも習慣になっているので、一通りこなすようにしている。
それから、朝食の支度である。
彼が居間に入ると、台所から無精髭を生やした中年の男が顔を出す。ちなみに着ている服は藍色の作務衣である。
「おう、流一。食器出すのを手伝えや」
彼の名は岩崎清十郎。流一の剣や術の師匠であり、養父でもある。
今から十年ほど前か、とある事情により路頭に迷うところだった流一を養子兼弟子として引き取ってくれた人物である。
恩もあるし、それなりに尊敬している人物であるが、どうもどこか威厳という物が欠けている人でもある。例えば何かというと「おじさんは――」というキーワードを口にするとか、おかずを巡って流一とケンカしたり。
「はいよ、師匠。今朝もいつも通り?」
「おうよ」
ちなみに、先ほど師匠が何故手ずから食事を作っていたかというと、今朝は彼が食事当番だったからだ。作務衣の上に着ているエプロンが、微妙に似合っていないが。
さて、この家にはもう一人の住人がいる。
「おはようございまーす」
部屋に入ってきたのは流一と同じ年頃の女の子。髪は亜麻色。ショートヘアの長さで、白いうなじが見える。瞳の色はサファイアの青。彼女を見れば、10人中9人が美少女とみなすだろう。
顔立ちからして、日本人ではないが、実際彼女は外国人。イギリス出身である。
名前はクリスティーナ・レイブンクロフト。通称はクリス。
丁度二年前、とある目的で流一がイギリスへやってきたとき彼女と知り合ったのだが、今ではこうして岩崎家の押しかけの居候となっている。本当はこんな家柄もへったくりもない庶民の家にいるはずがないような、上流階級(ハイソ)な身分の出身なのだが、こちらに来てからはすっかり庶民的、というかジャパンナイズされてしまっていたりする。
そんなこんなで一日の朝食が始まるのである。
食後のひととき。
通常流一とクリスは学校へ行く時間になるまで、テレビを見たり、お茶を一杯飲んだりすることが多い。
そんな中、師匠こと清十郎は新聞をめくっていたりする。
「今日も、世間は概ね平和か……」
「師匠、何を慨嘆口調で言ってんの?」
「いやー、この5月から色々起こっているからよー。おじさん何となく新聞に注意しちゃうわけよ」
「色々って?」
「アテナ降臨に、ヴォバン侯爵大暴れ。俺が新聞やらニュースに注意したくなる気分は分からんでも無いだろ」
彼の言葉に流一は思わず顔をしかめる。クリスも同じだろう。
「でも、師範。その手のことだったら、新聞読んでも出てるわけ無いじゃないですか。この国の『正史編纂委員会』というところで、もみ消されるんでしょ?」
「異変が起きたということ自体を隠せるわけじゃねーだろ、クリス。特に『まつろわぬ神』や『カンピオーネ』がやらかすことはハンパじゃねー規模なんだから」
現代文明の基盤は科学である。そのような人間社会において、魔術関連のことは表に出てくることはない。世間の風潮からして、信じられることはないし、何よりも先ほど話題に出た『正史編纂委員会』、魔術関連の結社や組織によって隠蔽される。そういうことを知ることができるのは、魔術やオカルトに関わる人間だけだ。
しかし、魔術関連の事件は往々にして起こる物であり、その傷痕が人目にさらされることはしばしばある。清十郎が言っていた『まつろわぬ神』とカンピオーネによるものは最大級と言ってもいい。
何せ『神話』という枠から外れたとは言え、人間の力を一から十まで全部ぶっちぎっている本物の神様と、その神様を殺し彼らの権能を簒奪する『カンピオーネ』という人間が巻き起こす騒動なのだから。
「何か最近立て続けにそういう事件起こっていますよねー。しかも、解決にあたっているのが例の日本人」
「あー、例の噂になっている草薙君とやらか。しかし、ことごとく彼もこの手の事件に巻き込まれるな。誰かさんみたいにトラブル吸引体質なんだろうな、きっと」
そこまで清十郎が言うと、クリスと二人揃ってこちらを覗き込んでくる。
「んだよ」
「「別に……」」
異口同音に呟き、目を逸らす二人が腹立たしい。
