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村上恵美子Pの食いしん坊コラム

村上恵美子Pの食いしん坊コラム

ベルンコラム 「ベルンのおふくろの味、チーズパイ」

スイスの首都、ベルン。首都なんだけどとても小さな町で、旧市街の中に議事堂など政治の中心が集まっています。中世の時計塔とかおとぎの国にいるようで、ヨーロッパで大人気の観光都市です。そんなわけで入りにくい居酒屋もなかなか見つからず苦戦しました。
観光案内所で「あまり人通りのない場所はどこ?」という奇妙な質問をしたのですが、親切なお姉さんが教えてくれました。「旧市街の一番端の小さな道があるんだけど、そこはまず観光客は行かない」と。逆にそんなところに店があるのかかなり疑問だったけれど、行ってみないとわからないし・・・と歩き始めました。道の中間くらいのところに、レストランの看板が出ているけれど店は見当たらない・・・ビルの地下らしいということで入っていくと数人のおじいさんと白髪のきれいな女性がお酒を飲んでいました。向こうも日本人の私たちにかなりびっくりしたようですが、「今日は明日の準備で営業しないけど、ちょっと飲んでいきなよ」とビールをすすめてくれました。聞けば、翌日のたまねぎ祭りに備えてたまねぎパイを80人分くらい焼いたとか。早朝5時に祭りに行って、8時にはこの店に食べに来なさいと言われました。翌日、言われたとおりに祭りを体験し、店に行くとお客さんがどんどん入ってきます。皆、この店のたまねぎパイと実食でも紹介したチーズパイを食べに来ているのです。これまで60都市くらいの居酒屋を見てきましたが、1年に1日しかない地元の祭りに遭遇し、50人以上の人たちが同じものを一斉に食べているのを見たのは初めてです。日本で例えるなら節分に恵方巻を大勢で揃って食べるようなものでしょうか。
でも大勢で食べませんよね、恵方巻は・・・(笑)

 たまねぎパイは、実食で紹介したチーズパイに炒めたたまねぎとベーコンが入っているようなものなので、だいたい同じ作り方でいけると思います。店主の妻、ベレーナが母親から習ったという伝統のチーズパイ。材料のチーズはスイス産のものが4種類。グリュイエール、ラクレット、アッペンツェラー、ヴァシュラン・フリブルジョアという名前のどれも牛乳から作られたハードタイプのチーズ。ラクレット以外は、生産地の名前が付いていて、どれもその地方や村を代表するチーズだそうです。お店で使っているのは、この4種類が混ざって袋に入っていて、チーズパイやチーズフォンデユに使います。日本で4種全部を探すのは困難ですが、グリュイエールとラクレットの2種類だけでも混ぜたものを使うと味に深みが出ると思います。では作り方。細かくしたチーズに小麦粉を表面が白くなるくらいにまんべんなくまぶします。卵を溶いて、牛乳、ナツメグ、塩を混ぜ、ヨーグルトを加えます。このヨーグルトがチーズのこってり味をやわらげてくれるので卵液の2割くらいの量を入れるといいかなと思います。小麦粉をまぶしたチーズにこの液を加えて混ぜます。チーズがまんべんなく卵と混じって、小麦粉がなじめばOKです。

市販のパイシートを3ミリくらいに伸ばして天板に広げ、フォークでところどころ穴をあけ、その上にチーズ生地をのせます。220度で30分、チーズがこんがりするまで焼いてできあがり。チーズはとても腹持ちがよいので、このパイを食べた後はしばらくおなかが空きませんでした。でも、何日かするとまた作って食べたくなる、くせになる味です。

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