17日、朝日杯将棋オープン戦を制し、史上初となる中学生での棋戦優勝を果たした藤井聡太六段(15)について、準決勝で敗れた羽生善治竜王(47、棋聖)が決勝戦終了後、報道陣の質問に答えた。藤井将棋の長所について、羽生竜王は「局面を形から認識する能力が高い」と述べた。羽生竜王の発言は以下の通り。
「朝日杯オープン戦は持ち時間が40分の早指し戦で、早い段階から(1手60秒未満で指す)『秒読み』になってせわしなく進んでいくが、藤井さんは、一局を通じて、冷静沈着、落ち着いた指し回しをしていたと思う。(広瀬章人八段と対戦した)決勝戦の将棋も同じような内容で、動じない、力強い指し回しだった」
「指していて、局面を形から認識する能力がすぐれていると感じる。読みの力はもちろんだが、『この手はいい』とか『考えなくてもいい』といった、そういうパターンを形から認識する力が非常に高い」
「(非公式戦で対戦した)1年前と比べて、作戦の組み立て方はそれほど大きな違いはないが、数多くの公式戦を重ねるなかで、さまざまな局面に対応する力は確実に上がっているのではないか」
「まだ15歳だから、これから先、大きな可能性を秘めていて、それを私が予測するのは難しい。全般的にも10代は成長期なので、ますますこれから伸びていくだろう」
「(藤井六段が4月から高校に進学することについては)私は高校の学業と将棋をうまく両立していたとは思えないのでいいアドバイスはできない。藤井さんは、棋士としてきちんと対局しつつ、一方で学業もバランス良くこなして行ける人なのではないかなという印象がある」