「いつまでばれずにすむのかしらね?」
「何をだよ、クリス」
「流一がカンピオーネだってこと」
流一は三年前、日本神話の≪鋼≫の軍神、『建御雷神(タケミカヅチノカミ)』を倒したことにより、神殺しの魔王、『カンピオーネ』となった。
カンピオーネが魔術界に与える政治的影響力は非常に大きい。『魔術師の王』とも呼ばれ、畏怖の念を抱かれている。当然だ。彼らは神話から外れた存在『まつろわぬ神』に対抗できる唯一の存在である上、倒した神々の権能を簒奪し、自らの力として行使できるのだから。
流一もその気になれば、日本で大きな影響力を振るえるのだろうが、そうはしなかった。清十郎から、流一に取り入って甘い汁を吸おうとするバカどもが群がってくるから、今しばらくは秘密にしておけと言われたからだ。神殺しになった当時、流一の年齢がまだ十二歳の中学一年生でしかなかったというのもあるのだろう。
流一も、そんなえらそうな地位に祭り上げられるのもごめんだと思い、師匠の言葉に従い、細々と神殺しに勤しんできたのだが――。
「二柱目は幽世で戦ったから誰にも知られなかったが、三柱目を倒した一件はさすがにばれたと思ったんだがな。流一のやつ、かなり派手にやったから」
「でも、その直後に東京へアテナが来たんだよなー。運がいいのか悪いのか……」
絶対調査が始まると思ったところへ、まさかの首都圏への『まつろわぬ神』の到来。そして日本初(正確には流一が日本初なのだが)のカンピオーネ、『草薙護堂』の登場。
センセーショナルな出来事が続けて明らかになったので、こちらへの追求がうやむやになったのだ。少なくとも、流一たちが現状を見る限りではそうだろうと推測している。
証拠隠滅などを念入りに行っておけば、流一の正体がばれることもないのだろうが、いかんせん『まつろわぬ神』が絡むと事件の規模が大きくなる傾向にあるので、個人でできる隠蔽工作は限られてくる。
というか、正体を隠すのを諦めた。今ではいつばれるか、そしてどんな風に正体をばらすのがかっこいいか、議論するという有様である。
とは言うものの、
「もうしばらくこの状態でいたいっていうのが、本心なんだけどな。ばれた日にゃ、有象無象の迷える亡者どもが群がってきそうだ」
「師範。もう、いっそばれた方が、手っ取り早いですよ。派手な権能使って、脅しをかけるとか」
「クリス。おまえ、案外過激なこと言うな」
「だって、師範も流一も、こういう政治的な工作とか交渉とか苦手でしょ。伝手もあまりないし」
「「まあなー」」
流一も清十郎も『正史編纂委員会』から、距離を置いている。
日本での術師は大雑把に二つのグループに分けられる。『官』と『民』である。『正史編纂委員会』とそれに助力する術師は前者であり、後者は明治維新前までは流れの陰陽術師、呪い師だったものの末裔など、民間の術者である。流一と清十郎は後者に分類される。
世間への情報操作を行う『正史編纂委員会』に縁遠いことが仇となり、正体の隠蔽に有効な手が打てないというのが現実だった。
「だが、ばれたらクリス、おまえの立ち位置もかなり微妙になるぞ。実家は賢人議会でかなりの地位を占めていた、レイブンクロフト家の令嬢だろうが」
「そ、そうですよね……」
「そして、おまえは流一とべったりだから、愛人扱いだろうな」
そんな師匠の流一はクリスと揃って顔を赤くする。
「ちなみに、草薙護堂は愛人が二人いるらしい」
「なにー!!」
流一が突如いきり立つ。
「ほ、本当なのか。師匠!?」
「そういう話だな。なんでも、そのうち一人はイタリアの魔術結社『赤銅黒十字』のブランデッリ家のご令嬢で、当代の『紅き悪魔(ディアボロ・ロッソ)』だとか」
「らしいわね……。今の『赤銅黒十字』の『紅き悪魔(ディアボロ・ロッソ)』って言ったら、エリカ・ブランデッリか。どうやってあんな有名人を捕まえたのやら……」
クリスが盛大に顔をしかめる。
「もう一人は『正史編纂委員会』から武蔵野の媛巫女があてがわれたらしいな」
「マジかよ……。ちなみにそいつ、どんだけ女好きなんだ?」
「すっごい女好きらしいぞ」
「うわー……」
クリスが嫌そうな顔をする。
「じゃあ、俺がカンピオーネだってばれたら……」
「まあ、誰かよこすかもしれんな」
「まじでっ!?」
クリスがものすごいジト目で流一を睨む。
流一は必死で彼女の目を見ないふりをする。
「だが、おまえが複数の女の子囲うなんて無理だ」
「なんでだよっ!!」
「クリス相手にいつまでも恥ずかしがるようなおまえが、他の女の子なんか同時に相手にできるか」
夢もなにもあったものじゃない、すげない師匠のお言葉。
そんな彼の非情な宣告にクリスの爆笑が家中に響き渡った。
カンピオーネ・岩崎流一。クリスとのそれなりに親密な関係も言い出せない、シャイな男であった。
「いってきまーす!!」
「あいよー」
気の抜ける師匠の返事とともに、流一とクリスは家を出る。
今どき珍しい茅葺きの小さな屋敷。裏手には道場もある。クリスが初めて来た頃「エキゾチック・ジャパン」なる言葉で感動していた。
そしてさらにその裏には雑木林に覆われた、どこか暗いイメージを感じさせる山。結構曰く付きの場所なのだが、その昔清十郎が屋敷ごと安く買いたたいて手に入れたらしい。
それらを背に二人は草木の茂る庭を横目に門を抜け、道路へと下っていく。
目指すは最寄りの駅である。
そこから電車に乗り、高校へと向かっていく。
「まあ、あれよ。あんたが複数の愛人持つなんて土台無理な話ってことよね」
「何かその笑顔がやけにむかつく」
してやったりな笑みを浮かべるクリスはいつにもまして上機嫌だ。
「確かに愛人やら結婚って、この業界。もっと言うなら、名家とか呼ばれているところだと、かなり重要な意味持ってくるのよね。ほら、魔術師って血統がものを言うこと多いからさ。ときには本人の感情なんか無視して――、ってこともあるから」
「あー、そういやおまえもそれで苦労してた口だっけな」
「うん」
思い出すのは二年近く前のクリスと初めて出会った頃。
あのときは、『賢人議会』と『王立工廠』を巻き込んだ大騒動にまで発展したものだが。
「それにカンピオーネの血統っていうのも、魔術師の間じゃかなりものを言うはずよ。確かさっき話に出た『赤銅黒十字』のブランデッリ家もその血筋だったはず」
「へー」
嫌な話ではある。
家柄もへったくりもない一般人出身の自分が、カンピオーネになった途端、名家に引っ張りだこにされようとは。
「まー、流一も仮にも『王』だしねー。そういう、玉の輿狙いの子が来ることも考えられるわね。私としては、血筋抜きで流一のことが好きで、有能で、主導権は私に握らせて、いざとなったら家とか組織を捨てる覚悟のある子だったら考えないこともないけど」
「要するに誰も認めないってことだろ!? そもそも一番目の条件で、もう思いっきりいないような……」
「そこまで、自虐的にならなくてもいいんじゃない!?」
カンピオーネだろうとなかろうと、いやなことはついて回るようだ。『まつろわぬ神』さえ倒せればわがままし放題というのも、何だか嘘に思えてくる。
流一は拳をグッと握る。
「良し。決めたぞ!!」
「何を? ハーレムを作ること?」
クリスが冷ややかな目でこちらを見る。
「やっかいそうなのは全部あいつに押しつけよう! 愛人二人も囲えるくらいだから、それくらいどうってことはないはずだ!」
「それ、ただの八つ当たりって言うんじゃない?」
人でなしな発言にクリスが呆れているが、気にしない。
「それにこっちはこっちで、いつまた変なトラブルに巻き込まれるかもしれんし」
「そうね……」
思い出すのはギリシア神話の女神、アテナが首都圏を席巻した直前。流一たちは所用で沖縄へと訪れていた。巻き込まれなくてラッキーだったね、と人は言うかも知れない。
しかし、こちらはこちらで別の『まつろわぬ神』と遭遇していた。
天空の覇者にして、鳥の王相手の激戦は無人島にまでもつれこみ、半死半生になりながら流一はようやく勝利を治めることができた。
「なんで沖縄まで来て、あんな大物と戦うことになったんだろうな……」
「アテナと戦うのとどっちがマシかしらね」
「さあな……」
どっちもどっちなんだろう。
神様を相手にするというのはそういうことなのだ。
高校生活は概ねいつもの通りであった。
一緒に登校したら、クラスメイトにはやしたてられたり、一部のクラスメイト・三バカトリオが『恋愛共産主義』(何でも二十三区内の高校に通っている従兄弟が言い出したとか)だか何だか持ち出して、弾劾裁判を始めようとしたので叩きのめしたり、授業でついうとうとと居眠りをしてしまったり、英語の抜き打ちテストで軽く満点を取ったりなどである。
ただ違うとすれば、七月特有の夏休みを目前とした一種独特のそわそわした雰囲気だろうか。多くの学生が楽しみにしている長期休暇。旅行や花火大会、水泳などこの時期特有のイベントや楽しみは数多く存在する。
それはこの岩崎家でも例外ではなかった。
「イタリアー?」
「ああ」
素っ頓狂な流一の言葉に師匠が鷹揚に頷く。
「また唐突ですね、師範。何だって、イタリアへ行こうなんて思いついたんですか?」
「いやな。ラファエロちゃんからよー。この夏イタリアへ来ないかー、なんてお誘いがあってな」
「ラファエロって、ヨーロッパ最高の剣士『聖ラファエロ』!?」
「ああ」
驚くクリスに適当に頷く師匠。
「ラファエロ、ってあの人だよな。確か俺が小さいときに会った」
「そうそう。そいつ」
ヨーロッパ系というより、ラテン系な面立ちと勝ち気そうな表情。ポニーテールに纏めた黒髪の美女。
記憶している彼女は二十代の容姿だったが、実際はおじいさんとかおばあさんとか、それぐらいの年齢の人らしい。
何ぜそのような外見なのかというと、呪力が至純に達した魔術師というのは肉体年齢が著しく若返るものだからだそうだ。特に女性の方が若返りの度合いが大きいらしい。
ちなみに自称「おっさん」こと岩崎清十郎に関しても、実年齢は怪しいと思っている。実際のところ年齢不詳の節があるし。
「で、その人がイタリアを案内してくれるとか、そういうことになっているんですか?」
「まあな。久しぶりに旧交を温めないか、ということでな。で、おれはもうイタリアへバカンスしに行く気満々なんだが。おまえらはどうする? 夏休み予定とかあるのか?」
師匠の言葉に流一とクリスは一瞬顔を見合わせると、
「行く行く!!」
「行きます!!」
二つ返事で答えた。
彼はそんな二人を見て、にんまりと笑う。
「よーし。では、この夏休み。我らはイタリアへバカンスへと出かける!!」
各々が海の向こうにある異国に思いを馳せる。
しかし、のちに三人は語る。あそこでイタリアへ行ったのが、運の尽きだったと。
あとがき
というわけで、カンピオーネSSを書いてみました。まだ固まっていない設定やら展開もあるので、これからどうするか甚だ疑わしいものです。だから【習作】と書いて万全の逃げの体勢を作っているというていたらくぶり。というか、タイトルまで決まっていないってどうよ!!
すで出回っているカンピオーネSSとネタが被らなければ良いんですけど。いや、ヒロインが賢人議会絡みで――の時点ですでに微妙ですが(苦笑)。
カンピオーネの魅力の一つである神話の解説ですが、どこまでできることやら。まあ、護堂の『戦士』の化身のような条件を必要とする、権能は作りませんので、ごまかしはきく、かな? とは言うものの、タケミカヅチが≪鋼≫の軍神で良いか結構悩みましたからねー。タケミカヅチの誕生の経緯、そして剣神としての象徴やら何やら考えると、≪鋼≫に分類されると思うのですが。誰か、この辺をわかりやすく解説した資料を教えて(切実)!! 『にじファン』でカンピオーネSSを書いておられる某御方はどうやっているのやら……。
そんないい加減かつ、無責任なスタートを切ったこの作品。ちょっとでも、楽しんで頂ければと思います。
それでは。
PS.原作ってどこまで壊して良いんだろう?
2011/05/22
2011/05/29(加筆修正)